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厚生年金「加入逃れ」対象は約34万件。検査強化で強制加入へ

厚生労働省と日本年金機構が、厚生年金の保険料支払いを逃れる企業への取り締まりを強化すると日本経済新聞が伝えている。雇用保険の加入者情報を使い、対象の可能性がある約34万件の事業所に適用するよう指導。2020年度から4年間を集中対策期間として設定するという。現在の検査は加入手続きをした事業所が対象だが、加入逃れが疑われる事業所に対して強化していくことになる。

厚生年金加入逃れ

東京新聞によると、厚生年金への加入は全ての法人事業所と従業員5人以上の個人の事業所(一部業種を除く)に義務付けられており、適用対象となる事業所は日本年金機構に届け出る。民間で加入しているのは約236万事業所、約4000万人。

保険料は事業所側と従業員が折半するが、負担を嫌がり、意図的に加入手続きをしない事業所も多く存在。その場合は働く人が老後に厚生年金を受け取れず、国民年金(基礎年金)だけになる。厚労省はこうした人は2017年で約156万人いると推計しているという。

年金機構はこれまで国税庁から源泉徴収に関する情報提供を受け、厚生年金の適用を増やしてきた。15年3月末に適用の可能性がある事業所は97万あったが、いまだ約34万件ほど残っている。新たに雇用保険の加入者情報を使うことで就業状況を把握し、指導や立ち入り検査に従わない事業所には告発も視野に対応するなど、加入逃れを許さない方針だ。

現在は厚生年金の適用を届け出ている事業所に対し、日本年金機構の職員が立ち入り検査し、賃金台帳や出勤記録といった関係書類を提出させることができる。だが届け出をせず、加入逃れが疑われる事業所に対しては書類を要求しても強制力はなく、拒否されると手詰まりになっているのが実情となっていた。

厚生年金への加入は増えるのか?

厚生年金に未加入で、今回の強化の対象となる事業所は約34万件。そんなに数が多いことにも驚きだが、その中には自分が「きちんと厚生年金に加入している」と思い込んでいる従業員も多くいるという。

一説によると、これまで厚生年金に加入していなかった事業所が加入した場合、人件費が15%程度上がるとの見方もある。加入逃れをしてきた事業所は小さな会社が多いだろうから、この負担はなかなか厳しい。厚労省としては、加入の徹底を図ることで、従業員が老後に受け取れる年金を手厚くする狙いがあるという。

この報道を受け、ネットからは様々な声が聞こえてくる。







 

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image by:shutterstock

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