新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの企業の業績が悪化しています。中には退職を余儀なくされてしまった人もいるかもしれません。メルマガ『毎月1000人集客するプロ講演家が教えるコミュニティづくりの秘訣』の著者で、ベストセラー作家・起業家の岡崎かつひろさんは、そういった人こそ自分の働き方、仕事のスキルを見直す必要があると説きます。この機会に一度立ち止まることで、改めて自分に足りないものが何なのか気付くことができるでしょう。
会社をクビになってから気づく、のでは遅すぎる!
コロナで予定していた仕事が全部中止になってしまった、それによって収入が大幅に減ってしまったという人。派遣先で更新できなかったなど、仕事の面で大きな影響を受けた人もたくさんいると思います。
なかでも問題なのが、会社をクビになってしまった人。会社自体が倒産してしまったら仕方がないですが、存続しているのに自分だけクビになってしまったという場合は、これを機に自分の働き方、仕事のスキルを見直さなければいけません。
会社をクビになった人について言えば、そもそも「会社をクビになってやばいぞ」と思ってる時点で問題です。
会社も馬鹿じゃないから優秀な人からは切らないんですよ。できれば優秀な人には残って欲しいし、継続してがんばってもらって、テレワークも模索して、家にいても生産性が上がるようにしたいと言うのが経営者の思いです。
クビになる人と言うのは、会社が求めている変化についていけなかったり、会社が求めているだけの能力に追いついていなかったり、仕事のやり方がいまいちだったということです。
これを機にきちんと自分の働き方や姿勢、ビジネス能力を見直して、「どこに行っても通用するビジネスパーソンになる」ことを決めると良いですよね。
人件費は「高くても成果を出せる人」にこそお金をかけるべき
会社からすると、従業員に払うお金「人件費」というのは、ドライな言い方をするとお買い物するものと一緒なんですよ。要は、机を買うのとかテレビを買うのと同じ。そうすると「どうせ買うんだったら極力安くて良いものがいい」と思いますよね
一番ダメなのは、高くて性能が悪いモノなものですが、安くても性能が悪いものを買ってしまうと負債が増えていくことになるので会社としては好みません。
だから少々高かったとしても性能の良いものを買いたいんですよ。これは人に対しても一緒です。「この人は仕事ができるよね」とか「この人にお願いしたら会社が伸びるだろうな」と言う人にはお給料も出すし、福利厚生も良くするでしょう。
もし、自分が会社に一目置かれるほどの仕事ぶりであれば、会社としてはいい人材は手放したくないから、交渉次第によっては自分の要求も通りやすくなります。
たとえば、建設会社で働いていたある女性の話なんですけど、こんな人がいました。
彼女は僕のセミナーに出たいからということで、会社に「セミナーに参加したいので、休日出勤はできません」と伝えたそうです。
そしたら会社が「土日は会社に来なくていいから、そのかわりセミナーでちゃんと学んできなさい」と言って休みの日を変えてもらえることになりました。
さらに、だんだん仕事が忙しくなってきたため「自分の学びに時間を費やしてないのでやめます」と言ったそうです。その結果「労働時間を少なくするし、給料もあげるから残ってくれとまでいってもらえたそうです。
要は、会社から必要とされる人材になるためにも自分の能力を磨き続けることが大切です。他の人から必要とされていないことには、いくら給料をあげてくれと言われてもあげられないですよね。労働状況よくしてくれと言われてもあげるわけにはいかないですよね。
自分の価値を上げるか下げるかは時間の使い方次第
たとえば、これを自分が買う側になって考えてみましょう。
カローラの中古車を売りたいと思っている人がいます。その人が「この車は僕が10年間愛着をもって乗ってきたものなので、200万円で買ってもらえませんか?」といったら、どうでしょうか。市場価格が仮に50万円だとしたら、4倍ですよ。中古車なら25万円がいいところかもしれませんね。
逆に、中古車でも価値があると認められると、値段が大きく上がることがあります。
昔、僕はミニクーパーというクラシックカーに乗っていたんですけど、Yahoo!オークションでミニクーパーを12万円で買ったんですよ。
それが今では同じ車種が300万円で取り引きされています。ちゃんとメンテナンスがされていれば、古ければ古いほど価値がつくものもあるんですよね。
中古車と言うカテゴリーで見たら同じなんですけど、クラシックカーとかヴィンテージ物と言うものは時間とともに価値が上がるじゃないですか。
人間も一緒です。時間と一緒に価値が上がれば高く買ってもらえるわけですが、時間とともに劣化していたり成長していなかったら、その劣化した時間の中で成長していなかったら、それを高く買って欲しいと言われても無理な話じゃないですか。
だからもし今クビになってしまったと言う人がいたら、根本的な問題は自分の能力不足だと思うんですね。それが専門的なスキルなのかベースのスキルなのかはわからないですけど。
もし専門性に欠けるのであれば、もう一度専門性を磨き直す必要があります。また先ほどお話ししたベースとなるスキルで欠けているところがあるのであれば、ベーススキルをもっと磨く必要があります。
コロナをきっかけにそこを見つめ直すだけで大きく変わります。
今このタイミングで仕事がなくなったと言う人は、本当に会社が潰れてしまったと言うのであれば別ですよ。そうじゃなくて、会社が傾いた。その時に2ヶ月ぐらいですよね。最初のこの2カ月間で仕事がなくなると言う人は、自分のビジネス能力を疑うことから始めた方がいいと思います。
ハーバード大学から学ぶ「知的謙遜」の重要性
僕は、ハーバード大学の研究の話がすごく印象に残りました。
ハーバードの研究員になるとき、まず初めに「知的謙遜」について習うそうです。何かと言うと、「自分は思っているほど優秀ではない。頭は良くないかもしれない」。と言う前提に立って研究しなさいと言うことなんです。私はできる子だと思ってしまうと、人の意見を聞かないじゃないですか。
「人は不完全で間違いを起こすことを受け入れ、客観的に物事や自分自身を見る」「新しい文化やアイデアに出会った時、頭から拒否するのではなく、まずは試してみることが大切」
「私はできない人間かもしれない」「私は間違っているのかもしれない」と100%否定する必要は無いんですよ。不健全な自己指定をする必要はないので、いいんですけど、知的謙遜、健全な自己否定と言うのは必要です。
そうすると人の話もしっかりと聞けるようになります。
このハーバード大学の話であるように、1回立ち止まって自分の価値観や考え方を疑ってみる。それをちゃんとした方が人は成長します。
成績が高い者ほどよく伸びる「ダニング=クルーガー効果」
僕の本にも書いたかもしれませんが、「ダニング=クルーガー効果」という認知バイアスがあります。これは、能力や成績が平均点より高い子点数をとっている人ほど自己評価が低く、逆に、平均点より低い点数をとっている人ほど自己評価が高いんですよ。
だから、何が起きるかと言うと平均点より下なんだけど、自分はもう済んだもんだと思ったら勉強しないので、さらに成績は落ち込んでいきます。
「自分はもっと頑張らなければいけない」「平均点よりも高いんだけど、もっと頑張らなければいけない」と思っている人の方がさらに上に行きますよね。
こういうタイミングでクビになる人はどういう人かと言うと、ある平均点に対して下にいる人なんですよ。もしくは、会社が期待している期待値よりも下なんですよ。なんだけど、本人は自己評価が高いんですよ。これが問題なわけです。だから1回、自己評価をもしかしたら思っているほど高くないのかもしれないぞと一度考えたほうが物事はうまくいきそうな気がしますよね。
自分の実力をもう一度セルフチェックしてみることが大切です。正しい評価をすることが大切です。
正しい自己認識をすると生産性は6倍上がる
「insight(インサイト)──いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力」と言う本で書かれていてなるほどと思ったのが、正しい自己認識をすると生産性は6倍上がるいうことです。
正しい自己認識。要は高すぎるのも低すぎるのもだめ。本当は低いのに自分を高く自己評価してしまっていると、受けてはいけない仕事を受ける可能性がありますよね。
本当は能力が高いのに自己評価が低いと、もっと自分を成長させてていくために、受けた方が良い仕事があっても、「いや自分にはまだまだだ」と思ってしまいますよね。
だから、高く見積もるのも、低く見積もるのもどちらもあまり良いことではありません。ちゃんと自分のレベルを適正に診断できていると言うことが一番大事でしょうね。
個人に関して言うと、この機会にまずはちゃんと自分の能力を冷静にできれば診断する研修もありますから、そういうものを受けてもらうのもいいと思います。
なかなかすぐには見つからないと思うので、まずは冷静に周りの人から1つフィードバックをとってみたり、健全自己否定しながら俺にはクビになるだけの理由があったよな。もっと磨かなければいけないよなと思ってもらうのが1番良いと思います。
今が踏ん張り時。顧客との関係性を大切に!
もう一つは事業主さんですよね。これは業態によるんですけど、IT系の方は結構伸びている気がします。もちろん厳しい人もいっぱいいると思います。多分どちらかと言うと、実際接客が伴うような商売をやっていらっしゃる方が一番大変なんじゃないかなと思います。
でも逆に、今はビジネスチャンスだなとも思っています。特に給付金等が出て個人で商売をやってるようなことに関しては、一企業あたり200万円ですよ。持続型給付金ですか。
正確に言うと、業績によります。商売を続ける最低限のお金はあるんじゃないかなと思います。おそらくは、いろんな商売がありますよ。セミナー講師をやっている方もいれば保険の営業さんをやっている人もいる。たぶんまわりの人からしたら「〇〇さんは大変だろうな」と思われていると思うんですよ。
大変だったとしても「大変なので手伝ってください」「助けてください」と言うのはやめたほうがいいですけど、次の言い方だったら気持ちよく受け取れるんじゃないでしょうか。
「コロナで大変かと思いますがお元気ですか。こちらは皆さんの応援もあって何とかうまくいっています。コロナが明けましたらまたお会いできたらいいなと思っているので、ぜひお声がけさせてください。何か応援できる、力になることがあれば、可能な範囲で助けようと思いますので、ぜひおっしゃってください」と、今連絡を取ったら、その後のアポ率が高いと思うんですよね。
まだ今すぐコロナが大丈夫って言う状態じゃないにせよ、ひとまずは一段落がついたと思うんですよね。
ちゃんとお客様との関係性を作っていくことを考えれば、そう厳しいことばかりじゃないと思いますけどね。
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