社会情勢や経済情勢によって、企業が求める人材も変化します。時代によって、求められる人材が異なってくると言えるでしょう。現在、多くの企業で必要だとされているのが、自立・自律型人材。経営者の意に沿う形で、自分の考えを持ち判断を臨機応変に下すことのできる人材を言います。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、育成が急務とされている自立・自律型人財にとっても重要な条件について紹介しています。
リーダー研修から学ぶできるリーダー(管理者)の条件
中間管理職などの職場のリーダーが集まった研修を聴講したことがあります。あるリーダー研修の中では、リーダーとして必要となることや成功する組織などについての講義がありました。その講義には、自立・自律型人財にとっても「大切だな」と思う内容があり、本号では、その研修の中で講義された内容を参照しながら考察していきたいと思います。
まず、できるリーダー(管理者)の条件として挙げられていたのは、7つの条件です。7つの条件とは、
・明確な目的
・具体的な目標
・客観的な見方・表現
・中長期的な視点・短期的な視点
・信頼関係
・率先垂範
・指導と育成
です。1番目と2番目に挙げられている「目的と目標」の重要性は、書籍や各種研修、セミナー等において、よく言われていますね。しかしこれが、なかなかできていないことも多いです。
チームメンバーを率いるリーダーが、「何のためにやるのか」などといった目的が明確になっていなければ、そのメンバーは、どの方向に行ったらいいのかわかりませんね。リーダーとしては、まずは、目的を明らかにして、方向性を明確にしていくことが必要ではないでしょうか。
そして、目的が明確になったら、次は、その目的に向かっての具体的な目標が必要となります。目標をより具体的にするひとつの視点として、「5W2H」が挙げられます。5W2Hとは、
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:だれが
- What:なにを
- Why:なぜ
- How:どのように
- How many:どのくらい
です。この視点を目標を立てる時に取り入れると、より具体的に考えることができると言われます。目標を立てたままにするのではなく、その目標が達成したのか、しなかったのか、比較できるようにすることも大事ですね。
3つ目に挙げられている「客観的な見方・表現」とは、自分の立場からの見方や表現ではなく、相手の立場からの見方、表現など、自らの視点から離れる見方・表現です。例えば、チームメンバーの視点から見たらどう見えるのか、お客様の立場だったらどのように表現するか、などといったように、リーダー自身の視点から離れて物事を見て、表現することが、リーダーにとって大切になります。
また、4つ目の条件として挙げられていますが、リーダーとしては、目先の短期的なものの見方も必要ですが、少し先の中長期的な見方も重要になります。例えば、目先の利益ばかりを追い求めていると、本質から徐々にずれていくことも考えられます。3~5年先の中長期的な在りたい姿を描いて、その姿を見据えながら短期的な見方、表現をしていくこともリーダーとしての役割になるでしょうね。
5つ目の条件として、「信頼関係」が挙げられています。リーダーは、チームメンバーやお客様などとの間に信頼関係を築いていくことも必要不可欠ですね。信頼できないリーダーのもとでは、たとえ成果が出ていたとしても、長続きしないのではないでしょうか。まずは、リーダー自身がメンバーなどの関係者を信頼することから始まります。そして、小さな約束を守り続けるなど当たり前のことを当たり前にやっていくことを積み重ねることで、信頼関係を強固なものにしていくことが大切になります。
6つ目の条件に挙げられている「率先垂範」ですが、信頼関係を築いていくことにもつながってくるのでしょうね。リーダー自らが率先垂範して行動していくことも、リーダーにとって重要な姿勢のひとつです。例えば、チームメンバーに「勉強した方がいいよ」とリーダーが言っても、そのリーダーに勉強する姿勢がなければ、メンバーは、きっと「言葉だけか」と思って、勉強しないのではないかと思います。やはり、リーダーは、メンバーなどに対してまずやって見せることで、見本を示すことが大事になるのでしょうね。
最後の7つ目の条件である「指導と育成」も、チームメンバーの成長を促していくうえで、リーダーにとって大切な条件になります。指導とは、相手に教えること、育成とは、相手が自ら考え、行動できるように促すことだと捉えることができます。
チームメンバーの成熟度がまだ高まっていない場合には、見本を見せたり、言葉で説明するなどして教えることが必要です。そして、次第に成熟度が高まってきたら、メンバー自身に考えさせるような質問を投げかけるなどのコーチング的手法を用いて、メンバーを伸ばしていくことが必要になります。
チームメンバーの状況などによって、手法を変えていくことがリーダーには求められるのでしょうね。
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