「この程度」か、氷山の一角か。新型肺炎、現時点での最大の問題

 

後は風評対策です。最悪なのは、川遊びの宴会ビジネスです。これはズバリ商品名を名指しされることで、壊滅的な風評打撃が直撃しています。確かに密閉性はありますが、そんなことを言ったら、スナックでも居酒屋でももっと密閉性の高い空間、人口密度の高い空間はあると思います。今回の川遊び宴会での発症というのは、あくまで偶然であって、この形態だから危険というのは最悪の風評だと思います。何とかならないのでしょうか。

最後に、クルーズ船です。この問題は、日本の対応が悪くて感染が拡大しているという報道が世界中で飛び交っていますが、程度問題とは言えヒドい風評だと思います。少なくとも、乗客の行動を制限した後には感染は極小化されているはずだからです。今でも毎日何十人という感染者が出ているのは、発見が遅れただけであって、感染そのものは素手でベタベタと公共空間の手すりを触ったり、ダンスイベントを続けたりしていた洋上での問題であり、日本の防疫体制が入ってからの新規の感染は極めて限定的ということを、しっかり証明して広報すべきです。

こうした伝染病の問題では、より悪い事態に備えるのは大事だと思います。それは基本です。ですが、行政の対応が迷走する中で、どうも事態はいい方向に向かっていないように思えます。もっともっと国際連携をやって、日本の対処方法を修正しつつ、アピールするところはアピールするようにしないと、日本全体が風評の被害者になりかねないと思います。危機感を感じます。

image by: 首相官邸

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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