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NY在住コンサルお勧め。新型コロナ支援策は各省庁HPで確認を

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、各国がさまざまな救済・支援策を打ち出しています。2兆ドル、日本円で220兆の景気刺激策をまとめたアメリカニューヨーク在住のりばてぃさんから日本を見ると、伝わってくる支援策の貧弱さや、実効性のありそうな対策の周知状況への心配が募るようです。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』では、読者に向けて、中身のない絵空事を繰り返す安倍首相の会見を見るよりも、各省庁の支援策をしっかり確認することが大切だと伝えています。

パンデミックで大きく変化するビジネスの形

新型コロナウイルスに関して、想定以上に大変なことになってきた。これまでもこのメルマガやブログ、ラジオ、専門誌、講演会、各種企業へのレポートなど、様々な機会で情報提供してきたが、これほどまでに日本とアメリカ、さらにはヨーロッパとの意識や対策の差が出たことはなかったのではないかと思うほどの状況になっている。今回のメルマガでは改めてこの問題について書いてみたい。

日本のビジネスや消費トレンドは、アメリカより数年は遅れている印象だ。これは、マーケティング・コンサルタントとして本格的に企業向けにレポートを提供してきた10年間からも実感している。業種によっては5年以上の差があるほどかもしれない。もちろん、逆に日本のほうが進んでいるものもある。だけども、今回のような社会全体を巻き込んだ問題になってくると、日本の対応策や状況はアメリカと比べると、天と地の差がある。

日本でも、「ニューヨークから学んで」とか「日本人はなんで今でも外に出ているの?」などなど海外からの悲痛の訴えが報じらてたり、SNSなどで伝わったりしていると思う。でも、振り返ってみると、新型コロナに関しては日本のほうが感染者が出たのが早かったので、学校を休校にするなど対策は早かった。なのになぜ政府の対策はこれほどまでに遅く、世間一般の認識も危機感がないままなのか?

重症患者数がそこまで出ていないとか、感染者数が他国ほど多くない、もともと非常に清潔な国だ等々、諸説ある。とは言っても、いつニューヨークのような爆発的感染者数増にいるなるかわからない。だってこれまでになかった新型のコロナウイルスなのだから。解明されていないことが多すぎるのである。

仮にもし今後日本国内の感染者数が爆発的に増加せず、アメリカの多くの州が対策としてとっている医療関係者や食品関係などの生活に必要とされるエッセンシャルワーカー(日本語の適切な訳がないけども、わかりやすいのは日常に必須なもの。医療、薬局、食、インフラなどは日常に必須なのでエッセンシャルとなる)以外は100%自宅勤務にならなかったとしても、これだけ欧米社会が経済的にも打撃を受けていると、確実に日本にも余波がくるだろう。

また、おそらくこれがもっとも重要だと思うのだが、自宅待機によっていまアメリカで急速に発展している産業がある。特にオンライン学習やオンライン販売などのオンライン系のコンテンツだ。アメリカはこれまでも世界的にEコマースが進んでいた。Eコマースに限らず、オンライン上のツールは日本よりもずっと多く、また個人に限らず企業の導入も進んでいた。

でもそれでも、Eコマースでの売上より実店舗の売上のほうがずっと多かったし、特に最近は実店舗とEコマースの融合や共存という観点から実店舗の良さを生かした販売方法も人気だった。でも、エッセンシャル・ワーカー以外は100%自宅待機というこの状況では、実店舗は当然閉まっているので、買い物はすべてEコマースになる。買い物だけでなく、芸術系や学習系なども、なるべく物理的に人を介さずに済むような仕組みでどれだけ提供できるかが研究されはじめている。

当然、オンラインツールは今よりも発展するし、人々の習慣もよりオンラインにシフトする。そして、これは1、2ヶ月間といった短期間ではない。自宅待機命令が解除されたとしても、お年寄りや疾患のある人や体調の優れない人は引き続き自宅で過ごす。人々が安心して外に出られるのはワクチンが開発される最低でも1年から1年半後なのだ。

この間に社会の仕組みは大きく変化し、発展する産業は変わり、そして革命が起き日本にはない新たなサービスや消費習慣が出てくると、本当に海外事業展開はできなくなるとか、新たなビジネスチャンスを逃してしまうかもしれないのだ。

ちなみに、実店舗に関しては、すでに来年春に備えた動きが出始めている。つまり、今年はもう新型コロナ問題に集中するため、実店舗での売上は期待されておらず、次に客が戻るときにそなえはじめているのである。

学校に関しても、アメリカは5~6月ごろに夏休みに入るため、新学期の始まる9月からという認識になっている。当然、それまではオンライン学習が中心となり、夏休みの課題などもオンラインとなる。こんな状況で改革が進まないわけがない。すでに企業だけでなく個人が助け合うために新たな取り組みをはじめている。

この1ヶ月間、日本政府は何の対策をしてきたのか?

一方、3月28日にあった安倍首相の会見をみたが、日本政府としては出来る限りの対策をしているということはわかったし、これから具体案など出てくるとは思うのだけど、それでも気になったのは以下の部分。

「政府を挙げて、様々な境遇の方の声に耳を澄まし、きめ細かな支援を行う考えです。そして、感染の拡大が抑制され、社会的な不安が払拭された段階では、一気に日本経済をV字回復させていく。全国津々浦々、皆さんの笑顔を取り戻すため、旅行、運輸、外食、イベントなどについて、短期集中で大胆な需要喚起策を講じるなど、力強い再生を支援する考えです」(令和2年3月28日安倍内閣総理大臣記者会見動画と全文書き起こしから一部抜粋)

安倍首相の冒頭発言の最後のほうの発言。この後続いた記者質問にも同様の回答が出てくる。これ、日本政府は新型コロナ問題がどの程度の期間続くと思っているのだろうか?もしかして5月ごろには収束すると考えているのだろうか?じゃなきゃ、現時点でV字回復を考えるのは早計だ。何の根拠もなく浅はかな希望だけでご飯は食べていけない。

100万歩譲って、日本で感染者は激増せず死者も少なく、5月ごろに通常に戻ったとして、すでに経済的打撃の出ている企業はいつまで持ち堪えられると思っているのだろうか?よほどの大手企業以外は現金をそこまで蓄えていない。たいがいが2ヶ月分ほどだ。

利益が何億あろうが、それだけ月々の経費もかかっている。無収入になった途端に数ヶ月でコストがかさみ現金が枯渇する企業は数多い。中小企業の財務を担当されている方や経営陣にとっては常識だろう。そして、日本は中小企業は多いし製造業も多い。

日本の企業も現金を数ヶ月分しか蓄えていないのは当たり前で、知人の会社(祖父の代から続く老舗製造業)は中国やマレーシアから部品が入らないことを見越して、2月にすでに銀行に現金の借り入れを申請済みだ。当座、半年ほどは大丈夫とのことだけど、半年ってあっという間だ。引き続き対策を考えていると言っていた。

京都などの観光地でも売上が半分となり新たなビジネスプランを模索しているという話を聞く。日本でも対策を取り始めている企業は数多くあるのに、遅れているのは政府だけなのだ。なぜ最初にでてくるのが1世帯あたりマスク2枚配布する、なのだ?

ご参考までにアメリカでは連邦政府がすでに2兆ドル(日本円でおよそ220兆円)の景気刺激策を決議。ここから中小企業向け支援策や個人向け給付、税金申請期間の延期(延期することで追加税金の支払いも遅らせることができる)他にも様々な対策が議論されている。ちなみに景気刺激策は3月中旬までは100兆円規模だったが、ほんの1週間ほどで倍にしており、それだけ急激に状況が変化しているということなのだろう。

ご参考:
米政府が100兆円余の経済対策 国民への現金給付も
トランプ氏、2兆ドル規模の経済対策法案に署名 新型ウイルス

前述した安倍首相の会見の発言に戻るが日本は2月上旬の中国人観光客が減りはじめた時点で観光業はすでに打撃を受けていた。その時点で対策を取りはじめていれば、どの国よりも早く日本国民と経済を支える対策が取れたのではないだろうかと思うが、そのあたりどうなのだろうか?

各省庁はすでに対策を打ち出している

ところで、経産相の公式サイトをみると、「新型コロナウイルス感染症関連経済産業省の支援策」として貸付や緩和策などいろいろ出ている。
経済産業省の支援策

他にも、厚労省も雇用調整助成金など対策を取っている。
厚労省の雇用助成特例

さらに、文科省は、「新型 コロナウィルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ」として世帯収入が大幅に減った学生支援を発表している。これ、どのくらいの人たちが知っているのだろうか?
新型コロナウイルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ

とにかく当座しのぐことができる現金や支援は本当に困っている人には必要なのに、必要な人に必要な情報は行き渡っているのだろうか?海外に住んでるのでこちらが把握していないだけで、皆さん知っているのか?おそらくそんなに知られてないのでは?

「社会的な不安が払拭された段階では、一気に日本経済をV字回復させていく。全国津々浦々、皆さんの笑顔を取り戻すため」…といった絵空事会見をするんだったら、各省庁の方が会見に登場し広くこうした対策を知らせた方が良いのではないだろうか?

4月1日付の産経ビズよると、フェイスブック上で経産相の支援策を紹介する書き込みが「『奇跡のラストワンマイル』運動」と名付けられ数千件規模でシェアされているとのこと。
経産省支援策、FBで中小に拡散 情報公開「奇跡のラストワンマイル」運動

あと、「ECのミカタ」でも経産相や厚労省の支援策を伝えている。これは素晴らしい。
【新型コロナ】経済産業省・厚労省が感染拡大にともなう企業などへの救済・支援策をとりまとめました

でも、マスメディアや国民の多くが注目する会見でも伝えた方が良いのではないだろうか?なぜなら情報がないことほど人々を不安にすることはないのだから。地図を持たずにまったく知らない土地にいくことほど不安はない。まったく知らない密林にGPS付きのナビゲーションや、その土地に詳しいガイドと一緒に入っても遭難するかもしれない。

社会的問題になっている今、政府として取っている対策はしつこいくらいに伝えてもいいんじゃないだろうか?そうしてはじめて、ニュースが報じて、個々人でSNSで拡散して、足りないものなど要望を出し、少しずつ改善していったらいいのではないだろうか?

最後にこのメルマガの読者の皆さんに伝えたいのは、首相や都知事会見では大した情報を得られないので、各省庁の公式サイトに行き自分にもっとも必要なことは常に確認することをおすすめする。すでに情報がかなり出ているので、最初みにいくと情報過多でどのページをみたら良いか混乱するかもしれないが、毎日みていると見慣れてくるので最初で挫折しないように。

あとは、関連キーワードで検索すると、上記「ECのミカタ」のように、専門情報サイトがまとめていることもあると思うので、そちらも参考になるだろう。

というわけで、来週からは、アメリカの企業が取っている対策、政府の支援策についてお届けしよう。こんな対策があると知ることで地図をもって未来を考える指針になればと思う。

image by: Maria Romashko-Duchesne / shutterstock

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ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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