中国が招く「コロナ再拡大からの第三次世界大戦」最悪のシナリオ

 

アフリカ市場から追い出され始めた日欧米の企業

このような姿勢は、アフリカ諸国ではより顕著で、中国への警戒と債務漬けによる縛り付けへの恐怖を認識しつつも、スピーディーに支援を進め、開発を推し進める中国に付き従うしかなく、結果、アフリカ各国においてleap-froggingで伸びる技術基盤(インフラ)の多くを中国が担うという事態にまで陥っています。そして、エチオピアやジブチなどでは、アメリカの中東・北アフリカ地域でのプレゼンスに対峙する形で、中国が戦略的な拠点(港など)を“借金のかた”に獲得しており、遠く離れたアフリカの地でも米中対立を激化させる要因になっています。

そしてじわじわと見えてきている現象があるとすれば、中国人と企業のアフリカ諸国市場への浸透が広まるにつれ、日本をはじめ、欧米の企業のプレゼンスがどんどん落ちており、市場から追い出されるケースも頻発し始めています。その顕著な例が、元々は欧米や世界銀行などの助言の下、公共部門(テレコム、運輸網など)の民営化を推し進める政策を取る中、それらの事業の契約を次々と中国企業のコンソーシアムが落札し、受注するという事態にまで繋がっています。アフリカ諸国の政府筋に聞くと、「中国のプレゼンスの著しい増加は、まさに脅威に思うが、口ばかり出して何もしてくれない欧米(や日本)よりはましだ」との耳の痛い意見もありました。

アフリカ諸国並みに中国に引っ張られているのが、中東・アラブ諸国です。他との違いは、経済的な支援という餌につられているのではなく、安定的な原油・天然ガスの販売先としての中国への魅力と、中国国内並みに人権侵害のケースを抱えているのではないかと欧米から批判され続けているという“共通点”から、国連をはじめとする国際舞台では、アラブ諸国は例外なく中国シンパで、この姿勢には、イランvs.アラブ諸国の図式は存在しません。

欧米諸国から非難対象になり、かつ中国離れの元凶にもなった新疆ウイグル自治区での強制収容キャンプについても、中東諸国は絶賛していますし、香港国家安全維持法を巡る国際的な議論の場でも、中国側に付いています。完全に実利主義に基づいた政策選択といえるでしょう。

そのような中で分断・分裂の世界の縮図となっているのが、東南アジア諸国です。カンボジア、ラオス、スリランカという親中国の国々や、ここ数年、ロヒンギャ問題を機に親中国に変わったミャンマーというASEAN内のRed Teamがいる一方、南シナ海で直接的に中国と対峙するマレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンは、経済的なイシュー(とコロナ対策)については、中国批判の度合いを弱め、欧米と中国との間で、実利に基づいた態度表明を都度行っています。アメリカはポンペオ国務長官を派遣して支持取り付けに奔走していますが、一筋縄ではいかぬ状況になっているのはこのような理由でしょう。

「中国の強硬な外交政策には反対だが、中国との経済的な結びつき無くして発展はなく、またコロナ対策では中国に頼るしかない」というのが現状のようです。

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