地球温暖化のウソと本当。「私たちの心がけ」で日本の夏は涼しくなるのか?

 

それでも意地っ張りな学生は、企業の商品を買い支えているのは家庭なのだから、家庭のライフスタイルのせいなのだと主張をしてくる者もいる。それを調べて特定商品のボイコット運動まで言うなら納得しても良いが、ここで中途半端に「私たちのライフスタイル論」でまとめようとするから論理が破綻する。これを評価しなければならない教員として、どうしたらいいのか悩んでしまう。メディアの洗脳の力はこれほどに強いのだ。

ここまでは、これまでも思っていたことだ。ところが今回おぼえた違和感は、これまでのものとは違うのだ。地球温暖化の原因は大気から宇宙空間へと放出される「赤外線放射」を遮ってしまう温室効果ガスで、その中でも二酸化炭素の比率が一番大きい。そしてそれによって現実に地球温暖化は進行している。それは事実だと思うし、温暖化に「陰謀論」を唱えるつもりはない。

しかしそれでも違和感をおぼえたのだ。これには量的にほとんど関係しない家庭の出番はない。なにせ電気だけに限定してみても、 家庭と小さな事業者の消費を合わせても22%しかなく 、その一方で工場に直接高圧線の電気をつなぐ「産業用特別高圧」と「業務用特別高圧」だけで電気消費の三分の二を占めるからだ(図03)。

図03 データ出典:電気事業連合会『2010年度分 電力需要実績(確報)

しかし違和感をおぼえたのは「解決策」を考えてきたからだ。その解決策として土壌の大切さや森の大切さ、微生物と「菌根菌」との共生関係 を含めて考えると、解決の可能性が出てくる。

なぜならば二酸化炭素の排出に、これまであまり考えられていなかった土壌からの二酸化炭素放出が大きかったためだ。もちろん化石燃料を用いる発電所や自動車の問題がだからと言って免責されるわけではない。しかしその二つの業態こそ、メディアのスポンサーの輝ける二大勢力であり、そこが自ら解決していく状況にはないためだ。

先日、日本政府が 「100基もの石炭火力発電所の休止・廃止」 を発表した。

しかし実際に休止・廃止されるのは2030年である上、 小さな発電所ばかりだ。それらを休止・廃止する一方で、高効率とされる石炭火力発電所と石炭ガス化複合発電(IGCC)については今後も使っていくと明言している。古いものが発電効率38%以下としていて、発電効率41~43%程度の超々臨界圧(USC)や46~50%程度のなどの高効率な石炭火力は今後も使っていく予定だという。パリ議定書で取り決めたのは、「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減」である。しかも発表したのは今年(2020年)7月2日で、新たに「効率が良いものとして石炭火力発電所を認めたばかり」だった。

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