あなたはYouTubeを自分でもやったことがありますか?あげたことはあっても、定期的にアップしているという人はなかなか少数派だと思います。以前の記事で「5年放置のYouTubeを再開した訳」を語り、教育動画コンテンツに活路を見い出していたファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さん。自身のメルマガ『j-fashion journal』で、動画コンテンツと向き合い試行錯誤する日々が続いていると報告しています。坂口さんは、小学生の憧れの職業である「ユーチューバー」は、シルバー世代こそ手が届く夢の仕事ではないかと挑戦を誓います。
真面目なだけじゃ駄目なんだ
1.YouTubeのセミナーに行ってみた
「これからは動画の時代だ」「YouTubeって凄いよね」という声をよく聞く。そこで、良く分からないながらも、とりあえず10本くらい動画を上げてみた。それをツイッター、facebookでシェアし、知り合いの何人かは見てくれたようだ。しかし、それ以上の伸びは期待できない。そこで、無料のセミナーに出てみた。印象に残ったのは以下のこと。
YouTubeで儲けるには、2つの方法がある。1つは、直接的な広告収入。2つ目は、別の商品やサービスを紹介してそちらで売上を上げる方法。どちらにしても、半年で50万人の登録者数を集めることを目標にして欲しい。不可能ではなく、必ずできる。本来ならば、他の仕事を辞めて、YouTubeに集中した方がいい。
YouTubeでは30~120本の動画を上げた頃に突然伸びる。それまでは、毎日動画を上げる。少なくとも、月に12本は上げる。これができなければ、辞めた方がいい。
最も重要なのは、企画。自分の業界に関係ない人が面白いと思う企画を立てる。オジサンが出てきて、真面目に話すだけの動画を観たい人はいない。真面目な動画も良いが、それだけでは伸びない。面白い動画から真面目な動画に引っ張る。最終的に、YouTubeは資産になる。ある所まで行けば、自動的に成長する。
2.顔を出す場合、出さない場合
私のYouTubeチャンネルは顔を出しているが、しゃべっているだけのつまらない映像だ。顔を出すから、ふざけられない。ふざけられないから面白くない。面白くないことしか話さないから、顔も仏頂面になるという悪循環にはまっているわけだ。
これはこれで継続するとして、もう1つ、顔を出さないチャンネルを企画したいと思う。こちらは、顔を出さないで、キャラクターを設定する。キャラクターが話すならば、面白い内容でもいい。時事ネタでも、芸能ネタでもいい。
できれば、子供に受けるようなものがいい。下ネタでもいいけど、池上さんの路線もいいかもしれない。本当は、一度に3つくらいのチャンネルを運営するのが良いのだが、それをするには、本当に集中しなければならないだろう。
1本2~3分にして、1週間分を1日で収録する。最低でも1カ月に20本。それを6カ月継続する。飽きっぽい性格なので、できるかどうか不安だが、とりあえず取りかかってみたい。最初の2カ月が勝負だ。そこで反応が出れば、やる気も出る。
3.キャラクターライセンスの可能性
とにかく、動画をアップし続け、チャンネル登録を増やす。もし、何かの拍子に話題になれば、様々なビジネス展開が可能になる。
例えば、キャラクタービジネスだ。一時は、ユルキャラブームだった。ユルキャラが画期的だったのは、地域と連携することで、マンガ、アニメ、ゲーム以外でキャラクターを認知させたこと。それをライセンスビジネスまで発展させることができた点にある。
そろそろユルキャラも飽きてきた。YouTube発の新たなキャラクター開発ができないだろうか。現状では、キャラクターを育てるために、YouTubeチャンネルを企画している例は少ない。どうせなら、そういう戦略もありだと思う。
キャラクターが育てば、何でもできる。絵本や書籍にしてもいいし、子供服メーカーや玩具メーカーとライセンスを結んでもいい。
4.一般の人が面白いと思う動画
私たちは、自分の職業や事業領域を無意識に決めている。いくら、面白い動画が良いと言われても、お笑い芸人でなければ、単純に面白いだけの動画を出すことに抵抗がある。そんなものを出しても何もならないと思うし、それは自分の仕事ではないと考える。
ここに致命的な思い込みがある。顧客志向ということは分かっていても、自分の顧客は過去の顧客のイメージで固まっている。YouTubeを見てくれる顧客は、一般の消費者だ。一般の消費者に対して、専門的な難しいことを言っても意味がない。一般の消費者にも面白がってもらえるコンテンツを出さなければならない。
YouTubeはチャンネル登録者が増えれば、広報としても、広告としても機能する。日清紡のCMでは、熊が「これは抜けない棒」と歌っている。昔の旭化成のCMでは、アルパカを出して「イヒ」と言っていた。これらは、社名を印象づけることに専念している事例だ。
YouTubeはキャッチーなCMと、真面目なビジネス動画を同時に蓄積できる。これはテレビにない機能である。面白いCMを作って、そこから、セールスのための真面目な動画に誘導する。でも、最初から真面目ばかりでは、誰も見ない。視聴率ゼロの番組では宣伝にならない。そこが重要だ。
YouTubeはテレビのように生放送ではないので、瞬発力よりも、ジワジワと広がる口コミ力を重視したい。コンテンツも爆笑ではなく、ジワジワ系で良いのだと思う。それをビジネスとして戦略的にできるのか。まずは、半年程、試行錯誤してみたいと思う。
■編集後記「締めの都々逸」
「好きなことして 大金稼ぎ ユーチューバーよ どこへ行く」
ユーチューバーが憧れの職業だそうです。でも、今の小学生よりは、我々の年代の方がユーチューバーに近いのではないか、と思います。だって、長年、面白いものを見ていますしね。小学生より経験も積んでいます。
でも、我々は頭が固まっています。自分で自分を規制してしまう。やればできるのにやらない。その点、小学生の方が経験がないだけ、思い切りがいい。頭柔らかくしましょうよ。そうすれば、ユーチューシルバー程度にはなれるかもです。(坂口昌章)
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