リスク厭わずボランティアの応募殺到13万人。米ワクチン開発事情

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新型コロナウイルスのパンデミックは全世界的に収まる気配がなく、誰もが一刻も早いワクチンの完成を願っています。そして7月27日、アメリカから、2社のワクチン候補がそれぞれ臨床試験の最終段階に進んだとのニュースが入ってきました。『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者でNY在住のりばてぃさんが、このニュースを中心に現在のワクチン開発事情を伝えてくれます。りばてぃさんによれば、治験にはリスクがあるにもかかわらず、多くのボランティアの登録が報告されていて、期待や願いの強さを物語っているようです。

新型コロナのワクチン事情

(1)治験が最終段階へ

今週、新型コロナウイルス関連の話題が様々出ているが、中でも注目なのは、現在開発中のワクチンが承認手続き手前の最終治験段階に入ったということだろう。この話はYouTube動画でも解説しているが、追加情報を加えて特集でもお伝えしようと思う。

まず、7月27日、マサチューセッツ州のケンブリッジ(ボストンの隣街)にあるバイオ医薬ベンチャーのモデルナ(Moderna)が開発中の新型コロナのワクチン候補の臨床試験が最終段階であるフェーズ3に入ったと発表。すでにワクチン投薬が始まっており、主にモデルナが拠点とするケンブリッジやボストン周辺の病院での治験が進められている。今後、アメリカ国内のおよそ3万人に治験する予定とのこと。

加えて、この日、モデルナの他にファイザーも治験最終段階に入ったと発表。同社はドイツの研究機関との共同開発で、アメリカ国内だけでなく世界各地で3万人規模の大規模治験を行う予定だ。また、経過観察は10月まで行うとのことで、ワクチンの効果が証明された場合、少なくとも2~3ヶ月の効果は証明されるのではないかと期待されている。
Late-stage clinical trial for Moderna’s COVID-19 vaccine is launched nationwide
Pfizer enters phase 3 Covid-19 vaccine trial

ところで、新型コロナ用ワクチンは他にも数多く開発中で、現在、前臨床試験中の開発途上のものは140種類以上、治験段階のものは25種類ある。上記2社の他に最終段階のフェーズ3にあるのは、イギリスのアストラゼネカとオックスフォード大学との共同開発のもの、中国北京のシノバック、武漢そして北京のシノファーム…となっている。
ABC News COVID-19 VACCINE WATCH

さらに治療薬に関してはすでに250種類ほどが治験段階にあると伝えられている。万が一、かかった場合は治療しかないので治療薬への期待も高い。

なお、治験はフェーズ1からフェーズ3までありフェーズ1、2で健康な成人への治験で効果の証明、また即時的な副作用が出ないことを確認した上でフェーズ3に進むため、今度は多種多様(年齢、性別、人種ばらばら)の多くの人々に大して治験して、果たして同様に効果はあるのか副作用はあるのか、あった場合はどんなものがあるのかなどが検証されていく。

効果が確認されれば、米国食品医薬品局(FDA)に申請して承認されれば、一般市場に出るという流れだ。ちなみにアメリカ政府はモデルナなどに巨額投資・資金支援をしており、ワクチンが完成次第、アメリカ国民に投与していく方向でいる。

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