見えぬ本気度と誠意。安倍首相の記者会見に全国民がシラケる理由

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新型肺炎の感染拡大を受け、全国の小中高に一斉休校を要請し、今後の対策を説明した安倍首相の2月29日の会見は、形式的で現場の立場を汲んでいないという批判にさらされているようです。これに同調し、「首相の言葉が響かない」とするマンション管理士の廣田信子さんは、今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で、未知の病と対峙する日本に必要なリーダーシップ像を記しています。

言葉が相手に響くかどうかは発する人によって決まる

こんにちは!廣田信子です。

2月29日、安倍内閣総理大臣の記者会見がありました。

令和2年2月29日 安倍内閣総理大臣記者会見

迷走しているかのように見えた新型コロナウイルス対応。記者会見では、これまでの対策の問題点をきちんと踏まえ、今度こそ、私たちが一体になってがんばろうと思えるような国のリーダーとしての言葉が聞けるのだろうか…と淡い期待を持って聞きましたが…あまりにも、言葉が軽いのです。

この、心に入ってこない「言葉の軽さ」は何だろう…と思ってしまいました。

この1か月、この問題が深刻化していく過程で、我が国のリーダーは、この問題を真剣に考えてはいなかったんだろうな…ということが透けて見えました。もっと、個人的に重要なことがあったのでしょう。急に、これは何かしないとまずいな…と思って、思いつきで、唐突な対策を打ち出したことがわかります。

その思いつきを、もっともらしい文章にしたのは、官僚でしょう。その文章が映し出される左右のプロンプターを交互に見ながら読み上げているだけ…。正面を見て、しっかり語ることがほぼないのは、本当に、心から伝えたいことがないのでは…と思わされました。

国民にどんな影響があるか、現場がどんなにたいへんなことになるのか、それも十分シミュレーションをした上で、それでも、今、この対策が必要なんです、という説得力もありません。

この方にとって、普通の生活やそれぞれの現場はほんとうに想像がつかないほど遠いものなんでしょう。それを補うために、現場の声を本音で聞かせてくれるブレーンもいないのだろうな…と。

そして、自分が発する言葉に合わせて、それを正当化するために、周囲も官僚も、つじつま合わせに翻弄するのが当たり前…ということを重ねて、周りの意見を聞くこともなく、自分が言えば何でもできるという誤った万能感を持ってしまっているようで、何だか怖い気がしました。

会見の次の言葉は、決意表明の要のはずです。

それでもなお、内閣総理大臣として国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を果たすためこれからも先頭に立って、為すべきことは決断していく。その決意であります。

この言葉を聞いて、安倍総理、これからも先頭に立って決断してね…と思った人は、どれほどいるのでしょうか。私は、「いえいえ、これ以上、勝手に決断しないで、現場の声をしっかり聞いて決断してもらわないと困ります」と思ってしまいました。

もし、言葉に嘘がない、常に国民の立場で考えられる真のリーダーが発した言葉であったら、この言葉は、国民の不安を払拭し団結をもたらす言葉になったでしょう。ほんとうに、伝わるかどうかは、その語る内容でなく、それを口にする人によって決まるものなんだと思いました。

安倍総理の下記の言葉

本当に大変な御苦労を国民の皆様にはおかけしますが、改めてお一人お一人の御協力を、深く深くお願いする次第であります。

を聞きながら、国民の大変な苦労をとても本当に理解しているとは思えない人に、お願いされて心が動くものではないけど、今を乗り越えるために、自分の身近な人のため、そして、同じように、日々の生活を頑張っている誰かのためにできることは、協力し合いたい…と思いました。

多くの国民が、同じような気持ちでいるのだと思います。

image by: 首相官邸

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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