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「身長が低いと何をやっても不利?」筋トレのプロに聞いてみた

「あと5センチ背が高かったら人生は変わっていたのに」。多くの人が思いがちなことですが、それが悩みにまでなってしまうと取り除きたいもの。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』著者で塾長の桑原弘樹さんは、スポーツにおいて、体重別のクラス分けはあっても身長別のクラス分けがほとんどないことを示しながら、何においても高身長の方が有利というわけではないと、明解に説明。さらにスポーツに限らず、身長よりも必要な量の筋肉があることの方が重要である理由についても解説しています。

身長の悩み

Question

身長が低くて悩んでいます。もう背は伸びないので悩んでも仕方ないのですが、何をやっても不利なのだろうと最初から諦めてしまう悪い癖がついています。やはりスポーツでも身長は高い方が有利だと思うのですが、どう思われますか。(34歳、男性)

桑原塾長からの回答

私も身長が高くないので、お気持ちはよく分かります。三十数年前にグリコに入社する際の健康診断では167.5cmだったのが、最近の人間ドックの際には165.5cmと、なんと2cmも縮んでいました!!スタンディグカーフレイズのやり過ぎではないかと思ったりもしますが、いわゆる老化現象のひとつなのでしょうね。

さてご質問の件ですが、スポーツの内容にもよりますが、必ずしも身長が高い方が有利とは限らないのではないでしょうか。例えばバスケットボールやバレーボールのような競技の場合、ゴールの高さやネットの高さが高い位置にありますから、そこにより近い身長の方が有利なのは当然です。

しかし、ラグビーであれば、そのポジションによって逆に長身だと不利なケースもありますし、ボディビルの場合でも身長に対しての筋量というバランスで考えた場合はあまり長身だと難しいかもしれません。

格闘技の場合はどうでしょうか。手足が長いという有利な側面と、重心が高いという不利な側面が共存しているかもしれません。体重別とかクラス別と呼ばれる競技があります。柔道、レスリング、ボクシングなどはすべてクラス別です。ところが身長別という競技はほとんどありません。ボディビルにはトールマン、ショートマンといった具合に身長別で争うケースがありますが、やはり体重別の方が主流です。

つまり体重は大きく有利不利が現れるため、敢えてそこに規制を入れるのです。特に格闘技系の競技の場合は、体重の差は単に有利不利という次元から危険というレベルにまで差がついてしまうため、安全性も考慮して体重別としているのでしょう。

ではスポーツ以外においてはどうでしょうか。以前にも似たような話題に触れた事がありましたが、何故3メートルの人間は存在しないのでしょうか。もし身長が高ければ高い程有利であれば、つまり進化の方向が長身という方向であるならば、もっと人間の身長は伸びてもいいかと思います。

確かに昔の人と比べて平均身長は伸びていますが、これは栄養や生活スタイルの変化によるもので、ではこの先100年で身長がどんどん伸びていくかと言われればそれは誤差の範囲になるのではないでしょうか。それは必ずしも身長が高い事が、人の進化と合致しているわけではないからでしょう。

そこには重力の存在が大きく関わっています。地球上に重力がある限り、私たちは常に重力という負荷に抗って生活をしています。つまり最低でも重力に対応するだけの筋力がなければ生存すら危ぶまれるのです。

ところがどんどんと身長が高くなっていくと、体自体の質量も増えていきますからそれに伴った筋力が必要となってきます。更には骨や関節といった部分への負担が、耐えきれなくなってきます。2mを超えるような巨大な人が、意外に脆かったりするのは関節が耐えきれないというケースでもあります。他にも日常生活での心臓など内臓への負担、単純に重心が高くなることによる体幹の不安定さも不利になる要因といえます。

1立方センチメートルが10倍に大きくなると10cm×10cm×10cmですから1,000立方センチメートルとなります。つまり大きさが10倍になれば、質量は10倍ではなく1,000倍になってしまうのです。ではそれを支える筋量は1,000倍に増えるのかと言われれば、答えはNOです。関節や内臓に関しても当然追いついていけません。

筋力はある一定のレベルまでは筋肉の断面積に比例しますから、先の例で言えば10cm×10cmの100平方センチメートルになり、つまり100倍にしかなりません。この調子でどんどんと拡大されていっては到底筋力が追いつきませんから、極端に身長が伸びていくという事が人間という生き物にとって必ずしも進化ではないのでしょう。

では逆にどういう状態が有利なのでしょうか。それは、身長がそこまで大きくならずとも、筋肉がしっかりとついているという状態です。関節や内臓が負担に耐えうる範囲内において、より筋量が多いという状態が生き物としてはより有利な状態と言えるのではないでしょうか。

何よりも、身長は成人した後は伸ばす事は困難ですが、筋量は努力さえすれば年齢に関わらず増えてくれるのですから、これこそが生物としても進化なのだと言えると思います。

若い頃、ある先輩に言われた言葉があります。その先輩は身長が高かったので、身長が高くていいですよねと私が言ったのに対して返された言葉でした。
「男は上にどれだけ取るかではなくて、横にどれだけ取るかの方が大事なんだ」
その頃は、なんとなく雰囲気だけで理解していましたが、今は自分なりの理解が進んだ気がしています。

image by: Shutterstock.com 

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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