JR東日本「駅ナカシェアオフィス」に学ぶ、スペースとニーズの繋ぎ方

2020-10-28 16.48.51
 

JR東日本は、昨年8月に東京駅、新宿駅、池袋駅、立川駅に設置しスタートし、30か所にまで増えていた電話ボックス型や、駅近施設利用のコワーキングスペースによるシェアオフィス事業をさらに拡大していくと発表しました。コロナ禍による需要の急拡大に応えるものですが、そもそもの狙いや勝算はどこにあったのでしょうか。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』著者の理央周さんが、鉄道事業者としての強みを生かす戦略について解説します。

なぜ、JR東日本はシェアオフィスを始めたのか?エキナカオフィスの差別化ポイントとその勝算

JR東日本が、「駅ナカ」や駅付近で、シェアオフィスを本格的に開始しました。シェアオフィスは、結構どこにでも見られます。場所だけあればできるので、その分、エントリーバリアが低く、実は誰にでも参入できるビジネスモデルです。

たとえば、ホテルやカラオケボックスなどの、「設備」としての部屋がある事業体であればできますし、インターネットカフェはもちろん、スターバックスのようなカフェでも仕事はできます。

そんな中で、JR東日本はなぜ、この時期に、シェアオフィスをやるのか、その特異性や、勝機はどこにあるのか?を、マーケターの視点で考えていきます。あなたのビジネスの参考にしてください。

JR東日本のシェアオフィスのコンセプト

まず、この事業のコンセプトから考えていきます。JR東日本のホームページにあるように、“空いていればすぐに使えるシェアオフィス”というコンセプトで展開しています。

ネーミングも「ステーション ワーク」という名称の通り、駅の中に、1人用と2人用のブース型のワークスペース。その中には、大きめのデスクとチェアがあり、もちろん冷暖房は完備、ビジネス・パーソンに嬉しいのは、モニターがついていることと、Wi-Fiが使えることですね。

外観を写真で見た感じは、今はあまり見なくなった電話ボックスのような雰囲気で、半透明のガラスで外からは、あまりはっきりと中は見えない感じなので、プライバシーは守られているようです。

このスペースを、一人用であれば15分250円、2人用は15分300円で使うことができるのです。場所は、東京駅、新宿駅、池袋駅、立川駅を中心に、展開しているとのことです。

顧客価値は何か?

まず、JRということもあり、駅の中にあるので、ちょっとした時に、便利に使うというのはありそうですね。その辺りのニーズを汲み取って、15分単位での価格設定をしているのでしょう。目的地に早く着きすぎて、30分くらい時間がある時に、次の電車まで、簡単にひと仕事するとか、急に込み入った電話がお客様から入って、静かなところで電話をしたいとか、出張が多いビジネスパーソンなどは特に、このようなシチェーションがよくあるので、使用機会も多くありそうです。

また、2人用のスペースもあるので、簡単な打ち合わせもできる、というのも特徴です。東京駅や新宿駅などは、駅の中や近くにも、いくつかカフェなどの打ち合わせスペースはありますが、いつもかなり混んでいる印象があります。また、仕事だけの用途ではなく、ちょっと休みたい時なんかもいいかもしれませんね。

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