そもそも現在の中国は国連憲章に署名したわけではありません。国連憲章が署名されたのは1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印されました。
いうまでもなく、当時、中華人民共和国はまだ影も形もありませんでした。中華人民共和国の建国は1949年です。
つまり、この国連憲章に署名したのは中華民国です。しかし現在の中国は、「中国こそが最初に署名した国のひとつ」だという嘘を垂れ流しています。
9月21日の人民網では「中国が映し出す国連憲章の精神」という題名の記事で、「国連創設から今年で75年になる。1945年6月26日、50か国の代表が米サンフランシスコに集い、重要な文書である『国連憲章』に署名した。中国は最初に署名した国の一つだ。それから75年間、国連安保理常任理事国として中国は約束を誠実に守り、終始一貫して国連憲章の趣旨と原則を厳守しただけでなく、国連の発展のために際立った貢献を果たしてきた」などとしれっと記述しました。
これは「日中戦争に勝利した中国共産党」というプロパガンダと同様のデマです。
中華民国は1971年のアルバニア決議において、中華人民共和国のロビー活動の結果、国連安保理常任理事国の座を失いました。この決議では「蒋介石の代表を国連とすべての関連組織から追放する」とされており、これに怒った蒋介石は中華民国の国連からの脱退を決定したわけです。
このとき日本は佐藤栄作内閣でしたが、中国の国連加盟には賛成するものの、中華民国の追放には反対し、「二重代表制決議案」および「追放反対重要問題決議案」の共同提案国に連名しましたが、結果は否決、アルバニア決議が採択されたのです。
しかし、現在も国連憲章には中華民国が国連安保理常任理事国であるままです。ですから、中国は台湾の国連や関連機関のWHOへの参加を妨害するわけです。しかし国連憲章を忠実に守るならば、中華民国が常任理事国だということになります。