弾道ミサイルは「1機」か「1発」か?朝日新聞に聞きたい大切な話

shutterstock_433125682
 

新聞をはじめとする古くからの紙媒体は、統一された表記ルールを設けていることが一般的。些細な違いが誤解や誤読を生み、伝えるべき事実が伝わらない事態を極力避けるためにも、表記の統一は重要です。軍事アナリストの小川和久さんは、朝日新聞で見つけたミサイルの数の表記方法に疑問を抱き、受けた説明とは違う表記があると、主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で紹介。新聞社として統一ルールの再確認を求めています。

弾道ミサイルは「機」か「発」か

私が注目し、活躍を期待しているジャーナリストの一人に朝日新聞の藤田直央編集委員がいます。藤田さんは安全保障を専門としており、様々な歴史的文献などを発掘し、明らかになった戦争の実像を通じて平和への営みが加速されるよう取り組んでいます。

つい最近も、8月3日付の紙面で「中国の核『日本1800万人即死』 米と費用対効果協議」として、1968年1月の日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)で米国防総省幹部が説明し、外務省が無期限の極秘扱いとして朝日新聞側の情報公開請求を拒否していた文書を、総務省の第三者機関の判断によって部分開示を勝ち取り、明らかにしています。

「こうした中、米側の想定文書では、76年にかけての中国の核戦力増強を予測し、弾道ミサイル100機と爆撃機150機による爆発規模計15万5千キロトン(広島型の約1万倍)での日本の主要都市への核攻撃を想定。防空態勢がそのままなら1800万人が即死するとした」

この文書については、8月17日付の紙面で「(現場へ!)日米核協議を読み込む:1 日本に中国が核攻撃したら」という見出しのもと、さらに詳しく紹介しています。

「弾道ミサイル100機と爆撃機150機による爆発規模計15万5千キロトン(広島型の約1万倍)の攻撃で、防空がこのままなら1800万人が即死」

とても衝撃的な内容で、藤田さんの仕事がどれほど重要なものだったかわかると思います。ただ、ちょっと引っかかる個所がありました。両方の記事とも「弾道ミサイル100機」と表記されている点です。ミサイルは「発」で数えるのではないかと思っていたからです。

そこで最初の記事が出た段階で藤田さんに聞いたところ、「なんかうちのルールで、発射前は『基』、発射後は『機』なんだそうです。『発』ではなくて…よくわかりません(困)」「弊紙はミサイルの記事を書いてこなかったので、訳のわからないことになっているのかも」という答えが返ってきました。

確かに、発射装置ごと数えれば「基」ですが、飛び出した飛翔体が「機」というのは、ピンとこないところがあります。それで違和感がなくなった訳ではないのですが、なるほど、それが「朝日新聞流」なのかといったんは自分を納得させました。しかし、朝日新聞のほかの記事に目を通す機会があったので、注意して眺めていたら、なんと「発」になっているではないですか。

「警報システムが故障して、偶発的に核戦争が始まりそうになったことが何度もあった。私が知る限り3回経験している。米ソ冷戦期、夜中に電話がかかってきて、ソ連から米国に向けて200発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が飛んできているのがコンピューター画面に映し出されているということがあった。誤警報だと直前でわかった。問題なのは、大統領はミサイルが到達するまでの『10分かそれ未満』で判断しなければいけないことだ」(7月24日付、「今は冷戦期以上の核危機だ ペリー元米国防長官らに聞く」)

「2017年、北朝鮮がミサイル射程を延ばし、4発同時の発射などをしていた」(7月2日付、陸上イージス、浮上の背景に「北朝鮮の脅威」 元統幕長)

朝日新聞の関係者の皆さん、このメルマガを読んだら整理部と校閲部に確認し、朝日新聞としての公式な基準がどうなっているのか、回答をメールでいただければ幸いです。些細なことのように見えますが、ジャーナリズムの確度に関する大事なことです。(小川和久)

image by: Shutterstock.com

小川和久この著者の記事一覧

地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

有料メルマガ好評配信中

    

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 NEWSを疑え! 』

【著者】 小川和久 【月額】 初月無料!月額999円(税込) 【発行周期】 毎週 月・木曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 弾道ミサイルは「1機」か「1発」か?朝日新聞に聞きたい大切な話
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け