MAG2 NEWS MENU

「親中」以外にもある二階氏の闇。地元和歌山の巨額公共事業費を暴く

閣僚ポストを自民党内の各派閥に均等に配分した上で、所管行政に精通した実務家を起用する手堅い布陣でスタートした菅内閣。キングメーカーとしてその力を存分に発揮した二階俊博幹事長は、これからも党内で大きな力を振るいそうです。 元国税調査官の大村大次郎さんは、自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、二階氏を昭和の古い政治家と一刀両断。地元である和歌山県の公共事業費が極端に多いことを暴いています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

初月無料のお試し購読はこちら

昭和の政治家、二階幹事長の作る日本とは?

このメルマガの8月1日号で、Go Toトラベルを前倒しで強硬に推進したのは自民党の幹事長の二階俊博氏であり、この二階氏は過去に政治資金に関する様々な疑惑が報じられたことがあるとご紹介しました。

二階氏は、今回の自民党総裁選では、いち早く菅氏支持を打ち出し菅氏の好感を得て、幹事長のポストをさらに歴任することになっています。

この二階氏は、昭和の政治家ともいえる古いタイプの政治家です。それがもっとも顕著に表れているのが、公共事業です。二階氏が自民党の重役に就くようになってから、二階氏の地元である和歌山県の公共事業が異常に激増しているのです。

下の表は、和歌山県と奈良県に支出された「国の公共事業費」です

隣の奈良県と比較すれば、その異常さは一目瞭然です。和歌山県と奈良県は、どちらも南近畿にあり、状況はよく似ています。が、和歌山県の1.5倍の人口を持つ奈良県は、この10数年ずっと和歌山よりもかなり公共事業費が少ないのです。2009年などは、県民一人当たりの公共事業費の額は、10倍以上の開きがあるのです。

東京よりも多い和歌山の公共事業費

和歌山県の公共事業費激増は、2009年から始まっています。二階氏は、2008年8月、二度目の経済産業大臣に就任しました。二階氏は2005年にも、経済産業大臣のポストに就いていますが、これは小泉内閣において、郵政選挙での活躍の論功行賞の意味合いで与えられたものです。小泉内閣は「公共事業削減政策」を行っていたので、小泉政権時代の和歌山県の公共事業はあまり増えていませんでした。

が、2008年の2度目の経済産業大臣就任時には、自民党の公共事業復活の流れもあり、和歌山県の公共事業費が激増しているのです。

二階氏が経済産業大臣として予算の策定に最初に関わった2009年度予算では、なんと4300億円もの公共事業が国から和歌山県に投じられることになっています。これは北海道に次いで全国で第二位の金額です。筆者も当初この数字を見たときは、桁を一つ間違っているのではないかと思い、二度確認したほどです。

この年は東京への国からの公共事業費が3800億円なので、東京の公共事業費よりも大きいのです。人口900万人以上を擁し日本の首都である東京よりも、人口90万ちょっとの一地方都市に過ぎない和歌山の方が公共事業の金額が多いのです。どう考えても法外な支出です。

その翌年は、民主党政権になり、和歌山県の公共事業費は大幅に削られました。が、道路建設などすでに予算がついた事業は原則として継続されるので、全国平均から見ればかなり高くなっています。

第二次安倍政権発足以降、安倍首相の地元の山口県で、国の公共事業が激増していることは前にこのメルマガでも述べましたが、和歌山の公共事業の激増ぶりは、山口県をはるかにしのいでいるのです。

そして和歌山県の巨額の公共事業は、二階氏が衆議院の予算委員長を務めている間、続くのです。

予算委員長というのは、予算を策定する現場の最高責任者であり、和歌山県の巨額の公共事業において、二階氏の責任は免れないはずです。2017年以降は、二階氏は予算委員長ではなくなっており、和歌山の公共事業は減っていますが、それでも隣県の奈良県の倍もあるのです。

和歌山では何をそんな巨額の公共事業が行われていたのかというと、高速道路の新設や基幹道路の4車線化の工事です。それらは東北地方の復興事業や、首都圏の整備費用よりも優先すべきことのはずはないのです。

初月無料のお試し購読はこちら

莫大な公共事業は和歌山県民のためになっていない

しかも、この巨額の公共事業費は和歌山県自体にも決して良い影響をもたらしたものではなかったのです。というのも都道府県の人口減少ランキングにおいて和歌山県は、この10年間、ワースト6位に位置しているのです。つまり東京を超えるような巨額の公共事業を受注していながら、人口の流出が止まらないのです。

和歌山県の人口は、2020年4月1日現在、91万7252(男43万1410、女48万5842)人です。和歌山県の人口は、24年連続で減少しています。二階氏が国会議員として頭角を現し始めてからずっと人口が減少しているのです。2020年の出生数は過去最低の5848人でした。1967年の調査開始以来、出生数は5年連続で過去最少を更新しています。

二階氏が自民党の重鎮となり、和歌山に巨額の予算をつけるようになったのとほぼ同時期に、出生減の記録更新を続けているのです。この1年間で1万556人も減少しており過去最も多い数値です。和歌山県は県全体がいずれ消滅してしまう「限界集落」になりつつあるのです。

これは当然と言えば、当然の結果でもあります。というのも和歌山県は、巨額の公共事業を受注する一方で、生活インフラは途上国並みなのです。

和歌山県の下水普及率は、なんと30%以下であり、徳島県に次いで全国ワースト2位。東南アジアでも下水の普及率は50%近くあるのです。和歌山県の生活インフラは、東南アジアよりも低く、アフリカ並みだと言えます。

和歌山県に投じられた巨額の公共事業費は、一部の事業者だけが潤うものであり、県民全体に利益にはまったくなっていません。今の和歌山県の姿が日本の将来を暗示しているように見えるのは筆者だけでしょ
うか?

初月無料のお試し購読はこちら

image by: 自由民主党 - Home | Facebook

大村大次郎この著者の記事一覧

元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授する有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 大村大次郎の本音で役に立つ税金情報 』

【著者】 大村大次郎 【月額】 初月無料!¥330(税込)/月 【発行周期】 毎月 1日・16日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け