完全孤立の韓国。新型肺炎騒動で習近平を激怒させた文在寅の誤算

 

北朝鮮経済そして体制が崩壊の危機にあることは先週号(「新型肺炎の裏で進む北朝鮮消滅。米のシナリオに乗せられた金正恩」)でも触れましたが、そのお隣の同胞の国、韓国経済もデフォルト寸前の状態にまで追い詰められています。

文政権の経済政策の何重にもわたる失敗、行き過ぎた反日・反米キャンペーンが招いた“同盟国”による韓国切り、そして、国内における若年層失業率の止まらない悪化、そして韓国ウォンの無力化など、すでに2019年に危険水域を超えてしまったと言われてきた韓国経済ですが、今回のCOVID-19は壊滅的な攻撃を韓国経済に仕掛けてしまいそうです。

経済的なスランプと日米との確執を受け、韓国は中国とロシアに擦り寄り、もうすぐレッドチームに入るだろうと言われてきましたが、そのレッドチームのリーダーである中国の物流のおへそと言われる武漢市が今回COVID-19の発信地となり、COVID-19の広がりが中国経済に、物流そして生産・供給という多面的な大打撃を与える中、中国に韓国経済を助ける余力も、そして“つもり”もなくなりました。そこに追い打ちをかけ、中国政府を激怒させたのが、韓国がいち早く中国との物流を切る判断をしたうえに、ここぞとばかりに恩着せがましく支援を申し出た姿勢で、これで中国も韓国切りの輪に加わることになりました。

日本やアメリカとの経済的な面での確執を受け、LGなどの企業が白旗を挙げる中、サムソンは何とか韓国経済を支えてきましたが、中国が門戸を閉じることで、日本から中国にスイッチしていた半導体製造のための材料の調達ができなくなり、そのサムソンの財政状況も苦しくなってきています。COVID-19の悪影響が長続きするようなことがあれば、サムソンも危なくなりますし、その時には確実に韓国は経済的にも、国家としても破綻する運命となるでしょう。

香港経済も危機的な状況に直面しています。反中国のデモが激化し、また長期化したことで、香港経済の活動が大幅に減速・縮小されているところに、今回のCOVID-19の蔓延によって、中国と今や陸続きでつながる香港は、いつCOVID-19の大流行に晒されるか戦々恐々だと言います。実際には、ここまでのところ、うまく感染の拡大は抑え込めているようですが、デモ以降、悪化している香港経済に対する心理的なイメージが、COVID-19への恐怖心によってさらに悪化することになれば、中国経済と国際経済をつなぐ窓口として活躍してきた香港の立ち位置に致命的な一撃となってしまいかねません。欧米系の金融機関が次々と人材の引き揚げを行っていると言われる中、香港当局からは「今度こそもうだめかもしれない」との声も上がってきている始末です。

アジア地域はもちろんのこと、世界の観光業界にも大きな打撃になっています。まず、ことごとくアジアで開催予定だった国際会議がキャンセルもしくは延期、場所変更などを迫られています。また、日本を含むアジアへの渡航を停止・見送りする多国籍企業も増え、ほとんどの会議がビデオ会議に置き換わっています(私もその“恩恵”にあずかっています)。

そして“全容がまだ見えない”というCOVID-19の正体ゆえ、タイは中国からの旅行客に加え、感染が広がる日本からの渡航客を入国させないという措置に踏み切るとの発表がありました。それにより、タイの現地企業からは「日本からの出張者は当分の間受け入れない」との措置を取らざるを得ないと聞きました。非常にショッキングな出来事だと思います。

皮肉を言えば、COVID-19のおかげで、遅々として進まない経済のデジタル化や「移動を伴わないビジネススタイル」などが一気に加速しそうですが、物理的な商品や原材料の物流が滞る中、確実に世界経済は多大な負の影響を受けるでしょう。COVID-19の蔓延がいつ収まるのか、そもそも収まるのかがわからない中、感染への恐怖と相互不信が、かなり深刻なレベルの影響を世界経済に与えることになりそうです。

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