元国税が暴露「アベノミクスで貧困化した人」が怒るべき数字とは?

 

「賃上げ」で一定の成果。ただし…

安倍政権の経済施策で、まず特筆すべきなのは「賃上げ」だといえます。あまり語られることはありませんが、安倍政権(第二次)というのは、この20年間で初めて賃金を上昇に転じさせた政権なのです。1990年代の後半から2010年代にかけての20年間、日本の賃金はほぼ一貫して下がり続けてきました。サラリーマンの平均賃金を見ていくと、平成9年の橋本政権時代の467万3,000円をピークに、平成21年の麻生政権のときには405万円にまで下がってしまいました。なんと10%以上も下がったのです。その後、民主党政権になってもほぼ横ばいであり、賃上げの傾向は見られませんでした。が、安倍政権(第二次)に変わった平成25年から明確に賃上げ傾向になったのです。

平成11年 自民党小渕政権    461万3,000円
平成12年 自民党森政権     461万円
平成13年 自民党小泉政権    454万円
平成14年 自民党小泉政権    447万8,000円
平成15年 自民党小泉政権    443万9,000円
平成16年 自民党小泉政権    438万8,000円
平成17年 自民党小泉政権    436万8,000円
平成18年 自民党小泉政権    434万9,000円
平成19年 自民党第一次安倍政権 437万2,000円
平成20年 自民党福田政権    429万6,000円
平成21年 自民党麻生政権    405万9,000円
平成22年 民主党政権      412万円
平成23年 民主党政権      409万円
平成24年 第二次安倍政権    408万円
平成25年    ↓       413万6,000円
平成26年    ↓       415万円
平成27年    ↓       420万4,000円
平成28年    ↓       421万6,000円
平成29年    ↓       432万2,000円
平成30年    ↓       440万7,000円

 

国税庁・民間給与実態調査より

なぜ安倍政権になってから賃金が上がったのかというと、安倍首相が明確に「賃上げ」の方針を打ち出したからです。そして、財界に賃上げを働きかけたのです。それまでの政権は、賃金に関して財界に働きかけたりはしませんでした。

賃金というのは、各企業と労働者の交渉で決められるという建前になっており、政府が口を出すことではないというのが、それまでの一般的な考えでした。また小泉政権などは、経済政策を担当していた竹中平蔵氏が明確に「企業は賃金を下げ配当を増やすべし」という方針を持っていたので、財界はここぞとばかりに賃金を下げたのです。小泉政権の時代には、史上最長の好景気期間というものがありました。2002年2月から2008年2月までの73カ月間、日本は史上最長の景気拡大期間(好景気)を記録しているのです。この間に、史上最高収益も記録した企業もたくさんあります。トヨタなども、この時期に史上最高収益を出しているのです。しかし小泉内閣の経済政策の影響で、この期間もサラリーマンの賃金は下がり続けたのです。

その傾向は、民主党政権になっても変わりませんでした。民主党が政権をとった2009年というのは、リーマンショックの直後であり、しかも2年後の2011年には東日本大震災が起きたために、賃金がなかなか上がらなかったという面もあります。が、民主党は労働組合を支持基盤に持っているので、明確な賃上げ方針を打ち出せば賃上げできないはずはなかったのです。バブル崩壊以降、日本経済はほぼ一貫して賃金が下げられてきたので、民主党政権はその流れを止められなかったという事が言えるのです。

安倍政権(第二次)とて、東日本大震災から2年目に始まっており、状況はそれほど変わりませんでした。しかし安倍政権(第二次)に変わった途端に賃金が上がったというのは、民主党が賃上げの努力をしていなかったと見られても仕方がないところです。逆に言えば、安倍政権は賃上げの努力をしたということです。この点は、もっと評価されてもいいところだと思われます。

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