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なぜメッシはバルセロナを退団するか?新監督に剥奪された「特権」とは

サッカーファンに衝撃を与えた、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシの退団要求。そのニュースは瞬く間に世界中を駆け巡りました。全盛期を過ぎたとはいえ、世界最高峰のプレイヤーには変わりないメッシに一体何があったのでしょうか?サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』著者のじじさんが、メッシ退団騒動の内幕を紹介。今後、メッシがどのクラブに移籍するか、その本命となりそうなチームにも言及します。

33歳になった今も・・・

「バルセロナのFWメッシがクラブに対して退団の意思を伝えた。」というニュースは世界中に衝撃を与えた。2004年-2005年からずっとバルセロナのトップチームでプレーしており、2006年-2007年からずっと2桁ゴールを記録している。

ほぼ1試合に1点のペースでゴールを量産しており、今シーズンもリーガで33試合に出場して25ゴール21アシストという数字を残している。「20ゴール以上で、かつ、20アシスト」というのはリーガでは初めて。5大リーグに限定すると21世紀に入ってからは2人目だという。

「2002年-2003年のアーセナルのFWアンリ以来」と報じられているが33歳にして驚異的な数字を残しているエースの退団はショッキングである。

移籍先としてはマンチェスターC、インテル、パリ・サンジェルマンなどが挙げられており、Jリーグのヴィッセル神戸の名前も挙がっているが、「円満退団」とは言えないことを考えると神戸が獲得に乗り出す可能性は低い。

バルセロナとは今後もいい関係を築きたいだろう神戸にとっては積極的には動きにくい状況である。もちろん、莫大なお金も必要になるので現実的ではない。

「FWメッシの移籍先がどこになるのか?」は、当分の間、世界のサッカー界の話題の中心になると思うがこういうケースでヴィッセル神戸の名前が挙がるのは神戸にとって、ならびにJリーグにとっては悪い話ではない。

FWメッシの獲得が実現するか?どうか?はともかくとして、何もせずともクラブの名前が世界中に報道される。「MFイニエスタがいるクラブ」、「FWダビド・ビジャやFWポドルスキがプレーしたクラブ」として世界のサッカーファンには知られているが、2年前にMFイニエスタを獲得した効果は絶大である。

どう考えても「FWメッシを獲得できるほどの資金力を持ったクラブ」は限られる。レアル・マドリーへの移籍が実現するようだと「世界のサッカー史上最大の移籍」になると思うが、さすがにバルセロナのカンテラで育ったFWメッシが、レアル・マドリーへの移籍を望むとはのは考えにくい。

普通に考えると、グアルディオラ監督のいるマンチェスターCが最有力だと思うが、これほどの知名度と人気を持った選手は(FWクリスティアーノ・ロナウド以外には)いないことを考えると、200億円や300億円でも十分に元は取れると思われる。

「特権は終わった。」

「先日のCLのバイエルン戦で2対8と大敗したこと」ならびに「今回のFWメッシの退団」でバルセロナの時代が終わったことを痛感するが、33歳という年齢を考えるとクラブは「次の時代に向けて進まないといけない。」と判断したのだろう。

新たに監督に就任したクーマン監督はFWメッシに対して、「このチームにおける特権は終わった。チームのためにすべてを尽くさなければいけない。私は柔軟性に欠けるきらいがある。君はチームのことだけを考えていく必要がある。」

と話したと言われている。「どこまで事実なのか?」は分からないが、これに対してFWメッシが激怒してフロントに対して退団を伝えたという話である。

運動量が少なくてほとんど守備をしない。」と言われるFWメッシに対しても特別扱いしないことを公言したことが亀裂の要因と言われるが、「走らないFWメッシ」に対しては批判の声も少なくはなかった。バルセロナが圧倒的にボールを支配できる試合は問題にはならないがバイエルンなど強豪と対戦するときはウイークポイントになってしまう。最近のFWメッシは「諸刃の剣」である。

当然のことながら、「これほどの成績を残している選手なので守備をしなくてもOK」と考える人も少なくない。また、「うまく休みながらプレーをして、肝心な場面で力を発揮できるのはさすが」と評価する人もいる。

これだけの結果を残している選手に対して、守備での貢献度をあれこれ言うのはおかしい。」という人もいるが、個人的な考えを述べると「FWメッシほどの能力の高い選手があれだけ動かないのは勿体ない。」と思う。20代中盤あたりまではもっと運動量があったが20代中盤あたりから極端なほど動かない選手になった。

FWメッシの守備意識や運動量が「サッカー選手としての最低レベル」でもあったならば、もっとバルセロナはタイトルを獲得できただろうし、アルゼンチン代表はもっとW杯やコパ・アメリカなどでいい成績を残しただろう。(もちろん、FWメッシのゴール数やアシスト数は幾分かは減ったと思うが…)

アスリート能力も高い選手だからこそ、極端なほどの省エネなプレースタイルに落ち着いたことは残念に感じるが、どのクラブを新天地に選ぶのか?また、新天地でどのくらいの数字を残せるのか?は興味深いところである。

バルセロナで活躍したクーマン監督

他にもFWスアレスなどの退団が確実視されているが、クーマン監督に対する批判の声は大きい。クーマン監督というと現役時代はオランダ代表で活躍したスーパースターである。「リベロ」的なプレースタイルだったが「サッカー史上屈指」とも言われる強烈な右足を持っており、CBながらたくさんのゴールを記録した選手として知られている。

1989年から1995年までバルセロナでプレーしたが、3試合に1点くらいのペースでゴールを奪っている。「オランダ史上屈指のCB」とも言われるが古巣で極めて難しいスタートを切った。

とんでもなくサポーターから愛された選手なので、クーマン監督へのバッシングは熾烈を極めるだろう。サポーターからの信頼を勝ち取るのはほぼ不可能に思える。注目度の高いバルセロナの監督は誰がやっても難しいが「FWメッシやFWスアレスを追い出した監督」というレッテルを貼られると普通に仕事をするのは不可能である。

「クラブのレジェンドなので批判の声は少なくなるのでは?」という見方も出来るが、バルセロナでプレーしていた時期は25年以上も前の話である。選手時代のクーマン監督を知らない人も多いだろう。

一方、状況を考えると「難しい立場になることは覚悟した上で古巣のために一肌を脱いだ。」とも考えられる。FWメッシやFWスアレスと対立してクラブから追い出す形になった場合、挽回不可能なほどの立場になるのは誰にでも予想できる。

やや迷走している古巣を前に進めるために、自らに批判の声が集中すること、ならびに監督としての評価が下がることは覚悟した上で、嫌われ役を買って出たとも考えられる。

いずれにしても顔となる選手がいなくなるバルセロナが、今後、どういう風にチームを立て直すのか?は興味深い。

image by : Cosmin Iftodeshutterstock

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