あの一流企業が創業当時のプレハブ建屋を敷地内に残している理由

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入社式・年頭挨拶・創立記念日といった節目ごとに、起業当時のエピソードを語る経営者は少なくありませんが、社員たちにはあまり響かないというケースも多いようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、世界的企業である日本電産・永守重信氏が、効果的に創業時の苦労を伝える意外な「仕掛け」を紹介しています。

創業の苦労を忘れない仕掛け

世界的な精密小型モータの開発・製造会社、日本電産が社長交代を発表しビジネス界で話題になっています。同社をけん引する創業者でカリスマ経営者ともいわれる永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)。

その仕事に賭ける情熱、いつまでも創業時の苦労を忘れない工夫を語っていただきました。対談相手はウシオ電機の牛尾次朗会長です。


牛尾 「永守さんの強力なリーダーシップによって、日本電産は精密小型モータを中心とするモータ業界で世界のトップの企業になりました。東日本大震災後も成長を持続しておられます」

永守 「ありがとうございます。人生はサインカーブのように上り坂と下り坂を繰り返すものだと私は考えています。楽しいことと嫌なことが半分ずつで、足したらプラス・マイナス・ゼロになるのが人生だと思うのです」

牛尾 「永守さんの経営人生を象徴するものの一つが、日本電産本社の1階奥に設置しておられるプレハブ建屋だと思うのです。創業当時に作業場として使っていたものだそうですね」

永守 「私としては、創業期のあの厳しい時期を乗り越えてきたからこそ、ここまでこられたわけでね。辛い時にそこへ行くと、あの時の苦しさに比べたらこんなものは大したことはないなと思い直して、また元気を取り戻せるのです。新入社員にも入社時に必ず見せますし、落ち込んでいる幹部がいたら、ちょっと見てこいと言うのです。

一番怖いのは、後から入ってくる幹部が昔の苦労を経験していないために、一流企業に入ってきたような感覚で振る舞うことです。そういう人たちには口で言っても伝わりませんから、プレハブ建屋を見せるのが一番いいのですよ。

そこは建物だけではなしに、当初からの記録もたくさん残っていて、私自身が現場で懸命に仕事をする様子も残っている。それを見ると皆ハッとするのです。逆に、それを見ても感激しない人は、最初から採用しないほうがいいです」

image by: IgorGolovniov / Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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