「物欲」は、人間誰もが持っているもの。しかし、それが過剰になりすぎると自分自身を苦しめることに繋がりかねません。今回の無料メルマガ『毎朝1分! 天才のヒント』では著者の倉橋竜哉さんが、衝動買いを繰り返してしまうという女性のエピソードを紹介しつつ、過剰な欲求への対処法をレクチャーしています。
真水と塩水
着たきりスズメの倉橋竜哉です^^;
「うちはウォークインクローゼットなんです」と言っていたのは、呼吸法のクラスに来られた20代の女性でして、ウォークインクローゼット、つまり歩いて入れるほどの衣装スペースがあるということなので、かなり大きな邸宅に住んでおられる裕福な家なのかな?と思った所、住んでおられるのは都内のワンルームで部屋の広さは10畳もないとのこと。
彼女の話をよくよく聞いてわかったのが、家にウォークインクローゼットの部屋があるのではなくウォークインクローゼットのように大量の衣類が詰まった部屋で一人暮らしをしているとのこと(!)
タンスや衣装ボックスを使用するのはもちろん、天井に突っ張り棒を4本つけて、そこにもハンガーで大量の衣類をかけていて、その下で寝起きをしているのだそうです。服に匂いがつくので自炊は全くせずに、食事はコンビニ弁当を洋服の下で食べるとのこと。天井の灯りは下に届かないので、床置きタイプのライトを使っているそうです。
そんな彼女の趣味は「服を買うこと」で、これもよくよく聞いてみると、買った服を着ることではなく「買うこと」が好きなのだそうで…というか、はじめは買うのが好きだったのが、だんだんと「私がかわいいと思った服が、うちに無くてお店に並んでいる、くやしい!!」というようにゆるせなくなってきて、そういうのを見つけると、ついつい買ってしまい部屋がウォークインクローゼットになったとのこと。
「このまえ、寝ている時に突っ張り棒が外れて、私の上に服が雪崩のように降ってきたんです。買った服に殺されるかも、と思ってなんとかしようという気になりました」
とはいえ、通勤途中にデパートのショーウィンドウを通ると、欲しいという気持ちが抑えられず、うちのクラスに来られたのだそうです。そんな彼女に、私はこんな話をしました。
欲しいと思うこと、つまり欲求そのものは、悪いことではありません。欲求があるからこそ、人は働きますし、知恵も絞り工夫もします。そのおかげで豊かな生活ができています。でも、その欲求が行き過ぎてしまうと、あるところから、自分を豊かにするどころか自分を苦しめることになるでしょう。服や宝飾品、地位や金銭、愛情でも自尊心でもそれを欲したり、手にすることを否定する必要はありません。
でも、それを手にする前に、ちょっと想像してみてください。その欲しい物が、コップに入った水だとします。その水は真水ですか?それとも塩水ですか?真水ならば、喉の乾きは潤い、満足することでしょう。塩水ならば、飲めば喉が渇き、さらにもっともっと飲みたくなるでしょう。
「欲しい!」と思ったら「それは真水なのか塩水なのか?」自分に問いかけてみてください。それが塩水だとわかっているのに、伸びる手を止めることが難しいのならば、伸びそうになっている手を自分の胸に当てて、深く息を吐きながら10数えてみましょう。渇きの感情がずいぶんと軽減されるはずです。
そんな話をしてから数ヶ月が経ちまして、彼女から「天井の灯りで暮らせるようになりました」というメッセージをいただきました。いわく、衝動買いのクセは収まり、今はフリマアプリで服を売るのが楽しくなって、部屋にあった在庫も、ずいぶん少なくなったとのこと。自分の買った服のことを「在庫」と呼んでいるところに彼女の心境の変化を感じさせられましたね。
求めれば、どこまでも満たされてしまう時代、自分でブレーキを持っていないと、やがて自分の求めたものが己の首を締めてきます。欲しいと思ったら、「それは真水なのか、塩水なのか?」自分に問いかけてみてください。そして塩水だとわかっていても、手が伸びてしまうようでしたら、伸びそうになっている手を胸に当てて、その過剰な感情共に息をふーっと吐き出してみましょう。お役に立てば幸いです。
★まず私からあなたにこの言葉をお届けします
「その水は真水ですか?」
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