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嘘でしょ…まさか逆の意味?海外で日本人がやりがちなNG行動

海外旅行で外国を訪れた際、英語や現地の言葉が苦手でも、「イエス(はい)」や「ノー(いいえ)」を意味するジェスチャーをするだけで何となく通じることがあります。

例えば、肯定のときはうなずく、否定のときは首を横に振るといったですね。

しかし、このように日本人にとっては当たり前のしぐさでも、海外の国によっては通じなかったり、場合によっては逆の意味で伝わったりすることがあるのです。そして国によっては、相手を不快な気持ちにさせてしまうNGなジェスチャーも少なくありません。

そこで今回は、日本とは異なる世界の「イエス」と「ノー」のジェスチャーや、日本とは真逆の意味を持つジェスチャーなどについてご紹介していきます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、以前のように気軽に海外旅行できない状況が続いていますが、こうした知識を学んで諸外国に思いをはせたいですね。

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日本とは違う世界の「YES」

日本で「イエス」を意味するしぐさは、うんうんと「うなずく」ことで表現できますよね。しかし、「イエス」を表すジェスチャーは、世界では意外と違っているのです。

あごを上げる/イタリア南部、ギリシャ、トルコ

須藤健一監修『それ日本と逆!?文化のちがい 習慣のちがい 第2期(2)』(学研)にも書かれている通り、有名な例はイタリア南部の人たち。

さらに地理的に近い、イオニア海を挟んだギリシャ、エーゲ海を挟んだトルコなども日本とは違うしぐさをするといいます。彼ら・彼女らの肯定の動作は「あごをそらす」こと。

日本人のうなずきが、あごを下げるイメージなら、イタリア南部の人たちギリシャ、トルコの人たちは、あごを上げるのです。

日本だと手を使わず何かを指し示す時に「あぁ、それ」と、あごをクイッと上げることがありますよね。質問に対し急にあごを上げられると「なんのこと?」とビックリしてしまうかもしれませんが、お間違えないように。

まゆをつり上げる/フィリピン

ほかにもフィリピンでは「片方のまゆをつり上げる」という動作が、イエスのしぐさとして先ほどの本に紹介されています。

Thomas James Tiam-Lee の論文『Analyzing Facial Expressions and Hand Gestures in Filipino Students’ Programming Sessions』によれば、フィリピン人は表情の変化が豊かで、表情で感情を伝えるコミュニケーションが上手なのだとか。

フィリピンの観光地、セブ島の掲示板(Q&Aサイト)には、アメリカ人らしき人から「How Filippinas Say Yes (Or No) Without Actually Saying It (どうやって、フィリピンの人たちはイエスまたはノーを、実際に言葉にせずに伝えるの?)」といった質問が寄せられています。

その答えのひとつには、案の定、先ほどのまゆを動かすしぐさが紹介されています。

とくに女性のなかには「イエス」を、言葉にするよりまゆだけを動かして返す人が多いのだとか。その理由として、言葉を出さずに返事をする方が「honest(誠実で正直)だ」と語る回答もありました。

日本だと眉をしかめる、うーんと思案する表情に近いかもしれませんが、その意味は違います。フィリピンで何か尋ねた際、返答がなくてもご心配せず。表情でしっかり返してくれているかもしれませんよ。

正面を向いたまま首を左右に傾ける/インド

ちなみに筆者が個人的に世界を旅していて、驚いたのは、インドの「イエス」。

正面を向いたまま、「首を右と左に交互に傾ける」ことで肯定を表現するのだとか。

日本でやっても「えー、わかんない」だとか、何かを知らないふりしている、とぼけているようなしぐさに見えてしまいます。少なくともインドのように「イエス」の意味では、通じませんよね。

日本とは違う世界の「NO」

次は「ノー」のジェスチャーについて。「いいえ」などの否定を意味する動作といえば、「首を横に振る」ことが、日本人の共通スタイルです。日本のほかにも多くの国で「ノー」のときに首を振る動作が浸透しています。

しかし、日本人からするとちょっと以外なジェスチャーで「ノー」を表現する国もたくさんあるのです。

首を後ろにそらす・まゆ毛をつり上げる・目を開く/ギリシャ

ギリシャの場合、「首を後ろにそらす・まゆ毛をつり上げる・目を開く」といった動作で否定の「ノー」を示すと、先ほどの『それ日本と逆!?文化のちがい 習慣のちがい 第2期(2)』にも書かれています。

真偽を確かめるべく、ギリシャ人が運営するギリシャ語の学習コンテンツ『GreekPod101.com Blog』を調べてみると、

<The Greek gesture used to say “no” can be a bit tricky. It includes raising the eyebrows and tilting the head backwards instantly. This gesture often includes the mouth and a subtle clicking of the tongue>(GreekPod101.com Blogより引用)

とあります。

引用文の大まかな意味としては、「ギリシャのジェスチャーで『ノー』を表現する方法は少しトリッキーです。まゆを上げ、首を後ろに素早く傾けます。このジェスチャーにプラスして、口と舌でわずかに音を鳴らす場合もたまにあります」といった感じです。

先ほどの参考文献にあった「首を後ろにそらす・まゆ毛をつり上げる・目を開く」という説明は、まとめて全部を行うといった意味だったのですね。

首を左右に振る/インド

先ほどインドでは、「イエスのときに首を左右に傾ける」とご紹介しましたが、同じように「ノーのときも首を左右に振る」ジェスチャーをします。

一見、「イエス」なのか「ノー」なのか分からないこの動作。ゆっくりとしたスピードや、まゆをひそめながら首をふるときは、「あまり同意できない」などを意味するのだとか。

YouTubeの「This Is Barry」チャンネルで動画を投稿しているバリーさんの解説動画によると、頭を振るスピードが速いときほど、「とてもいい」などを意味するそうですよ。慣れていないとインドのジェスチャーを見分けるのは難しいかもしれません。

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肘を曲げて手首を回す/南アジア

さらに個人的な経験をプラスしておくと、南アジアの人が「ノー」を示す際、ひじを90度に曲げ片手を上げて、手首から上を何度も右左に旋回させるような動作をしていたと記憶しています。

日本人だと同じ場面で、上げた手の先を右左に小刻みに倒して「ノー」を示しますが、同じ手先をでんでん太鼓のように左右に旋回させていました。海外旅行の際は、返答とあわせてジェスチャーに着目してみるのも面白いかもしれません。

日本と意味が真逆?うなずくと「NO」の意味になる国

今度は日本と同じジェスチャーなのに、「イエス」と「ノー」が全く逆に伝わるケースをまとめてみましょう。

先述した通り、日本のイエスといえば、首を縦に振る動作が一般的だと思います。しかし、一部の国では首を縦にふるとノーを意味するケースも少なくありません。

ノーのときは首を「縦」にふる/アルバニア、スリランカ、ギリシャ、イランなど

アルバニアやスリランカでは、「首を縦に振る」と否定を意味するという話が一部にあります。

早速、確かめてみると、アルバニアやスリランカだけでなく、ギリシャ、イラン、トルコ、イタリアのシチリア島で、「首を縦に振る」=「ノー」を意味するとわかりました。

イエスのときは首を「横」に振る/ブルガリア

例えば、ブルガリアのジェスチャーについて書かれた米大手トラベルサイト『Tripsavvy』の「Nonverbal Communication: Yes and No in Bulgaria」という記事を見ると、

<the custom of nodding for “no” and shaking from side-to-side for “yes” persists in Bulgaria to the present day>(Tripsavvyより引用)

と書かれています。

引用文の意味は「『ノー』でうなづき、『イエス』で首を横に振る習慣はブルガリアに残っていて、今日にも通じます」といった感じです。

思えば、ギリシャもブルガリアもトルコもエーゲ海に面した国で、アルバニアもギリシャと国境をともにしていて、オトラント海峡を挟めば、イタリア南部と地理的に「近所」に位置します。

イタリアがブーツの形だとすれば、シチリア島もそのつま先に浮かぶ巨大な島ですから、イタリア南部のひとつです。基本的にギリシャ周辺の国々には、「イエス」で首を横に振り、「ノー」で首を縦に振る文化があるみたいですね。

ポジティブな意味のジェスチャー

次は「イエス」というメッセージを伝える際に、うなずく以外で、どのようなしぐさが世界にはあるのか、見ていきましょう。

スウェーデンの研究者 Jens Allwood の『A study of gestural feedback expressions』によると、一般的に前向きな意思を示すジェスチャーは、

をする人が圧倒的に多く、次に

という人がトップ3で続くといいます。日本人からしても、納得の結果ですね。

最後のjerkは、世界の不思議な「イエス」のしぐさでも紹介した、イタリア南部、ギリシャ、トルコの人たちが見せる動作です。

では、こうした一般的な動作に加えて、前向きな気持ちを示すジェスチャーには、ほかにどういった種類があるのでしょうか。

「ありがとう」は胸に手を当てる/ギリシャ、中国

image by:Shutterstock.com

例えば、ギリシャでは「胸に手を当てる」と、「ありがとう」という意味になるとされています。

医療従事者の海外インターンに関する情報を扱ったイギリスのウェブサイト『Work the World』の「AROUND THE WORLD IN 42 HAND GESTURES」によると、同じように 中国でも「胸に手を当てる」と、「心から約束する」といった意味になるとされています。この辺りは、なんとなく日本人でも共感できるしぐさですよね。

合意したときは小指を絡ませる/中国

同じ中国でいえば、握りこぶしの親指と小指を立て、両方の小指同士を絡ませるようなしぐさで「われわれは合意に達した。この関係がずっと続くように願っている」といった意味を表せるのだとか。ビジネスなどの場面でも役立ちそう。

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「ありがとう」は手の甲を見せる/メキシコ

メキシコでは片手を上げ、「手の甲を相手に見せる」と、「ありがとう」を意味するそう。

幸運を祈るときは人差し指と中指をクロス/アメリカ

アメリカではピースサインの「人差し指と中指を交差」させると、「幸運を」といった意味が伝わります。これはiPhoneの絵文字にも採用されているハンドサインです。

こういったジェスチャーを組み合わせながら、「イエス」や「ノー」とはちょっと違う、微妙な思いを伝えられるようになると、余計に人間関係は深まるかもしれません。

気をつけたい。海外でNGなジェスチャー

逆に、ネガティブなしぐさはどうなのでしょうか。日本の場合、手のひらを相手に見せて距離を取ろうとするしぐさだったり、両腕を顔の前で交差させ「×(バツ)」を描く動作だったりするはずです。

海外のしぐさについては、前のページで紹介した「AROUND THE WORLD IN 42 HAND GESTURES」に詳しく掲載されています。

手をすぼめて胸の前に示すのはNG/フランス

image by:photoAC

例えばフランスに関しては、指先で砂をつまむように、両手の親指とそれ以外の指を合わせ、手のひらを上に向け、胸の前に示す動作が紹介されています。これで「ストレスを感じている」などの意味が示せるとか。

手をすぼめた状態で上下させるのはNG/イタリア

イタリア人が解説する『Understanding Italian Gestures』というネット記事によれば、このフランス人の手つきに、両手を上下に動かす動作を加えると、イタリアでは「強烈な疑問を感じている」といった意味を示せるみたいです。

手のひらを上に向けて上下に揺らすのはNG/スペイン

さらに両手の指先を広げ、手のひらを上に向けたまま上下に揺らすと、スペインでは「あいつは、だらしない」といったネガティブな感情が示せるのだとか。 それぞれ、通じ合う部分がありそうですね。

ほかにも世界のジェスチャーは、いろいろとあります。

人差し指で目の下を(あかんべのように)触ると、フランスでは「お前を信用していない」といった意味になると「AROUND THE WORLD IN 42 HAND GESTURES」にも書かれています。

日本の「あかんべ」の意味は「嫌い」といった感じですから、なんとなくネガティブな印象では通じています。

人差し指でこめかみを押すのはNG/ドイツ

ドイツでは「人差し指でこめかみを押す」と、「あんた、おかしいんじゃない?」といった意味になります。

このしぐさは比較的いろいろな国の人がやる印象があります。筆者は実際に、オランダでこのジェスチャーをされた経験もあります。なんとなく意味は、伝わってきますよね。

このように世界には日本とは異なる意味を持つジェスチャーがたくさんあります。日本では当たり前のように使われているしぐさのなかには、海外ではNGであることも少なくありません。

海外に気兼ねなく行けるような時期になったら、ジェスチャーも勉強してみると、より深いコミュニケーションが楽しめるはずです。簡単なトラベル会話よりも難しいかもしれませんが、学ぶかいはありそうですね。

参考
Analyzing Facial Expressions and Hand Gestures in Filipino Students’ Programming Sessions-IEEE
How Filippinas Say Yes (Or No)Without Actually Saying It-Living in Cebu Forums
Expect the Unexpected: 4 things you may not know about Nepal-oneseedexpeditions
AROUND THE WORLD IN 42 HAND GESTURES-Work the World

image by:shutterstock
※この記事はTRiP EDiTORから転載しました。(初出:2020/06/13)
※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。

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