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HSPは「逃げ」ではなく現実。生きづらさを抱える繊細な人々の特徴とは

最近、本屋さんの店頭に並べられていることが多い『「繊細さん」の本』という本をご存知でしょうか? タイトルにもある「繊細さん」とは、HSPと呼ばれる人たちのことです。世の中にはそのような気質の方々が5人に1人はいるのだとか。今回の無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』では著者のパピーいしがみさんが、HSPの方々の子育て、そして人一倍敏感な子、という意味のHSCの子どもたちに関わる子育てについて紹介しています。

HSPとHSC

こんばんは。パピーいしがみです。今、とても売れている本がありますがご存じですか?それは『「繊細さん」の本』という名前なのですが、HSP専門カウンセラーの武田友紀さんが書かれています。この本は「本が売れない」と言われている今、40万部が売れ、武田さんの第二、第三の本も出されてシリーズ化しています。書店に行くと、HSP専用棚が作られているほどです。

HSPって何か?について、今まで私のメルマガでは紹介はしてなかったのですが、HSCについては約2年前、1,000号と1,001号で紹介しています。

HSC。これは「Higly Sensitive Child」の頭文字をとったもので「ひといちばい敏感な子」と訳されています。ですが「ひといちばい敏感な子」がいれば、その子が成長すると「ひといちばい敏感な人」になる訳で、大人になった敏感な方を「Higly Sensitive Person」の頭文字をとってHSPと呼ばれるのですね。

もともとはアメリカの心理学者「エレイン・アーロン」さんが多くの人たちを診察する中で「こういう気質を持った人(子供や大人)が全人口の15~20%はいますよ」と書籍にまとめたものが最初でした。そして日本にはその概念がなかったので、子育てハッピーアドバイスで有名な精神科医・明橋大二先生が翻訳をしたのでした。

ただ、私はこの「ひといちばい敏感な子・人」が15~20%もいるのかな~?と思ってはいたのですね。もちろん、私の所にも繊細なお子さん、とても敏感なお子さんのご相談は頂きます。ですが5人に1人はそうだ、という考えにはちょっと疑問を持っていました。

ところがです。この「繊細さんの本」が出て、爆発的に売れ、特に(オリエンタルランドの)中田敦彦さんのユーチューブチャンネルで、この「繊細さんの本」を紹介したところ、中田さん自身も驚くほどの反響があって、潜在的に多くの方が「わたしってなんでこんなに細かいんだろう」「なんでこんなに思い悩むんだろう」「こんな私は変なのかな?」と苦しんでおられた、という事が分かったのでした。そこからさらに「繊細さん」やHSPという言葉が多くの人が知るところとなったようです。

どういう人がHSPなのか?についてはHSP診断テストがあるので、そちらを参考にしてほしいと思いますが(「HSP診断テスト https://hsptest.jp/」)、多くの人が知る事になったHSP。その一端を担ったのが(ロンドンブーツ1号2号)の田村淳さんが、テレビで「僕はHSPなんです。HSPって…」とお話しになったことにあるようです。

ロンドンブーツ…っていうと、眉をひそめる方もいらっしゃるかもしれません。というのもロンドンブーツの番組は、かなり突飛な内容でした。例えば、既婚者の芸人さんにドッキリと称して、ハニートラップを掛ける。仕掛け人の女性は、淳さんから指示が伝わるようになっていて、その芸人さんが落ちそうな口説き文句やしぐさで挑発します。

それを別室のモニター席で、奥様に見させ、芸人さんがデレデレしている様子と奥様の怒りの表情を交互に放送する。そしていよいよ芸人さんが落ちそうになった時に、現場に奥様を登場させ「あんた何やってんのよ!」と修羅場を意図的に作ってテレビで放映する…。

他にもいろいろありましたが「そこまでやる?」と言いたくなるものが多かったです。ただ、淳さんのアイデアや、言葉選びのセンスはとても秀逸で、よくこんなことを考え付くな、と思う事は数多くありました。

又、吉本の闇営業問題が起きた時、様々な先輩芸人さん、相方さん達が動いてはくれましたが、淳さんの行動はちょっと他の人とは違っていました。

(問題を起こした)相方の亮さんの為に、会社を設立して(社員は亮さん一人ですが)謹慎をさせながらも番組には同行させて、ちょっとだけ画面に写らせ、とても遠慮がちに、でも今でも毎日反省をしている…と見せている辺り、テレビを見ている視聴者の印象を考えながらとても細やかな配慮をしているんだな…と感じていました(もちろん亮さんの給与面も考えての会社化だったと思います)。

そのぐらい各方面に気を使い、できる最善の方法を取られたのですね。

その淳さんが、先の「繊細さんの本」を書いた武田友紀さんと対談して「淳さん、あなたもHSPのお一人ですよ」と言われたことで、「今までの疑問やわだかまりがスッと溶けた」という事をテレビでお話になったんです。

例えば、淳さんは先のロンドンブーツの番組内で、女性タレントさんの家に泊まる…のような企画があった時、「お風呂場のシャンプーの底のヌルヌルがめっちゃ気になる」と言えば、「出たよ、淳、全く潔癖なんだから、神経質!」と他の芸人さんに笑われる事もあったようです。

「でも汚れるのも平気。細かいことは気になるけと、潔癖症ではないんだよな~」「俺の事、理解してもらえないんだよな~」「俺って変なのかな~?」と今までもずっと考えていた、と。

淳さんは他にも「光に弱い(だから色付きのサングラスをしている)」「飛行機の乗客が一緒におりるのがいやだ」など気になることが結構あって、他にも、番組をつくる中で、スタッフや演者さん、1人1人の表情や声の温度がすごく気になっていたけれど…自分がHSPだと知ってから、周りと意見が合わない時は、HSPのせいにしたり、「人はみんな違うんだから、俺の気持ちをわからない人もいるよね」とすごく楽になれた…と言われていました。

先の「繊細さんの本」では、HSPについて詳しく説明をされているわけでも、HSPって大変だよね、と言っているのでもなく、今までHSPだった沢山の人に、カウンセリングをしたけど…こんな風にしてみたら、すごく楽になったみたいよ♪という、そんな対処法をまとめた文面になっています(著者の武田さんもHSPだそうです)。

5人に1人はいるといわれるHSP(繊細さん)ですが、もしかしたらあなたもそうかもしれません。だとすると、子育てをするうえで、ちょっと注意が必要かもしれないな~と思っています。

HSPについて、こうやっていろいろ資料を集めたり、本を読んだりしてみて、ふと思ったのが、私の父についてでした。私の父は、教師をやりながら書家でもあって、沢山のお弟子さんがおられました。それそれは細かい人で、私たちは毎日、小言の嵐でした。機嫌が悪くなると1週間も口を聞かない。不機嫌にさせるのが怖くて、いつも腫物に触るようでした。

「芸術家ってこうなんだろうな~」と、私も小さいころからピリピリした雰囲気を感じていましたが、HSPについて学んでいくと「もしかしたら父もHSP(繊細さん)だったのでは?」と思うようになったのです。

父はとても細かくてきつい物言いが多い人でしたが、決して強い人ではなく、今思うとまさに「繊細」。傷つきやすく壊れやすかったのに、それを家族には見せない(人にはわからない)ようにしていました。

でも実際は、学校では保護者とのトラブルがあっても相談できない。機械物に弱いが人に「教えて」と言えない。自分より若い先生が上司になったりしてさらにエスカレートし(これらは後に母から聞きました)…。ですから学校の先生も定年までは勤め上げず53歳で退職をしています。

母はどちらかと言えば、ずぼら。大雑把。私もどちらかと言えば母に近くて、父はそんな私たちのやっていることが「適当」だったり「雑」に見えていて、「なんでこいつらはこんな事もわからないんだ!」と思っていたのかもしれません。

でも…もし親がHSP(繊細さん)だったら、こういうことって数多くあるのだろうな…と感じたのです。親がとても細かいことに気づく人ですと、どうしても子供にもそれを要求して小言を言ってしまうでしょうし、思わず怒鳴ってしまう事。ピリピリした雰囲気を発し続けたり…が起きやすくなるだろうと思えるからです。

又、もしそんな状態で家の仲がギスギスしていたら「もしかして私って繊細さんかも?」と調べてみてもいいかもしれないなと思うのですね。

ちなみにHSCのお子さんも、子供であってもいろんな事に気づいてしまいます。例えばクラスの雰囲気、騒がしさ、そして先生の怒鳴り声。自分が怒られているのではないのに、自分の事のように感じてしまう。クラスの騒がしさが、騒音のように感じてしまい、そこにいられない。

そんな事から学校に行けなくなってしまうことも少なくありません。HSCのお子さんについてもご相談を頂いていますが、不安になってしまうこと、気になってしまうこと。それを理解してあげることをお願いしています。

あいママさんのお子さんも、やはりとても繊細なお子さんで、落ちつかないクラスの雰囲気になじめなくて、だんだん学校に行けなくなりました。どうやら学級崩壊にも近い状態だったようです。

繊細さんにとって、そんな状況はとても耐えられないのですが、支援学級に席を置かせてもらって、少しずつ復帰ができているようです。こんな風にご報告を頂きました。

不登校になってしまった長男も分散登校が始まり人数も半分、時間も短くて息子にはありがたい環境で半年ぶりに2週間。休むことなく行けました

分散登校が終わり人数も増えましたが、分散登校のときのまま、国語や体育など以外は支援学級から普通クラスへ通う“交流”を頑張っていました。前の日に交流か支援学級で過ごすかを自分で磁石をはるようです。

でも7月に胃腸炎で体調を崩し(痛みや体調にも敏感です)1週間ほど学校に行けず、元気になるまで2週間くらいかかりました。そこでやはり行きしぶりが始まり、交流ゼロにもどして「支援学級なら行ける」というのでそうしました。

また元気になってくると交流も増え、理科や社会も楽しいと言っています。少人数制の算数では発表もしているらしく、聞いてびっくりでした。

調子が悪いときは、やはり自分からは言えず行きたくなくなったり、家で「言えない~どうしよ~」となったりして、休んだり。自分で伝えられるときはメモにかいたり、スモールステップで頑張っています。

昨日、1年ぶりに給食を、普通クラスでみんなと食べました。帰ってきて感想を聞くと「楽しかった」と言っていました。正直、ほっとしました。「楽しくてよかったー!」と心のなかで叫びました。まずは一歩。大きな一歩ですね。今日も朝、「今日も給食、クラスで食べよう~」とにこにこしていました。

喋ってても目立たないから注意されにくいという思惑もあるみたいですが、普通クラスでも我慢できないくらいおしゃべりしてるんだな、と嬉しくなりました。

パピーさんの講座を学ぶ前は、毎日疲れはて涙する日もよくありました。今は慌ただしくも、賑やかで幸せだなぁと思える日がとっても増えました。子供たちからは「産んでくれてありがとう」「ママのところに生まれてよかった」とまで言われもう十分幸せです。

あいママさんのお子さん、徐々に学校に行けるようになって、本当に良かったです。

でも、くれぐれも誤解しないでほしいのですが、HSCやHSPは、病気や特別な状態なのではないんですね。「背が高い」のと同じような、もって生まれた「気質」なんです。

淳さんが、自分がHSPであり、そういう人はたくさんいる、って知った時「あ、そうなんだ」とほっとできたように、「自分にはこういう部分があるんだ。でも何もおかしくなんてないんだ」って分かることが、安心に繋がるそうです。

HSPのお母さんには、ご自分の発言に注意して頂く。HSPのお子さんには「大丈夫。その気持ちわかるよ」と共感して頂く。それぞれ違って当たり前。でも「違う」事を知ってほしいと思って、今日はこんなお話をさせて頂きました。

よろしかったら過去のHSCの記事もお読みください。

HSCをご存じですか?
HSCの子育て 

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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