希望なき都市「東京」を捨てよ。日本経済をイチから救う真の方法

 

では、角栄時代に広がった各地の工業はどうなったかというと、その後は、ジワジワと空洞化して行きました。例えばアパレル、軽工業、電子関連、自動車部品関連などの多くは、やがて中国が世界の工場として高い生産性を見せるようになると、そちらに生産拠点が移って行ったのです。

そこから先は一気に下り坂が続いています。個別の事件としては、例えば拓銀破綻というのは、リゾート開発破綻の結果ですし、地方銀行の苦境というのは、地価下落による担保価値のダウンが大きいように思います。

また農林水産業に関しては、後継者の問題が大きい中で「先進国水準の生活水準を保つ」ような収益を上げるには「大規模化」と「高付加価値化」が不可避なわけですが、それも思うように進まない中で、兼業農家の高齢化だけが放置された格好です。

私はそれでも地方には可能性が残っていると思っていました。

というのは、東京というのは全く希望がない場所だからです。例えば国際化ということで考えると、東京というのは過去70年にわたって常に「欧米への劣等感を固定化」してきたのでした。地方より東京が偉い、それは東京が欧米に近いからで、その意味で地方よりは東京は国際化しているというような論理です。

これは間違っています。別に日本は欧米に劣後しているのではないのです。日本の各地には、様々な伝統や文化があり、その一つ一つは諸外国に劣るものではないわけで、仮に東京という街が「地方<東京<海外」という意味のない優劣意識に汚染されているのであれば、いっそ東京をスキップして地方がダイレクトに国際社会に繋がっていけば良いのです。

その意味で、例えば2025年には大阪万博が夢洲で行われるわけです。大阪が再生するには、この万博を「東京の広告代理店や政府が仕切って」何となく70年の万博の再現のようなイメージで考えている、その構想を全部否定する必要があるように思います。

2025年に行われる万博というのは、出展する企業の多くはアジアの多国籍企業になるでしょう。またそうでなければ大きな資金を集めることは不可能です。そして、公用語は英語になると思います。そしてインバウンドのお客が過半数になる、その上で、大阪が更に一段高い国際都市として飛躍する、そのような契機とするべきです。

もっと言えば、大阪が商都として復権するには、大阪という街は英語で株式上場ができ、英語で迅速な裁判による仲裁が期待でき、英語で見本市や国際会議ができる、その上で英語で楽しめるエンタメや料飲がものすごい規模である、そんな環境を作ることが必要です。

例えば、大阪リニアというのも、そのように大阪が英語で商売のできる、英語で観光のできる国際都市になっていれば、リニアによって東京との交通が1時間という利便性が実現した際にも、「ストロー効果」で東京の経済を吸い上げる事が可能になるのではないかと思うのです。

同じように、冬季五輪を招致しようとしている札幌もそうです。次回の札幌冬季五輪というのは、札幌広域圏が「ニセコのように英語圏になる」ことで、豪州やNZだけでなくアジア、北米、欧州から以降はジャンジャン直行便が来て、ウィンタースポーツと料飲、そしてエンタメ、更にはビジネスなどを展開する場所になっていくべきです。

例えば北海道新幹線も、東京に来たインバウンドの人々を4時間半かけて札幌に引っ張るのではなく、まずお客を札幌に入れて、ニセコでスキー、函館で観光、そして本州もオプションで、という感じで北海道中心の目線で回遊してもらう、そのためのインフラとして位置づけたらどうかと思うのです。

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