都構想と基地移設。大阪で尊重され沖縄で無視された「民意」格差の正体

 

辺野古の基地反対を公約に掲げて当選した当時の沖縄県知事の仲井間弘多は、第2次安倍政権の発足直後、あっさりと有権者を裏切って安倍政権の辺野古沿岸部の埋め立て案を承認しました。そして、ずっと止まっていた基地計画が動き出したのです。しかし、このえげつない仲井間の裏切りに激怒した沖縄県民は、2014年の知事選で基地反対を公約に掲げた翁長雄志を知事に選び、裏切り者の仲井間を引きずり降ろしました。これは沖縄の民意ですよね。

残念ながら翁長知事は4年後の2018年8月に急逝しましたが、沖縄県民は、翁長知事の意志を継いだ基地反対派の玉城デニーを次の知事に選びました。これも沖縄の民意ですよね。そして、玉城知事は、翌2019年2月24日、「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」を実施しました。当初は「賛成か反対か」の二択で行なおうとしましたが、一部の自民党系の市長らが難色を示したため「賛成」「反対」「どちらでもない」の三択となりました。

その結果は、埋立て工事に「賛成」が11万4,933票(19.10%)、「反対」が43万4,273票(72.15%)、「どちらでもない」が5万2,682票(8.75%)、「反対」が「賛成」の4倍近い圧倒的な民意が示されました。しかし、これほどの結果が出たのにも関わらず、安倍晋三は「結果を真摯に受け止め、基地負担軽減に全力で取り組む」と、毎度のすり替え話法を炸裂させたのす。さらには、玉城知事との対話から逃げ続けて来た癖に「これまでも長年にわたって県民と対話を重ねてきたが、これからもご理解をいただけるよう全力で県民との対話を続けていきたい」などと抜かしました。

今回の大阪都構想の住民投票の結果は、賛成が67万5,829票、反対が69万2,996票で反対多数となりましたが、この票数を比率で見ると、賛成が49.37%、反対が50.63%です。「ほぼ同率」と言っても良いほどの僅差でしたが、それでも多数派が「民意」として尊重され、大阪市の存続が決まりました。

一方、沖縄の県民投票では、賛成が19.10%、反対が72.15%という明確な「民意」が示されたのにも関わらず、この県民投票に法的拘束力がないことをいいことに、安倍晋三は沖縄の民意を踏みにじったのです。そして、その後の衆院補選でも基地反対派が勝ち、夏の参院選でも基地反対派が勝ちましたが、安倍晋三はその都度「基地問題だけが争点ではない」などと詭弁を弄して、これらの民意をすべて無視して来ました。

第2次安倍政権の間だけでも、二度の知事選、県民投票、衆院補選、参院選と、沖縄県民は5回連続で「辺野古に基地はいらない」という民意を示して来ましたが、それをことごとく踏みにじり、埋立て工事を強行して来たのが安倍晋三なのです。そして、その実務を担って来たのが、官房長官の菅義偉でした。つまり、第2次安倍政権で7年8カ月にわたって沖縄の民意を踏みにじり続けて来た実行犯が、今、首相の座に就いたということなのです。

しかし、その菅義偉も、首相の座に就いたとたんに「国民のために働く内閣」などという看板を掲げたのですから、それならば、まずは沖縄の民意を誠実に受け止め、今すぐに辺野古の工事を中止するのが筋でしょう。そして、安倍晋三と同様に民意を無視してこのまま工事を強行し続けるのであれば、この「国民のために働く内閣」という嘘八百の看板など、トットと下ろしてほしいと思います。

(『きっこのメルマガ』2020年11月4日号より一部抜粋・文中敬称略)

image by: 大阪維新の会 - Home | Facebook

きっここの著者の記事一覧

「きっこのブログ」のメルマガ版です。ブログと同様に、政治や芸能から文学やお料理、流行やファッションから日々の出来事まで、多岐にわたって綴って行きますが、よりディープに攻めて行こうと思っています。

有料メルマガ好評配信中

    

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 きっこのメルマガ 』

【著者】 きっこ 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 第1水曜日・第2水曜日・第3水曜日・第4水曜日予定

print
いま読まれてます

  • 都構想と基地移設。大阪で尊重され沖縄で無視された「民意」格差の正体
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け