日本では外国人の雇用が高まっており、さまざまなところで一生懸命働く外国人実習生の姿を見ることができます。その実習生の多くは寮に入っているようですが、その衛生管理や環境はどんなものになっているのでしょうか。今回の無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』では著者で衛生管理のプロでもある川岸宏和さんがその実態と、これからの日本の支えになるかもしれない外国人労働者の扱いについて論じています。
外国人実習生の宿泊設備の最低限の確保
海外の方の雇用について議論が進んで来ています。みなさんの工場でも、ブラジル、二世、三世の方、技能実習生の方、留学生の方など、様々な形で、みなさんの工場にも海外の方がおられると思います。
寮は、工場側で準備することが多いので、みなさんも準備されていると思います。私も、学生時代は、一人あたり2畳の、二人部屋に住んでいました。社会人になっても研修時代の半年間は、6畳に二人で住んでいました。
しかし、3年間生活するとしたら、みなさんは、最低限どのような環境が必要だと思いますか。実習生の方が、ふるさとに戻って「日本はよかった」「働きに行くならあの工場がいい」と言ってもらえるためには、何が必要ですか。
自分が生活するつもりで、迎えると、相手には伝わると思います。新型コロナウイルス対策を考えたときに、トイレ、風呂は、共用では無く、個人個人で使用できるように考えて見ませんか。
下記の基準が一般的に言われています。
・部屋の大きさ
原則「1室につき2名以下」かつ「一人当たりの寝室床面積は、4.8(3畳)以上」LDKなどの共用部分は、生活導線から区切られる場合に限り、寝室として利用可
・必ず必要なもの
冷蔵庫・テレビ・洗濯機・エアコン・電子レンジ・炊飯器ガスレンジ・掃除機・照明・ベットおよび布団一式・テーブルイス・カーテン
・受入時に購入、追加は実習生が負担するもの
炊事道具(フライパン、鍋等) 食器(皿・フォーク等)掃除道具(ほうき・雑巾)・日用品(ティッシュ・トイレットペーパー・洗剤・シャンプー・石鹸ゴミ袋等)
あなたの工場で働いている、外国人労働者の方が、同じ国の仲間同士で、情報交換したとします。他の事業所で働いている方に比較して、あなたの工場の勤務環境、寮の環境の評判は、どのように話されていると思いますか。
海外からの実習生などの資格で働いている、外国人労働者の方の、最低の環境は、ある程度決められています。一人3畳以上の広さがあること等とされていますが、長期間生活する上で、適正な環境かどうか、疑問に思っています。
外国人労働者を雇用しているところでは、寮に寮生以外の方の訪問禁止、恋愛禁止などと言った非人道的な規定を押しつけているところも聞こえてきます。
仲間同士の情報で、海外の出稼ぎ労働の中で、日本よりも労働環境のいい国、生活環境のいい国があることを知った場合に、日本で働く方がいなくなってしまう可能性があります。
日本の人口が減少している現在、特に若者の労働者が減っていている中で、今の制度を守るのでは無く、特定技能などの代わりに、海外で導入・実施している労働許可制や雇用許可制等を検討し、提案していくことが必要だと思います。
あなたの工場の30年後の売上、労働者の構成を考えたときに、本当にいまの雇用体系でいいかどうか、再度検討してみることが必要です。
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