免許返納でも実技検査でもない、高齢ドライバーの暴走事故は自動運転で防げ

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2019年も大きな社会問題として話題になった、高齢者ドライバーによる交通事故。大きなニュースになっても、なかなか改善される傾向が見られないようですが、はたして、免許返納や実技試験の導入以外にも手立てはあるのでしょうか? メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的エンジニアの中島聡さんは自身のメルマガの中で、なかなか減らない高齢者の自動車事故について、ある「提言」を記しています。

相次ぐ高齢者ドライバーの暴走事故

最近、高齢者ドライバーによる事故が相次ぎ、大きな問題になっています。特に2019年には、87歳の男性(元通産省の官僚)が、東池袋で自動車を赤信号を無視して横断歩道に突っ込んだ結果、2人が死亡、運転手を含む十人が負傷したという事故を起こしました。

内閣府が発行する「令和元年版交通安全白書」(https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r01kou_haku/index_zenbun_pdf.html)によると、平成22年に、初めて高齢者の交通事故死者数の全交通事故死者数に占める割合が50%を超えて以来、増え続けているそうです。

この背景には、少子高齢化もありますが、同時に高齢者ドライバーの事故率の高さがあります。平成30年中 における免許人口10万人当たり死亡事故件数を年齢層別に見ると、75歳以上の高齢運転者について は75歳未満の年齢層に比べて約2.4倍となっています。

高齢者ドライバー対策として、平成10年には、運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者に対して、運転免許証の更新時に高齢者講習が義務付けられ、さらに平成14年にその年齢が70歳に引き下げられました。

この仕組みをもっと厳しくして、高齢者から運転免許を取り上げれば良いと主張する人もいますが、そうは行かない事情があります。少子高齢化と首都圏への人口集中の結果生じた、地方の高齢化と過疎化です。

免許返納は「机上の空論」

少子高齢化と労働人口の首都圏への移動の結果、日本の多くの地方都市は、急速な高齢化と過疎化に悩まされています。その結果、利用者の減少やドライバー不足を理由に、ローカル線は廃業に追い込まれ、バス会社も赤字経営で、辛うじて地方自治体からの補助金で営業を続けているという状況です。つまり、交通インフラが崩壊しつつあるのです。

そんな地方都市では、自動車は、高齢者にとって病院や買い物に行くために必要な道具であり、免許証を返上など出来ないのです。

高齢者が起こす事故の中でよくあるのが、オートマ車におけるブレーキとアクセルの踏み間違いです。特に最近の車は、構造上ペダルの位置が昔の車よりも左寄りにあるため、高齢者が慌ててブレーキを踏もうとした時にアクセルを踏んで逆に加速してしまう、という事故が後を絶ちません。そんな事故を防ぐために、「踏み間違い加速抑制システム」という後付けの安全装置も作られていますが、普及はしていません。

こうなってくると、従来型の交通手段に縛られずに、テクノロジーを最大限に生かした公共交通機関を考える必要がでてきます。

そこで、現在注目を浴びている自動運転技術の応用を紹介していきたいと思います。

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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【著者】 中島聡 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日(年末年始を除く) 発行予定

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