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コロナ禍に虐待やDV急増。ストレスで自分を加害者にしない方法

新型コロナウイルスの流行拡大防止のため、世界的に外出自粛を余儀なくされていますが、そのストレスによるDV(ドメスティックバイオレンス)等が顕在化しています。この問題に私たちはどのように対処すれば良いのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では著者で健康社会学者の河合薫さんが、自身が考案した認知行動療法に基づく「モヤモヤメモ」の活用法をレクチャーしています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2020年4月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

コロナストレスとの付き合い方

コロナ拡大に伴う外出制限により、女性へのドメスティックバイオレンス(DV)や、児童虐待が増えているとされています。

1か月以上、外出が禁止され学校が休校となっているフランスでは、今月10日からの1週間で、児童虐待の被害などを訴えるホットラインへの通報件数が1万4,693件に達し、去年の同じ時期に比べ89%も増加。欧州やアジアでは3割増加したとの報告もあり、いかに第三者が異変に気付くかが課題になっています。

また、国連組織「UNウィメン」のムランボヌクカ事務局長は、外出制限が感染抑止になると認めた上で「暴力的なパートナーといる女性は孤立を深めることにもなっている」と危機感を強め、国連はコロナの陰に隠れたDVの「パンデミック」が起きていると警鐘を鳴らすなど、日本でもリスクが高まっていると懸念されています。

それまで当たり前だった日常がなくなり、家に閉じこもることは誰にとってもストレスです。

これは「私」にとっても例外ではありません。いつ、なんどき、ちょっとしたきっかけで、「私」が加害者になってしまうかもしれないのです。

そこで今回は「ストレスとの付き合い方」を紹介します。

そもそもストレスとは何か?

一般的には「家にずっといるとストレスたまる~」「ストレスでおなかが痛い」「ストレスでイライラする」といった具合に、世の中に存在する説明しがたいネガティブなものや症状・出来事は、すべて「ストレス」という一言で片付けられていますが、学問的には3つの言葉に分類されます。

1つ目は「ストレッサー」です。これはストレスの原因となる刺激や出来事のことで、私たちは出来事に遭遇したとき、それが「自分や自分の大切なものになんらかの脅威や不安を与えるもの」だと判断するとストレスを感じます。

何がストレッサーになるかは個人の感覚次第です。ある人にとっては何でもないことでも、ある人にとってはものすごいストレスになる。また、同じ出来事でもそのときのシチュエーションやタイミングによって、ストレッサーになったりならなかったりもします。

つまり、極論をいえば日々遭遇するすべてのことが、ストレッサーになりうる。ストレッサーは人生にあまねく存在しているのです。

2つ目は「ストレス」です。これはストレッサーに遭遇することで生じる緊張や混乱などの反応で、不安、怒り、悲しみ、憎しみ、恐れ、というネガティブな感情として表出します。

「ストレス」という言葉は、もともとは物理から来た言葉で“ゆがみ”を意味します。ストレッサーに出会うと心がゆがむ。この状態がストレスです。

そして、3つ目が「ストレス症状」で、ストレスを強く、あるいは長く感じていることで心身に生じる症状や病気です。

ストレス状態におかれると免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったりアレルギーが出たり、不眠症、食欲低下、頭痛、無気力、胃潰瘍、心臓疾患、うつ病などのストレス症状が発症します。

「ストレッサー→ストレス→ストレス症状」というストレスのプロセスがわかれば、あとは「何をするか?」です。

ストレスは人生の雨のようなものなので、「雨(ストレス)」が降ってきたら、雨を降らせている雨雲(ストレッサー)を見つけてください。

その上で、雨に濡れて風邪をひかないようにするには(ストレス症状)「何をすればいいのか」=対処行動を考える。その繰り返しが、ストレスへの対処力を向上させます。具体的にお話ししましょう。

「家にずっといてストレスがたまる」と感じたら…

1.妻とずっといることがストレッサーなのか?
2.家事を手伝わなければならないことがストレッサーなのか?
3.外に行きたいのに、行けないことがストレッサーなのか?

といった具合にストレッサーを突き止めましょう。

もし、「1」なら、「妻と物理的な距離を取る」という対処行動を、「2」なら、「家事分担を明確に夫婦で決める」という対処行動を、「3」なら、ベランダで仕事する、散歩にいく、歌を大声で歌う、腹筋を100回するなど、気分転換する時間を日常のルーティンに加えてください。

ストレスは雨です。たまった雨はかき出すしかありません。そして、うまくかき出すことができたら、今度は「どんな傘があれば雨をしのげるか?」を考え、傘を準備してください。

あと、一日の終わりに「今日のモヤモヤ」「今日のハッピー」「明日はど~する?」の3つを書くことも効果的です。

「今日のモヤモヤ」は凹んだこと、頭にきたこと、悲しかったこと、つまらなかったこと、イライラしたことなど、なんでもいいので気分がマイナス方向にひっぱられたことを書く。

「今日のハッピー」は嬉しかったこと、楽しかったこと、ホワッとしたこと、ホッとしたことなど、一日の「小さな幸せ」探して書く。

「明日どーする」は、「これだけはやろう!」と、明日の小さな目標を書く。

この「モヤモヤメモ」を寝る前に書くと……、ネガティブな感情がポジティブに変わります。自分の周りにある“傘”に気付く、書き続けることで「ストレスの雨」に対処する力が高まるといった効用が期待できます。これは「Writing Method」と呼ばれる手法に認知行動療法を交えたもので(著者開発)、1,000人を対象にした調査でその効果が認められているのです。

というわけで長くなりましたが、外出制限も長引きそうですのでぜひ、実践してください!

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2020年4月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

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