新型コロナをめぐる情報を見て思う、メディア倫理再構築の必要性

 

立教大の河野哲也教授は、「和辻哲郎とケア倫理学:両者は協働できるだろうか」(Chisokudō Publications)の中で、「間柄を、和辻のように社会的な役割としてではなく、個々人の人間同士の共感的・情動的な繋がりとして捉えるケア倫理学は、個人をあくまで人間として扱う点においてコスモポリタニズムに近づくはずである。コスモポリタニズムは、法による強制力をいまだ持てていない。ケア倫理学は、コスモポリタニズムと合流し、国内政治よりも国際関係に間柄のモデルを見出すべきではないだろうか」と説く。

この和辻の倫理学に日本文化との融合を見出しながら、文化背景や宗教的価値観によってその倫理は生活とともに成り立っているから普遍ではない。メディア倫理と言っても文化と社会的な状況によって変わってくるのだ。マスメディア企業からソーシャルメディアを利用する個人まで、メディアでの発信が多様化・無差別化・簡易化する中で、私たちのメディア倫理はどうあるべきだろうか、という問いは絶えず自問し続けなければいけないのである。

マスメディアの倫理がこれまで多くの失敗を積み重ね、今でも倫理に反する行動が目に余る状況は続き、マスメディアが倫理を語れる存在にはなっていない。そんな混沌な状況を整理するために、メディア倫理の普遍的な価値を探ろうと現在、国際的にメディア倫理に関する意識調査を行っている。

対象国は日本、韓国、中国、フィリピン、インド、ベトナム、インドネシア、スリランカ、オーストラリア、東ティモールでこの国以外でも受け付け可能である。是非多くの方に調査協力をしていただき、メディア倫理の新しい形を示す研究を進めたいと考えている。

きっと、今だから気づくことも少なくないと思う。調査用紙は「みんなの大学校」のページからダウンロード可能です。

image by:Mirko Kuzmanovic / Shutterstock.com

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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