無名の男性シンガーソングライター、瑛人による楽曲『香水』がYouTubeの再生数8000万回、各種サブスクリプションサービスの総再生回数も1億回を突破するなど、空前のヒットとなっているのは周知のとおり。
だが、この曲のヒットをきっかけに、「若者についていこう」、「若い女性にモテよう」と、“無理”をする中年男性が増えているという。そんな彼らは若者たちの間で、『ドルチェ&ガッバーナおじさん』と呼ばれているらしい。
「俺の時代が来た」おじさん族が勘違い
ドルチェ&ガッバーナといえば、言わずと知れたイタリアを代表する世界的なラグジュアリーファッションブランドだが、そこでしゃしゃり出てきたのが中年おじさんたち。実は彼らは元祖「ドルガバ世代」にあたり、若い頃に洗礼を受けている。
瑛人の歌がヒットし、そのミュージックビデオをものまねする芸人が続出して、ドルチェ&ガッバーナの知名度を一気に上げたことで、どうやら「俺の時代がきた」と勘違いをし、調子に乗ってしまっているようだ。
ドルチェ&ガッバーナの香水をつけ、ドルチェ&ガッバーナの洋服やアクセサリーを身にまとうおじさんたち。「俺、決まってるでしょ?」感がぷんぷん匂ってくるが、肝心の女性ウケは…どうやらイマイチだという。
女子ウケ最悪。ドルガバ中年はなぜ嫌われる?
記者の周辺でこのような話を女子から聞かされたので、実際に何人かに話を聞いてみた。
会社の上司がドルチェ&ガッバーナの香水をつけているという女性は、「もういいおじさんのくせにドルガバの香水つけてるとかありえない。まだ席が離れているから良いけど、同僚たちはみんな近くに寄ってこないで欲しいと思ってる」(26歳・IT)。
他にも、「自分の夫がドルチェ&ガッバーナの香水をつけていて、奥さんは何も言わないのだろうか?」(28歳・事務)、「マスクしているから何とかセーフ」(24歳・アパレル)、「勘違いしているおじさん、ドルガバに謝れ!」(38歳・金融)など、女子からは大ブーイング。
またネットを覗いてみても、「キモイ」「くさい」「うざい」といった言葉が並ぶ。
どうやら、汗やたばこにまみれたおじさんならではの体臭や加齢臭と、ドルチェ&ガッバーナの香水が相まみれて、周囲を不快にさせてしまっているようだ。
おじさんたちの体臭はもはやドルガバでもカバーできなくなっている。さらに、いちいち女子に対して「ドルガバアピール」をしてくるのがウザさに拍車をかけているのだ。
「瑛人って誰やねん」ドルガバおじさんの言い分
実は瑛人の歌がヒットしたからといって、ドルチェ&ガッバーナの香水が急に売れ出したわけではない。日本でドルチェ&ガッバーナの香水が流行し出したのは2000年代初頭からだろう。
シャネルやグッチといったハイブランドと比べれば少し安価ということから、当時の若者たちの間で流行。『ドルガバ』として親しまれた。
香水をつけていた当時10~20代が、20年経った今、現在の30~40代。そう、ドルガバの香水に慣れ親しんだ人たちが、おじさんになってまたつけはじめ、『ドルチェ&ガッバーナおじさん』と化してしまったのだ。瑛人の歌など関係なく、おじさんたちはもともとドルガバが大好きなのだ。
そんな中年男性たちからしたら、「俺たちがドルガバの香水を流行らせたんだ」「ドルガバは俺たちのもの」という自負があるのだろう。
若い時は良かったかもしれない。しかし、もうあの頃とは違う。おじさんとなってしまった今、ドルチェ&ガッバーナの香水は年相応ではないのかもしれない。
にもかかわらず、ドルチェ&ガッバーナおじさんは、ドルガバの押し売りとばかりに、「俺、決まってるでしょ?」とドルガバ感をアピール。若い女性をドン引きさせているのだ。
ドルチェ&ガッバーナおじさんよ、永遠にーー
ちなみに、瑛人の「香水」誕生の裏に、実はこんな秘話がある。
この歌は別れた彼女を思う歌詞が散りばめられた失恋ソングで、瑛人の経験談がベースとなっている。歌詞の中では、彼女がドルチェ&ガッバーナの香水をつけていることになっているが、実はこの香水をつけていたのは、当時自身がバイトしていたハンバーガー店の30代オーナー。
そもそものベースが『ドルチェ&ガッバーナおじさん』だったという。…どうやらこのブームに乗ろうとするのはやめた方が良さそうだ。
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