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コロナ陽性の看護師が勤務継続。現場から聞こえる医療崩壊の足音

新型コロナウイルスの集団感染が確認されている大阪府の病院で、女性看護師が感染していると知りながら仕事につかせたことがわかったとNHKなど各社が報じた。病院側は「代わりの人員を探したが見つからなかったため勤務を指示した」と説明しているという。


すでに「医療崩壊」か。ある医療従事者の証言

新たに確認される感染者が連日100人を超えている東京都では、患者が入院するベッドを毎日増加。なんとかしのいでいる状況だという。4月12日時点の、東京都の新型コロナウイルスに対応できる病床数は2000床、治療や療養が必要な患者数が1974人だった。受け入れ可能な患者数を超えると、人工呼吸器が足りなくなり、救えるはずの命が救えなくなる。不足しているのは医療従事者の人出だけではない。いまだに防護服やマスクも不足している。MAG2 NEWSは、ある医療従事者に直接、現場の状況を聞いた。

証言によると、トイレに行く際は防護服を脱がなければいけないため、再び業務にあたる際には新たな防護服を着る必要があるという。しかし防護服は不足しているため、トイレに行かずに済むよう「オムツ」を穿いて治療にあたっているほど防護服が足りていない状況だと話した。また、こうも訴えている。

「今でも人出はギリギリの状態。重症者は2週間では治らない。感染者を増やさないよう、お願いだから外出を控えてほしい」

防護服やマスクの不足、医療従事者の人出不足と精神的・肉体的負担の大きさ。日本でも「医療崩壊」は始まりかけているのかもしれない。

命の優先度スコア

Newsweekによると、アメリカのカリフォルニア州やミネソタ州、コロラド州の公衆衛生局は、再び医療崩壊の危機に直面した際に「どの患者を優先的に救うべきか」の指針を発表しているという。患者の優先度を判断するためのチームを作り、そのチームは患者の年齢や重症度、基礎疾患があるか否かなどから判断。ほかにも、医療従事者や救急隊員の治療を優先すべきだとも示している。人工呼吸器が足りなくなった場合には、患者に8段階の「優先度スコア」をつけて判断を下すという。スコアが同点の場合は、より若い患者が優先されるとしている。

イタリアでも「命の優先順位」

イタリア北部の街の病院では人工呼吸器が足りなくなり、持病がなかった患者も亡くなった事例が出ている。アメリカの医学誌ではイタリアの状況について「誰を助けるか決めないといけない状況」としていた。これは決して他人事ではなく、日本でもこのような状況になることは容易に想像できる。現場がすでにギリギリの状態であることは、自宅療養となった埼玉県の男性が亡くなった件でも明らかだろう。それでも「気分転換に」とリスクがある「不要不急の外出」をしてしまうのか、家族でスーパーに押しかけるのか、公園や海に遊びに行くのか。今、私たち一人ひとりの「行動」が問われている。

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source:NHKNewsweek

image by:StreetVJ / Shutterstock.com

 

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