MAG2 NEWS MENU

逃げちゃダメだ。子からの性の質問に親はどう答えたらいいのか?

子どもの成長とともに親の悩みの種となるのが、「性についてどう伝えていくか」ではないでしょうか。見て見ぬ振りや家庭内でタブーのようにしてしまうのはいけません。特に夏には、さまざまな問題が起こるもの。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんが、年代や状況に応じて親はどう対応し、何を伝えていくべきか、詳しく丁寧に教えてくれます。

家庭で性教育ってどうしてる?

今年はコロナウィルス感染に伴う環境変化で、例年とは違った夏休みになりそうです。夏休みは、子どもが巻き込まれる犯罪が後を絶ちません。その中には性犯罪も含まれます。また、犯罪に巻き込まれなくとも、性に興味を持つ子どもたちの行動に親の目が届かなくなる時期でもあります。

子どもを守りつつ、正しい知識を持たせ、被害者にも加害者にもならないよう親として性について伝えることが大切です。何をどう伝えるのか、家庭における性教育についてお届けします。

1.性教育の目的は?

家庭によってタイミングは違うと思いますが、子どもの素朴な疑問に向き合うときがスタートです。単に生殖や避妊法を教えるものではありません。性教育のゴールは、子どもが自分らしく生きて、性に関わる選択を自分でできるようにすることです。

2.タイミングはいつ?

性的な関心に目覚めていない時期に伝える方が、思春期に伝えるよりも、反発がありません。性器の洗い方なども含め、お風呂タイムに男女ともに教えておくのが最適です。また、子どもから、性に関する素朴な疑問を尋ねられたときは、性教育のタイミングです。その疑問に対し、隠したりごまかしたりせず、きちんと向き合い、本当のことを伝えましょう。

このときの親の態度によっては、子どもが「性のことは聞いてはだめなこと」と捉えてしまう可能性があります。すると将来、性に関することで何か困っても親に相談する可能性は低くなります。子どもが尋ねてきたら、チャンスと捉えて絵本も活用しつつ科学的に教えてあげられると尚良いです。

3.どう答える?

子どもからの質問にどう答えれば良いか迷うときには、「お!良い質問だね、大事なことだからちゃんと調べて答えられるようにするね」と伝え、後からしっかりと答えれば問題はありません。未就学児の場合、とにかく最初は、

ということを伝えておくことが大切です。

また、普段から子どものちょっとした疑問にもはぐらかさずにしっかりと答えましょう。「おちんちん」「おっぱい」「おしり」などの単語が子どもの口から出たときはチャンスです。人前で大声でふざけて叫ぶ場合は、そういう話を聞きたくない人もいるんだよ、と伝えるチャンスですし、自分の性器を触っているときは、大事な場所であること、人前でしないことを伝えるチャンスです。

また、お友達のスカートをめくったり、ズボンをずらしたり、女の先生のおっぱいを触ったり男の先生の股間を触ったりするといった悪ふざけをしたときは、人の身体はその人だけのものだから、どんなに仲の良いお友達にも勝手に触ったり見たりしてはいけない、同様に自分の身体を勝手に触らせたり、見せたりしてはいけない、ということを伝えるチャンスです。

4.「お父さんとお母さんもセックスしてるの?」

子どもがショックを受け、セックスについて否定的な反応を示した場合は、「そう感じたのね、セックスがあって、あなたが生まれたの。セックスは、子どもがするものではないし、無理にするものでもなくて、お互いがしたいと思ったときだけするものよ」と子どもの気持ちを受け止めることが大切です。

また、今の性生活については、「これはお父さんとお母さんのプライバシーだから言えないこと。あなたも、プライベートなことは、誰かに聞かれても無理に話す必要はないからね」と教えましょう。

5.父親、母親の役割は?

家族の形が多様化している今、男親だから、女親だからという性差の役割の違いは敢えて意識する必要はありません。子どもの質問を受けた親が答える、というスタイルをとるのが良いと思います。わかる範囲で伝え、わからないことは子どもと一緒に調べたり、両親一緒に答えたりするのが良いでしょう。

ただし、思春期を迎えた子どもに対しては、異性の親よりも、同性の親や年長者の力を借りた方が良いでしょう。というのも思春期の正常な発達として、子どもは、異性の親に、性に関することを詳しく伝えることに大きく抵抗を感じる場合が多々あるからです。

6.アダルトコンテンツ

子どもがアダルトコンテンツを見てしまったときは「何見てるの?」「嫌だ、やめなさい」などと言わずに、「あら、裸の人の動画(写真)ね」などと、まずはありのままを伝え、責めていないことをわかってもらいましょう。また、PCの履歴で、子どもがアダルトコンテンツを見ていたことがわかった場合でも同じです。

アダルトコンテンツは、

などを伝えましょう。

フィルタリングは必要ですが、中高生になると、友達と一緒に見たり、あるいはビデオなどが回ってきたりするなど、目にしないでいることは不可能になります。だからこそ、AVやアダルトサイトの動画は、作り物で現実ではありえないことを伝える必要があります。自分や相手の気持ちや身体を大切に扱うことをしっかり教えることが大切です。

7.思春期からの性教育は?

小学校高学年に性教育をする場合は、まず親自身が、思春期の身体の成長について正しく理解することが必要です。初潮や精通については、学校の保健の授業で小学4年で学びます。親は、そのことを踏まえ、家では復習もかねて「学校で教えてもらった?ほかに知りたいことある?」「何かわからないことや心配なことは?」などと、普段から性教育について子どもに声を掛けておきましょう。

男子の場合は、マスターベーションについてその方法や、罪悪感を持つ必要がないこと、夢精については、自分の下着を事前に洗って洗濯機に入れておくことなどを伝えましょう。女子の場合は、初潮をきっかけにセックスや避妊についての話をしたり、強い月経痛や、貧血などを起こしていないか確認したりして、毎月の体調に気を配ることも大切です。

8.性について話そう

性について親子でオープンに話す家庭の方が、話さない家庭よりも性行動を慎重化させることがわかっています。また「セックスするな」「学生のうちは妊娠はダメ」などと制限したり、黙ってコンドームを与えたり、ピルを渡したりするのではなく、「なぜセックスすると思う?」という質問を投げかけましょう。

この質問によって、子どもが自ら妊娠や避妊、また、性暴力や性感染症の予防について考えられるよう親が導いていくことが大切です。性について家族で当たり前に話せる環境を整えましょう。

「ユキの親トレ塾」YouTube動画で配信中です。

image by: Shutterstock.com

家庭教育アドバイザー 柳川由紀この著者の記事一覧

家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育 』

【著者】 家庭教育アドバイザー 柳川由紀 【月額】 初月無料!月額508円(税込) 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け