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ポテサラ論争で浮き彫り「他人がラクするのが許せない人」の勘違い

スーパーの惣菜コーナーでポテトサラダを手にしていた女性に対し、高齢男性が「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言い放ったシーンの目撃者のツイートが大きな話題となり、ネット上で賛否両論が吹き荒れたいわゆる「ポテサラ論争」。この男性や彼を擁護する人々は、どのような価値観を持ち家族や他人と日々接しているのでしょうか。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、彼らの心の奥底にあるものを探っています。

料理警察

ちょっと前にTwitterをにぎわした話題がありました。初老の男性が、スーパーの惣菜売り場でポテサラを手にした子連れの女性(見ず知らずですよ)に

と捨て台詞を吐き、立ち去ったのです。残された女性はボーゼン。とっさになにも言えず、後でモヤモヤした…というお話でした。このツイートはまさに大炎上したので、ご存じの方も多いかもしれません。

で、私も家事系メルマガを発行しているので、コレには一言もの申したいんですよ。

この失礼なジジイ…あ、いや、初老の男性には、「母親」という立場の人にハッキリ

があるわけです。ところが、この求めるものが自分の世代のジョーシキから出たにすぎないものだということ、もっといえば

ということは全く認識していない。このため、違う世代に属していた若い女性には、押しつけと失礼にしか思えなかったわけです。

この、特定の世代にしか通用しないジョーシキ、…いや、ほんとは

なんですよね。ジョーシキは、基本的には特定の世代や社会でしか通用しない。日本のジョーシキは、

常識なだけで中国やアメリカ、ロシアでは通用しない。同時代でもヨコにズラすだけで、同社会でもタテにズラすだけで、効力はなくなるものです。

日本の家庭のジョーシキとされているようなことだって、他国では

なわけですよ。

…日本では、フツーの振る舞いですが、これは世界ではフツーではないそうですから。世界から見れば、

なんですよ。

ポテサラくらい作れジョーシキを振り回すおじさんのお話でしたね。

特定の世代・特定の社会でしか通用しないのに、それを他者にもヘーキで押しつけるポテサラおじさん。ま、世界が狭くてガンコな人はそんなモンなんでしょう。

ポテサラおじさんに賛成するツィートもたくさんありました。正直、ビックリしましたね。ポテサラを作ってもいいですけど買ってもいいと思うんです。その日にもその人にもいろいろ事情があるわけでね。ま、ツイッターでは炎上すると、話が異常に拡大されたり単純化されたり歪められたりするので、まともな議論が出来なくなってしまいますけどね。

ただ、ポテサラおじさんとその応援団には

という価値観があるのではないか?と感じました。

ポテサラおじさんの考えの中核は、おそらく

ということだろうと思います。ここでポイントは

ということです。いや、私の勝手な分析ですけどね。

……

うん。暑苦しいだけじゃなくて、悲惨ですよね。おそらくこの人たちは

しているんだと思うんですよ。いや、問いかけておいてナンなんですけど、混同していると断定しているんですよ、私としては。

この2つの定義を調べてみると、

もうぜんっっっぜん違いますよね。

苦労は、主観的に「苦しい」というところがポイントなのに対して、努力は「身体的活動と緊張感」で、苦しいか楽かどうかは

んです。楽しく努力しても定義上「努力」ですが、楽しく苦労したらそれは定義上「苦労」とはいわないってことです。

どうしてこんな混同が起こるんでしょうか。

努力することで、スキルはブラッシュアップされますし欠点を克服することもできるようにもなるでしょう。ですが、苦労したってスキルはブラッシュアップされないし欠点は克服されません。両者は別モノです。その点で、

だと思うんですよ。

この混同は、特に家事においては広く遍く行き渡ってしまっていると思います。

こういうの、ありませんか。まあ、努力と苦労を混同しているという理由からではなくて不理解という理由も多いと思いますけど。

この、苦労を美徳とする(と見做したがる)理由はナンなんでしょうか。もうね、これは言っちゃあいけないのかもしれないけど、私の個人的な偏見と独断なのかもしれないけど、言っちゃいましょう。

それは

ってことじゃないかと思います。許せないとまではいかなくても、面白くないっていうか。なんだよ、ちゃんとしてないじゃないかみたいな。真面目にやってないじゃないかみたいな。

そして、この気持ちのさらに奥底にあるのは

という思いでしょう。自分が苦しい思いに耐えているのに他の人がラクしていると

と感じるんでしょう。イワユルヒトツの

ってヤツですね。妬ましいんですよ、ラクしている人が。自分は苦しかったから。苦しいから。苦しんで欲しいんですよ。自分と同じように。他の人も苦しんでいるなら、自分だけじゃないと思ってなんとか耐えられるから。

ひょっとするともう、苦しんだ場所が違っているかもしれません。その人が苦労したのは職場かもしれないし、結婚生活かもしれません。きっとそんなところも、もう混同…混乱しているでしょう。なんだかなあ……炭治郎なら「哀しい匂いがする」と言うでしょうか。

私の勝手な考えではありますが、こう考えると主観的な「苦しさ」を要求することの辻褄が合うんですよね。

…うん、でね。こういう哀しさに同情は感じるけれど

んですから。苦しさなんか無い方がいいです。ラクして同じ成果が出るなら万々歳じゃないですか。ガンガンどんどんラクしましょう。

忙しかったり疲れていたり、あるいはそのお店のものが美味しいならポテサラなんて山盛り買って下さい。家族もあなたもハッピーです。

ポテサラも料理も家事も、苦労する必要なんてない。嫉妬深い人にはそっと同情して、鼻歌まじりにラクしてくださいね。

image by: icosha / Shutterstock.com

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食べるのは大好きだけど、作るのは超苦手。棚拭きとアイロンがけが何より嫌い。そんな家事オンチだった私がソレナリに家事をこなせるようになったワケ。家事全体を見渡して、最小の手間で最大のリターンを得る、具体的なシステムをお知らせするメールマガジンです。

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【著者】 真井花(まないはな) 【発行周期】 週3回(月水金)刊

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