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原因不明の謎ウイルスが中国で猛威。あの「SARS」の可能性も?

SARS(サーズ)」皆さん覚えていますか、この言葉。日本での正式名称は「重症急性呼吸器症候群」といい、severe acute respiratory syndromeの略称として「SARS」で認知されています。新型コロナウイルスの「SARSコロナウイルス」を原因とする新しく発見された感染症で、38℃以上の急な発熱、咳、息切れ、呼吸困難などインフルエンザのような症状がみられます。中国広東省で最初の症例が起こったとされ、2003年に世界中で大きな問題となりました。「もしかしたら、このSARSではないか?」と不安視されている病気が今、中国で広まっているのです。

原因不明のウイルスが蔓延

AFPBBによると、中国当局は3日、原因不明のウイルス性肺炎の発症例を確認したと発表。また、中部武漢市の保健当局によると、発症者数は昨年12月31日時点の27人から44人に増え、うち11人が「重症」だといいます。この発表を受け、2002〜03年に中国で大流行したSARSではないかとの情報が拡散。
肺炎患者はさらに増えて59人に上っている中、中国湖北省武漢市政府は5日、感染源は引き続き調査中としているものの、SARSの可能性を明確に否定したと時事通信が伝えています。

なぜ中国国内ではSARSを懸念しているのでしょうか?大流行した過去を振り返ってみましょう。

中国南部の広東省で発生したとみられているSARSは2003年に流行。中国本土では349人、香港で299人が死亡しました。当時、世界保健機関(WHO)は、実際よりも少ない発症件数を報告していた中国を批判していて、WHOによると、全世界で8000人以上がSARSウイルスに感染したといいます。

今回流行しているのが原因不明のウイルス性肺炎で、重症例も出ていることから、中国国内でSARSではと不安視する声が多く挙がってきているのです。

過去に多くの死亡者を出したことから、中国当局は過剰に反応して騒ぎになることを警戒。武漢市の警察当局は1日、「確証のない偽情報をインターネットで発表したり転送したりした」として8人を処罰したと発表しています。

しかし、もしもSARSだった場合、2003年の時のような恐怖がまた待ち受けているのでしょうか?

SARSの具体的な症状&感染経路

そもそもSARSとはどんな病気なのでしょうか? 国立感染症研究所感染症情報センターによると、SARSを発症している人や、SARSコロナウイルスとの密接な接触後、通常2~10日(平均5~6日)たって、38℃以上の急な発熱、咳、息切れ、呼吸困難などインフルエンザのような症状がみられます。発熱が初めてみられてから約1週間後に、呼吸困難や咳など、肺炎の症状が現れ始め、それとともに他の人への感染力も強くなって行きます。

また香港からの報告では、下痢症状も比較的多くの方にみられ、頭痛、さむけ、食欲不振、全身のだるさ、意識がはっきりしないなどの症状が見られることもあります。前回の流行時のまとめでは、SARSの可能性があると診断された方のうち、80~90%は発症後6~7日で症状が改善し回復し、10~20%の方が呼吸不全など重症化しているといいます。

感染経路としては、症状のあるヒトからヒトへと感染すると考えられていて、患者が咳やくしゃみなどをした際に飛び散るしぶき(ウイルスを含んだ飛沫)を吸い込むことによる感染、飛沫感染が中心であると考えられているそうです。

前回大流行した際には、SARSコロナウイルスが原因で肺炎になった人のうち、100人に9人~10人が亡くなったことになるそうで、恐ろしい感染症であることに間違いはありません。SARS予防で実用化されたワクチンはまだないといいます。

SARSの可能性は?

これまでの情報を整理すると…
・5日時点で肺炎患者は、中国・武漢で59人。
・全ての症例が武漢の医療機関で隔離され治療を受けている。
・ヒトからヒトへの感染はや医療スタッフの感染例は報告されていない。
・死亡例はなし。
・病原体は未だに不明。

先述した通り、中国湖北省武漢市政府はSARSの可能性を明確に否定しています。しかし、原因不明な状態が続いていることから、市民の不安は解消されたといはいえず、SARSではない新たな病原体では? と更に懸念する声も挙がっています。

日本は大丈夫なのか?

今回、原因不明のウイルス性肺炎の発症例が確認されているのは中国国内だけの話。しかも、武漢というごく一部の地域のみ。しかし、前回SARSが大流行した時も、中国広東省だけだった症例がどんどん拡散していきました。それを考えると、今回もどうなるかはわかりません。前例があっただけに、ネット上でも不安の声が聞こえます。

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image by:Shutterstock

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