夏を失ったのは高校球児だけじゃない。政府の無策が日本人から奪ったモノ

 

日本国民の不安を軽減する、2つの方法

国民の不安を軽減するには2通りの方法があります。コロナ対策として経済支援に使うお金を、まず医療分野に集中することです。米国政府は米国富士フイルムにワクチンの素材開発資金を支援する意向を示しましたが、日本でも独自のワクチン開発、抗ウイルス薬の開発に国を挙げて取り組むこと。そして重症患者を受け入れられる医療体制を整えることです。

もう1つがニューヨーク市のが行ったことを、日本でも進めることです。つまり、ニューヨーク市では、街のほとんどのクリニックでPCR検査を無料で行えるようにしていて、誰でも何回でも受けられます。その結果、陽性となった人は、隔離して治療にあたる一方で、陰性が確認された人は大手を振って歩けます。ほとんどのニューヨーカーがPCR検査を受けていれば、少なくとも自分の状況がわかり、不安はなくなります。

それでも、他の州や街からやってくる観光客やビジネスマンがいるので、すべての人を識別できませんが、検査で陰性が確認された人には、認定カードをつくり、首からぶら下げて歩けば、第三者からも「コロナフリー」の人間と分かります。つまり、ニューヨーク市のように、国民全員にPCR検査を行い、白黒をはっきりさせることです。唾液での検査も可能というので、より簡単に検査が受けられるようになります。

手間暇かけていつ支給されるかわからない助成金の申請をするより、検査で自分や周りの人が感染していないことがわかり、しかも感染しても治療薬が作られ、病床が確保されるほうが、よほどコロナ対策としては効果が期待されます。しかも財政コストも小さくて済むはずです。政治家は夏休みをとって次の選挙に備える前に、コロナ危機で不安を抱える国民に対してやることがあるはずです。

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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