「この程度」か、氷山の一角か。新型肺炎、現時点での最大の問題

reizei20200218
 

新型肺炎についての2月15日の会見で、感染経路が判明していない事例が複数発生したことを受け、「これまでと状況が異なっている」と述べた加藤厚労相。国民の間には不安ばかりが広がりつつある状況ですが、今、政府は何を最優先すべきなのでしょうか。米国在住の作家・冷泉彰彦さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、「現在起きていること」を見定めた上で、安倍政権が新型肺炎問題に対して打つべき手を考察しています。

新型肺炎、問題は検査体制と風評

ここへ来て、新型肺炎問題では「経路不明の感染」という言い方が出てきています。この言い方ですが、まるで東京なら東京中に感染者や、潜伏期間中の人がウヨウヨいて、本格的な流行が始まっているような印象を与えます。

しかも、加藤厚労相の言い方だと、「不要不急の外出を控えよ」とか「集会の自粛」などという話になるわけです。また「新たな段階に入った」という言い方もされています。こうなると市民の恐怖感は増大して、「水際作戦」の時期とは比べ物にならないぐらいの経済活動の停滞等を招きかねません。

特に、今年度の1から3月期の経済ということでは、インバウンドの需要がほとんど半減いやそれ以上の落ち込みを示しているわけですが、これに内需の冷え込みや、経済活動全般のストップということが重なっては大変です。

問題は「経路不明の感染」という「怪しい正体不明のもの」が広がっているのではないということです。現在までの事実経過を見ていますと、問題は春節のバケーションシーズンに大多数の観光客が武漢地区から入国して、そこから何らかの形で感染が広がって市中に潜んでいたということが想定されます。

ということは、その中で「発症することで、感染の連鎖」を起こす例が徐々に見つかって、そのルートは制圧された、そう考えれば、「感染者の発見」というのは、そこで「制圧すべきルートが表面化した」と考えられるわけです。そもそも、春節シーズンの観光客を入れた時点で、相当程度の感染が覚悟されていたわけで、そう考えれば、「発見イコール、そのルートの制圧」となるのであれば、やたら不安を煽る必要はないとも考えられます。

また、春節の観光客が帰国してそろそろ14日を経過するということを考えると、「この程度」で済んでいる中でその日数が過ぎたのであれば、ピークはそんなに大きくはならないという考え方もできます。

問題は、そうではなくて、「発見」されない形で「普通の肺炎」とか「インフルのような症状」として相当多数の感染の連鎖が起きており、現時点で「表面化」しているのは本当に氷山の一角だという可能性です。

そして、実際に進行しているのは、そのどちらなのかが分からないというのが、現時点での最大の問題だと思われます。

ここを突破するには、徹底した検査拡大しかありません。検査を拡大するには、当初言われた「怪しい場合はまず電話して、受け入れてもらえるように確認してから、指定の医療機関へ」という運用ではなく、それこそ本人が「これは単なるインフル」と思い込んでいるような事例、しかも既報の感染ルートとは全く繋がりのない人も、どんどん自動的に新型肺炎検査を進める事ができるようにすべきなのです。

その結果として、観光客が離日してから14日が経過して、それでも極めて限定的な人数しか感染者はいないということが判明すれば、無用の風評被害や経済の停滞を抑止する事ができます。また、反対に相当程度の感染者が出たとしても、「表面化」が前倒しで進みますから、抑圧も早まると考えられます。

とにかく検査体制を10倍ではなく100倍程度のスケールで簡易にできるような体制が必要です。

その際に必要なのは、医療従事者への感染防止です。武漢で深刻な問題になっていますが、東京や和歌山などでも問題が起きています。特に医療機関内の感染拡大はやはり、日本の医療体制への信頼を揺るがすだけでなく、ここをしっかり抑え込めれば、検査への抵抗感もなくなるし、万が一の発症者にも適切な対応ができるし、また特別な機関でなくても対応できるようになります。

医療従事者が感染しないためのプロフェッショナルな備えを、科学的、効率的に標準化して、全国で徹底することは必要と思います。

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