独メルケル首相が米トランプに見切り。日本がとるべき道は何か?

shutterstock_644862949
 

新型コロナ対策の失敗で支持率を落とし、国内に引きこもるトランプ大統領。香港への国家安全維持法の適用で自由主義諸国からの反発を受ける中国。こうした状況から、米中とは別の「民主主義を守る中軸勢力」を築くべく、ドイツのメルケル首相が動き始めました。日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんは、メルマガ『国際戦略コラム有料版』で、各国の動きや思惑を解説します。日本については、香港移民を受け入れないなど、習近平氏の訪日問題があり、中国に配慮する姿勢を問題視。世界の構図の変化に対応し、いま手を取るべき相手が誰かを示しています。

メルケル首相のコペルニクス的転換

トランプ大統領の趣旨替え

トランプ大統領が「マスク着用」容認にシフトした。今までは、マスク着用を非難していたから、大きな方針の転換になっている。ワシントン大学は、国民の9割がマスク着用なら、死者数を14%減らせるとした。10月までに、今のままでは、死者数は17万人になるが、マスク着用なら15万人まで減らせるとした。また、米国民の81%がコロナ感染に不安があると世論調査に回答している。

そして、政権に多くの人を送っているゴールドマン・サックスは、マスク着用ならGDPの落ち込みを5%軽減できるとした。政権内部からも、このままでは危ないという声があったので、GSが代弁したのであろう。

それと、共和党の地盤であり、テキサス州でも感染者数が激増したことで、高齢者層の支持を失う事態になり、マスク着用を容認することになったようだ。州知事のマスク着用義務化も非難しないという。早速、テキサス州アボット知事はマスク着用を義務化した。しかし、ニューヨーク州のクオモ知事が、国民のマスク着用を義務化する大統領令を出すよう求めていたが、トランプ大統領は、そこまでには至らないとした。

経済活動再開が早すぎたことで、コロナ感染症拡大を引き起こして、支持率が落ちたことに、やっと気が付いて、感染症対策の基本を認めたということのようである。トランプ支持率は36%程度まで落ちてきた。このままでは11月再選は不可能の状態になっている。

中国の行方

香港への国家安全維持法の適用で、自由民主主義国の多くが、中国の強硬的な外交と自由民主の弾圧を非難している。中国の孤立化が顕著になっている。しかし、中国の国内に目をやると、揚子江流域での洪水と、三峡ダムの決壊などの問題が深刻化していることが見える。

特に、三峡ダムが決壊すると、世界最大の貯水量があり、また、土砂が膨大に堆積しているので、決壊したときの下流域での被害は、相当に大きなことになる見られ、上海など大都市もあり、6億人が被害を受け、4億人程度が死亡するという。

このような状況でも、中国政府は心配がないと宣言している。コロナウィルス感染拡大の初期と同じような対応をしている。コロナ不況での国内の不満を海外に目を向けさせることで、解消しようとしているが、三峡ダムが決壊したら、そういうわけにもいかないはず。被害が膨大であり、海外からの支援も必要になる。その時に支援できるのは、経済規模が大きな自由民主主義国群しかない。

しかし、今、香港の自由を奪い、自由民主主義国から非難を受けているので、現政権のままでは支援を要請できないことになる。もし、三峡ダムが決壊したら、中国の習近平独裁政権は倒れて、自由民主主義国群の支援を受けやすい政権に代わる可能性もあると見える。それまでは、中国強硬外交は変わらないであろう。

print
いま読まれてます

  • 独メルケル首相が米トランプに見切り。日本がとるべき道は何か?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け