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オリエンタルランドの財務は強いはずなのに?

オリエンタルランドはたとえ売上が1年間0円だとして、お金が余る財務基盤です。

オリエンタルランドの「対コロナ持久力」を見定めるうえで重要なのが、短期的な債務の支払い能力。コロナ禍においては、毎月の固定費である家賃や人件費などを払えずに苦しむ企業が多くあります。そんな状況下でも、オリエンタルランドはお金を支払う余裕がかなりある優良企業です。

企業が1年以内に現金化できる流動資産がどの程度確保されているかを示す指標として、流動比率(流動資産/流動負債×100)というものがあります。同社の流動比率は、2019年3月末時点で285%あり、一般的に理想とされる200%を大きく上回っています。

つまり、同社はコロナ以前の状況では、かなりの支払い能力を持っているのです。

特に、オリエンタルランドの財務で注目すべき点は、キャッシュの分厚さ。2019年3月末時点の現金及び預金残高は3775億円となっています。

コロナ影響前の費用を見てみると、売上原価と販売費および一般管理費の合計から、減価償却費を除いた金額は約3580億円となっています。つまり、オリエンタルランドは、一年間に出ていくお金が約3580億円に対して、現金及び預金として3670億円を持っています。ということは、1年間売り上げが0円でもお金がなくならないということになります。

この財務状況からおわかりのように、ディズニーリゾートはコロナ禍で長期の休園を行っても十分に耐えることができると投資家から判断され、評価が高いのです。

それでも、賞与を7割削減しなければならない事情

オリエンタルランドの足元の業績は厳しい状況が続いています。休園が響き、20年4~6月期の連結最終損益は248億円の赤字でした。7月1日に再開していますが、入場制限は続いており、21年3月までに予定していた大規模なイベントは、ほぼすべて中止することが公表されています。

こうした事情を受け、仕事がなくなったダンサーらに配置転換や退職を求めるのは、同社としても苦しい決断でしょう。しかし、こうせざるを得なかった理由は、キャッシュの減少を見れば一目瞭然です。

なぜなら、現金及び預金残高が19年3月に比べて、急激に減少しているからです。

  • 2019年3月3775億円
  • 2020年3月2611億円(1160億円・30%減少)
  • 2020年6月1780億円(831億円・32%減少)

1年3か月で約47%減(1995億円減少)しています。

特に、直近の20年3~6月の3か月は緊急事態宣言下による閉園も余儀なくされていたため831億円減少していますが、緊急事態宣言が解除された今も、50%以下の入場者数での運営を行うなど、通常通り運営ができているわけではありません。

キャッシュの減少が直近3か月の減少831億円の70%掛けで減少したと試算すると、

  • 831億円+(581億円×3四半期)=2576億円(減少)

この先、何もしなければ年間2576億円のキャッシュが減少していくことになります。(※3~6月と全く同じ金額が減少し続ける場合は3324億円の減少となる)

馬渕_オリエンタルランド② 

このままではキャッシュが底をついてしまいます。

そこで、後ほど述べる銀行融資や社債の発行などの資金調達を行っているわけですが、これらはいつか返さないといけない「借金」。自社の努力でコストを減らす努力も必要に迫られているというわけなのです。

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