大人が「仲の良い子はいるの?」と聞くことが子どもを傷つける

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子どもの社会では、「集団にいなければ」という固定観念のようなものが存在します。大人であればできる「嫌な相手とは付き合わない」という選択が、子どもにとっては難しいのです。そこからいじめに繋がったり、仲間外れという現象が起きたり、なかなか子供の社会は複雑です。しかし、今回ご紹介する無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、集団にいることのリスクの多さを論じ、孤独に耐えられる内面を持った子どもに育てる大切さを語っています。

嫌な相手ならつきあうなと言う前に

嫌な相手なら付き合わなければいい。もしも我が子が、嫌々友達つきあいをして、度々ひどい目に合っていれば、大人はそう口にするだろう。

大人ならひどい同僚がいれば距離を置いたり、パワハラをする上司がいれば、会社を辞めたりという選択肢もある。しかし子供の社会では、そうはいかない。アドバイスに従って嫌な相手と付き合わないことで、自分に関する悪い噂を流され、もともと一緒にいた集団から排除されることだってある。そうなったときに、他の集団にも入れずに、孤立してしまう可能性もある。だから「嫌だけど仕方がない」と子供は口にすることになってしまう。

人は社会的な生き物である。孤立を恐れ、群れをつくろうとするのは性(さが)と言ってもいいだろう。ぼっちであるくらいなら、集団の中で多少嫌な思いをしても我慢する方がましだ。子供はそう考える。しかし、単純な昔ながらの「仲間外れ」といったいじめと違い、集団内でのいじめには様々なリスクが存在する。行動を一緒にする時間が多い分、エスカレートしやすいという点や簡単に遊びに偽装することが出来て、大人が発見しにくいという点、さらには集団で行うことで罪悪感が麻痺しやすい点もあるだろう。

そんな中で、多くのいじめが発生し、誰にも言えず我慢している子供は数えきれないほどいることであろう。そうなってしまうのは、ある種の弱みを持っているからだ。それは孤立への恐れである。それに輪を掛けるように、大人は友達がいないことを極度に心配し、「仲の良い友達はいるの」といった言葉をかけてはいないだろうか。それは子供に「集団の中にいなさい」というメッセージを暗に伝えることになる。そして集団では過度の同調性が求められたり、ストレスのはけ口にされたりということもある。集団の中にいることを教えるのであれば、同時に一人でいることの大切さも教える必要があるのではないだろうか。

孤独に耐えられるには、豊かな内面が必要だろう。周りの評価に左右されない自尊感情も必要だろう。そして周囲を見下すのではなく、良いところを発見しようとする態度を持っていれば、自然と友達も出来るであろう。「徳 孤ならず、必ず隣あり」と孔子が述べる通りである。 (注)

努力してもその人間関係が毒にしかならないのであれば、その関係にしがみつかずに離れることが大切である。離れることで得られることと失うこともあるであろう。主体的でいられる反面、孤独を覚悟しないといけない面もある。しかし毒を与えられ続けた植物は、やがて枯れていくのである。その場を離れ、違う場所で花開いていたのなら必ず新しい人間関係が出来るものである。

いじめにあうと人はどんどん視野が狭くなり、他の選択肢や可能性が見えなくなり、ただ黙って我慢するしかないと思い込んでしまうことがある。大人は日頃から色々な生き方や選択肢があることを教えられる存在でありたいものだ。

守矢光児

(注)「徳 孤ならず、必ず隣あり」
孔子の「論語」の中にある言葉。徳を身につけた人は、ずっとひとりぼっちということはない。必ず身近に、慕い、理解してくれる人が現れるものだ。という意味。

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