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韓国法相がSNSで報復予告。「玉ねぎ女」の暴走に検事ら一斉蜂起

韓国マスコミから「玉ねぎ男」と呼ばれたチョ・グク氏の後任として法相に就いたものの、その後すぐに複数の疑惑が噴出し批判にさらされていたチュ・ミエ氏。そんな彼女が今、韓国法曹界を大きく揺るがしています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、民主化以降一度しか発動されてこなかった「捜査指揮権」をチェ・ミエ氏が既に3度も、しかも自身と政権を守るために発動したという事実と、その悪質なやり口に対する検事たちの嘆きの声を紹介しています。

【関連】韓国「玉ねぎ男」後任のチュミエ法相も不正まみれ、3つの疑惑が発覚

最近の韓国

11月16日0時現在、コロナ累計感染者数は2万8,769人(前日から223人増加)となっている。日本のほうも最近増加率がかなり増えているが、韓国も200人台がこのところ数日続いていて全体に危機感が醸成されている。1日の発生が200人をこえるというのは、10か月ほど前のコロナ初期以来、初のことだ。

米大統領選挙が、民主党(バイデン)の不正があとからあとから暴かれてきており、テレビの報道とは裏腹にバイデンが窮地に立たされる結果になるような様相をきたしている。ナンシー・パウエルという辣腕弁護士がトランプ陣営に加わってくれたことで、トランプは俄然勢いづいているといってよいだろう。中国共産党との結びつきの強いバイデンが米大統領になったら米もそうだが、日本もかなりやばい時代になるものと思われる。台湾も尖閣も全部中国共産党の支配下に抑えられる可能性が限りなく高くなろう。トランプのことをバカだ人格破壊者だと頭から彼を見下す群れがいるけれどもトランプは決してばかではない。彼のやってきたことを色眼鏡ではなく純粋にみてみるとすぐにわかる。メディアの報道に騙されてはならない。

さて、韓国(以下の内容は筆者愛読の朴斗鎮TVの内容をまとめたものである)。連日こちらの話題は、チュ・ミエのことだ。前法務部長官がチョ・グクだった。いわゆるたまねぎ男として有名だ。彼のあとを継いで今年1月に法務部長官=法務大臣に就任したのがチュ・ミエ。こちらではたまねぎ女としてすでに有名だ。いろんな疑惑があとからあとから出てきているからだ。

今彼女は、人事権濫用で粛清人事を繰り返している。ここで人事権というのは、検察の人事を検察庁長官がやるのではなく法務大臣がやるということ(法に違反しているのだが)。目的は検察庁長官=検事総長であるユン・ソンヨル氏の手足をしばること。

ユン・ソンヨル氏は、もともと文在寅の要請をうけて検察総長になったのだが、文在寅に都合の悪いこともバンバンその罪をあばき、与党も野党もなくただ純粋に法のもとに悪を撲滅してゆこうとするその姿勢は、まさに検察官の鑑のような存在となっている。こういう検察官がいるなら、国に対する信頼も増すというもの。

今、このユン・ソンヨル検事総長を一番煙たがっているのがチュ・ミエだ。自分の息子の不正(チュ・ミエの息子の軍服務時の不正)などをバンバン暴いているからだ。最近は、ライム事件(1兆5,000億ウォン=1千数百億円の詐欺事件)で政府与党と大統領府関係者の名前が出てくるや突然3回目の指揮権発動を行いユン・ソンヨル総長の捜査権を剥奪。この背景には前秘書室長イム・ジョンソクなどハニャン大学(漢陽大学)卒業生らが深く関与したといわれているもう一つのファンド詐欺事件オプティマス事件を事前に遮断する狙いがあるとみられている。オプティマス事件では5,600億ウォン=460億円の詐欺被害が出ている。これがモロに暴かれると、文在寅にとっては強烈なカウンターとなる。

3回目の指揮権発動がなされたのは10月19日。韓国の民主化後に指揮権発動がなされたのは4回ありそのうちの3回がチュ・ミエによるもの。いかに多いかがわかる。指揮権発動とは検察庁長官ではなくて法務大臣が直接検察に指示をだして検察をコントロールすること。ユンソンヨル検事総長の手足を縛るだけでなく彼をを事件に巻き込み排除することがメイン目的。そのため、ユン・ソンヨル総長の義母の問題を蒸し返している。義母の問題は、数年前に現与党である民主党によって(つまり文在寅政権側によって)「なんの問題もなし」と太鼓判を押されていた問題なのである。

ユン総長は指揮権発動直後の10月22日、国会法制司法委員会で、大検察庁の国政監査に出席し、「検察総長は法務部長官(法務大臣)の部下ではない」としたうえで、具体的な事件で法務大臣が検察総長を指揮するのであれば話は聞くが一方的に「検察総長は外れろ」というのは検察庁法に反すると反撃した。これまでの法務大臣は、検察庁法を尊重したゆえ無暗に指揮権発動をやったりしなかったが、権力ゴッコに明け暮れているチュ・ミエはこれを乱発しているわけだ。

文在寅政府のやろうとしている検察改革というのは、人権の尊重、法のもとでの公平と平等、司法独立という自由民主主義の発展を目指すものではなく検察を自分たちの召使にしようという陰謀だという声が高まっている。

チュ・ミエの指揮権発動で注目せねばならぬもう一つの点は、いずれの指揮権発動もまず詐欺犯が登場して与党寄りのメディアがその人物の意見を報道したのちに発動されているという事実がある点だ。たとえば収監中のキム・ボンヒョンの獄中からの手紙が今回の3回目の発動の根拠になっていたりする。

今回の指揮権発動があまりにも露骨で悪質だったため多くの検事たちの怒りをかった。実名で最初に声をあげたのはイ・ファヌという済州島地検の検事。10月28日、韓国検察内ネットワークでチュ・ミエが人事権、指揮権、監察権を濫用していることを批判し、政府のやっている検察改革は根本から失敗したと投稿した。

これに対してチュ・ミエはSNSで、「そうしたカミングアウトには改革だけが答えだ」と応酬した。これはイ・ファヌ検事に対する報復予告とみられている。つまり検察改革によってお前を処罰するぞと脅しをかけているわけだ。

このSNS投稿に堪忍袋の緒が切れた検事たちが一斉に声を上げチュ・ミエを批判した。「わたしもイ・ファヌだ」と。こういう検事が全国300余人に上った。韓国の全検事が2,154人いるなかで、そのうちの10%にも達する。水原のある検事は、今回の検察改革は執権勢力と一部検事たちによる合作の詐欺だったようだと批判した。過去、検事たちが連判状を書いたこともあるがこれほどまでに多いのははじめてのこと。検事出身のある弁護士は、検事の95%がこの行動に賛成しているといっている。検事たちは、「北朝鮮じゃあるまいし、怖くてなにも言えない世の中になったようで悲しい。抑圧と恐怖は改革ではない」と嘆いている。

検事たちの政府批判行動が今後どういう広がりをみせるかはわからないが文在寅に、チュ・ミエをとるかユン・ソンヨルをとるかの選択を迫ったことは間違いない。もしユン・ソンヨルを切れば、国民のユン・ソンヨル待望論に火をつけることはまちがいない。今もイ・ナギョン、イ・ジェミョンについで大統領候補として支持率17%という支持をとっているためだ。文在寅の任期は2022年5月9日までとなっている。

image by: 秋美愛 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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