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三浦春馬を誰が殺したか?“犯人”は今日もビールを旨そうに飲んでいる

日本中が驚愕した、人気俳優・三浦春馬さんの突然の自殺。その死の原因について、ニュースでは様々な憶測が報道されましたが、三浦さんを追い詰めた本当の理由とは何だったのでしょうか? 高齢者を専門とする精神科医にして映画監督でもある和田秀樹さんは、自身のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』で、アルコールの摂取量が増えていたとする三浦さんの近況を紹介しつつ、自殺の原因となった「真の犯人」について言及しています。

三浦春馬さんを追い詰めた、アルコールと自殺の法則

三浦春馬さんが自殺したそうだ。(首をくくっているところを発見されたというのだから、かなり妥当な見解だろう)

2年くらい前から酒量がかなり増えてきていて、自暴自棄になっていたという証言もある。

だとすると、診断基準の上では、アルコール使用障害(アルコール依存症)にあてはまると思われる。

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実は、アルコール依存症による自殺は年間7000人程度と推定されている。

彼もその一人であった可能性は小さくない。少なくともマスコミで書かれているネットでの中傷や、あるいは、きまじめな性格のためにうつ病のような状態になっていたとしても、アルコールが自殺決行の契機になった可能性はかなり高い。

死にたいと思っている人が、アルコールを飲むと、本当に自殺行動をとってしまうというパターンは珍しいものではない。昔、新井将敬という有望な議員がある種の疑惑で逮捕許諾請求が出されていた際に、首つり自殺をした。この当時かなり落ち込んでいたようだが、ホテルのミニバーのアルコール類はすべて飲まれ、ウィスキーの空き瓶が散乱していたという。これが自殺決行のかなり典型的なパターンの一つだ。

肝機能障害なども含めると日本のアルコール関連死は、年間約5万人。コロナ死の比ではない。

日本がまともな国なら、死なずに済んだかもしれない

実は、WHOはアルコール依存症などによるアルコール関連死を減らすために、今から10年以上前の2010年5月に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」というものを決議している。WHOによると、アルコールは若年死と身体障害を引き起こす世界3位の原因になっており、世界中で年間約250万人の命を奪っているとのことだ。日本ももちろんそれを認めているのだが、以降、各国政府にアルコールのマーケティングを規制するように要望も出している。それを先進国の中で唯一まったく無視しているのが、この日本だ。

酒の24時間販売や安売りが堂々と行われる。

海外に旅行したらわかることだが、夜の11時くらいからお酒は買えなくなる。24時間営業の巨大スーパーでも当然のことだ。

日本の場合、コロナの自粛で一人飲みを強要されているのに、コンビニで24時間酒が買える。

これでは飲酒に歯止めがかからない。

そこに追い打ちをかけるのが、アルコールの広告だ。

これもWHOの勧告もあって、海外ではまず飲酒をしているCMは見られない。日本のタバコのCMと同じく、イメージ広告か、せいぜい品物が映るだけだ。

しかし、日本の場合は、CM出稿数のベスト10のうち3社くらい酒の会社が入っている。

テレビ局の社員が自分たちの年収1500万円を守るためなら、毎年5万人死んでいてもWHOの勧告を平気で無視するからだ。

マスコミに三浦春馬の死を悼む資格はない

人の命より自分たちの年収のほうが大切な人でないとテレビ局の社員は務まらない。

三浦さんが亡くなったと悼むならば、タレントが飲酒シーンの広告に出ることを自粛すればいいのだが、数千万円、場合によっては億の金に目がくらんで、絶対に自粛しない。

ビールを飲むCMに出ているタレントは人の命より金のほうが大事な奴だと思ったほうがいい。(無知であったとしても結果として人の死を増やしているのだから、有名人である以上、責任はあるだろう)

こいつらに三浦さんの死を悼む資格はない。

このような悲劇を減らすために、飲酒シーンのあるCMを自粛する芸能人が出てきたら大したものなのだが。

無自覚に自殺を煽る、マスコミのもう一つの罪

そもそも論として、本当に人の命が大切なのならば、自殺をこんなに大々的に報道するほうが異常なことである。

自殺報道が自殺を増やすことはすでに70年代から明らかになっていることだ。

たとえば、カリフォルニア大学サンディエゴ校のフィリップスという社会学の教授は、1946年から22年にわたってニューヨークタイムズの一面の自殺記事をすべて収集し、ニューヨークタイムズの一面に自殺の記事が出ると、その直後に全米で自殺が有意に増えるということを明らかにし、それを74年に発表している。

ある自殺を大きく扱えば扱うほど、その直後の自殺が増えることも明らかになった。それだけでなく、同乗者のいない自動車の死亡事故が増えることまで明らかにしている。

ヨーロッパの研究では、自殺を実名報道したほうが、自殺が増えることも明らかにされた。

さらにテレビでも同様の研究がなされ、テレビの自殺報道によって、若者の自殺率が上がることもわかった。

とくに高視聴率の自殺報道の後では、10代の若者の自殺率がなんと10%もあがるのである。

視聴率の犠牲になる若者たち

日本でだって、いじめ自殺が増えることは明らかな事例がいくつもある。

とくに問題だったのは、1986年だ。

この年はアイドル歌手の自殺と、中野のS君自殺事件の大報道が重なったため、その前後の年に比べて青少年の自殺が3割も増えてしまった。

94年には愛知県のO君自殺事件の大報道では、前年より中学生の自殺がなんと7割も増えてしまった。この事件が11月27日に起こったため、翌年も大報道が続き、95年まで自殺が93年と比べて大幅増になったが、96年には93年の水準に戻った。

いじめはいけない、自殺がいけないと騒いでいるマスコミが視聴率を稼ぐために、若い子どもの命をいちばん奪っているのである。

やはりWHOも自殺報道のガイドラインを何度も出しているし、厚生労働省もマスメディアに喚起を促しているが、日本のテレビマスコミはそれを丸無視して自殺を増やして喜んでいる。

WHO 自殺予防 メディア関係者のための手引き(2008年改訂版日本語版)

視聴率をあげて、自分たちの収入が増えれば人が、とくに若い人が何人死んでもいいというのが、テレビ局の社員だということがよくわかる。

酒のCMで稼ぎながら「コロナ自粛」を訴えるテレビの茶番

年収1500万を当たり前にもらい、自分たちの子どもを塾通い→名門中高一貫校にやりながら、受験競争の批判をするのも、自分の子どもの競争相手を減らすためだとしか思えない。

こんなクソの連中が続ける、コロナ自粛キャンペーン(もちろん、これも死者を増やしている)を信じる気になるほうがおかしいが、それを守らないと、周囲に白い目で見られるようになった。

いちばん白い目で見られるべきなのは、テレビ局の正社員(制作会社の社員は薄給で、テレビ局の人間に搾取されているのは同情する)なのに。

ただ、テレビの報道は、このメルマガを書くにあたってのヒントにはなる。

たとえば、とある朝の情報番組で、無症状の人相手に自費診療でPCR検査を行うクリニックを好意的に取り上げていた。

無症状で、陽性の人との接触もないから当然、保険は利かないが、それでもなぜPCR検査を受けたがるかというと、神経質な人だけでなく、帰省したいので、親戚や地元の人に陰性を証明しなければいけないなどの事情があるという。

感染の可能性の低い人が相手だし、自費診療なので値段はつけ放題だ。

入院患者への面会のためにPCR検査を受けて陰性の人だけという病院があるが、かなりのブランド病院でも33000円だというのに、4万円以上の値段をつけている。

原価を考えると、人の弱みにつけこんでいるとしか言いようがないが、そういう意図を無視して、コロナ対策の一環として、むしろ好意的に取り上げる神経がよくわからない。

ワイドショーが煽る「東大ブランド」に注意せよ

さて、このコロナ騒ぎで久しぶりに児玉龍彦なる東大の名前を使って世間を騒がせる男の名前を目にした。

感染症の研究や治療にほとんど携わったことがないはずなのに、国会の参考人として答弁し、新宿がニューヨーク並みのエピセンターになると危機感を煽っている。

この人は、以前も、放射線の専門家でもないのに、またこれまでの研究領域と全く違うのに、たまたま東大のアイソトープセンターの所長という肩書のときに原発事故が起こったので、放射線の危険を煽り、除染の必要性を訴え、除染の元締めと深い関係にあったことがマスコミに暴露された人だ。

それが、今度は感染症の専門家として登場するのだからあきれてしまう。

東大の威光があれば、専門外のことでも何でも言えてしまうのは本当に怖い。

こういうのが典型的な東大教授に見えて仕方がない。

そして、こういう人のインチキがまったく見抜けないマスコミのレベルは知れてしまう。

モラルがないだけでなく、知識や判断力もない。

そして、こういうでっちあげの騒ぎ(原発事故だって、どれだけ人体に悪影響があったかの検証はほとんどなされていない。福島でがんの増加や子どもの奇形が起これば、大々的に報じられるはずなのに、その手のニュースは聞かない)のたびに、権威と称する人間がそれを利用して、知名度を上げようとしたり、なんらかの利益を得ることだけは確かなようだ。(メルマガより一部抜粋)

image by: PlayIN / CC BY

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高齢者を専門とする精神科医、学派にとらわれない精神療法家、アンチエイジングドクター、そして映画監督として、なるべく幅広い考えをもちたい、良い加減のいい加減男。

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