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プロ野球中日の大荒れ契約更改で不安が募るJリーグのシーズンオフ

コロナ禍で異例のシーズンとなったプロ野球も、日本シリーズの結末に関してはソフトバンクが巨人を4連勝で下すという、昨シーズンを踏襲した結果で幕を閉じました。サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』では、著者のじじさんがパ・リーグ優位がしばらく続くと予想。さらに、大荒れとなっている中日の契約更改の話題に触れ、コロナ禍でプロ野球以上に厳しい冬を迎えそうなJリーグのチーム、選手への心配を募らせています。

経営的に苦しいプロ野球。Jリーグはどうなる?

プロ野球の日本シリーズは今年も巨人 vs ソフトバンクという顔合わせになったが2019年と全く同じでソフトバンクが4連勝して4連覇を達成した。「2年連続のスイープ」となったが両チームの戦力を冷静に考えると「4勝0敗でソフトバンクが勝利する」というのはもっともあり得る展開だった。戦前は巨人のOBを中心に「4勝3敗で巨人が日本一に輝く」と予想する人も少なくなかったが力の差は歴然としていた。「1つ勝てれば御の字」と言えるほど投打ともに差があったと言える。巨人にとっては屈辱の敗戦となった。

これで8回連続でパ・リーグのチームが日本一に輝いたことになる。通算成績もパ・リーグが36勝、セ・リーグが35勝。ついにパ・リーグが上回った。「人気のセ、実力のパ」というのははるか昔から野球界では言われているフレーズになるが実際には巨人が1965年~1973年まで不滅のV9を達成していることもあってずっと日本シリーズの通算成績もセ・リーグが優勢だった。「セ・リーグの方がはるかに勝ち越している」という時期がずっと続いていたので「パ・リーグが通算成績で逆転をした」というニュースを聞いたときは驚いた。

セ・リーグの時代とパ・リーグの時代は交互に訪れている。80年代~90年代の半ばは西武の黄金時代だったのでパ・リーグが優勢だった。その後、逆指名制度とFA制度の導入によって有望な選手の多くがセ・リーグのチームに入団したのでセ・リーグの時代が続いた。1993年~2002年までの10年間は「セ・リーグが8勝、パ・リーグが2勝」だった。当時のパ・リーグにはイチローや松坂などがいたのでスター選手は多かったがリーグとしては低迷期だった。ただ、2003年以降はパ・リーグが15勝、セ・リーグは3勝。圧倒的な差がついている。

裏金問題で逆指名制度がなくなったのはパ・リーグにとっては大きかった。また、有力選手が巨人ではなくてメジャーリーグを目指すようになったので巨人に人材が集まらなくなったのも大きかった。一昔前であれば巨人を中心にルールを変更して、再度、セ・リーグ(もっと言うと巨人や阪神など一部の球団)にプラスになるようなルール変更がなされたと思うが球界内の巨人や阪神の地位が低下しているので自分勝手なルールを作るようにコミッショナーなどに働きかけるのも難しくなった。セ・リーグが巻き返すのは難しいだろう。

大荒れの展開になっている契約更改

「球界の盟主が巨人からソフトバンクに完全に移った」ということを実感する日本シリーズになったが日本シリーズが終了したこともあって各球団の契約更改がスタートした。Jリーグとは違って(FA権を取得した選手以外の)プロ野球選手に移籍の自由はないので球団とは来シーズン以降の年俸や契約期間などの話し合いをするのみになるが新型コロナの影響はとんでもなく大きい。例年、プロ野球の契約更改は景気のいい話ばかりが聞こえてきたが今シーズンは記憶にないレベルで極めて渋いオフになっている。

もちろん、FA権を取得したヤクルトの山田哲人など一握りのスーパースターに対しては破格の条件が提示されている。「7年契約で総額35億円プラス出来高」と言われている。今シーズンの成績は「2割5分4厘でホームランは12本のみ」であることを考えるとリスクのある条件提示と言えるがチームの顔である山田哲人に出ていかれるとヤクルト球団としては大打撃である。山田哲人については「さすが野球選手」という夢のある契約になったがごく一部のスーパースターを除くと極めて厳しい契約更改になっている。

その中でも中日の契約更改が話題になっている。中日の契約更改はまだ始まったばかりであるがすでに3人の選手が保留をしている。昔は「契約更改→納得できずに保留」というケースは多かったが、やはり、何度も保留をすると球団も選手もイメージが悪くなる。有名選手になればある程度は下交渉をしてから最初の契約更改に臨むのでほとんどの選手が一発更改になる。「保留した選手はゼロ」という球団も珍しくないので「この段階での3人の保留」というのは最近ではかなり珍しい。中日の契約更改は大荒れの展開になっている。

日本プロ野球選手会が球団に対して抗議

11月28日(土)に日本プロ野球選手会が中日に対し抗議文を発送しているが「これも極めて異例」である。

「11月26日から始まりました中日ドラゴンズの契約更改交渉においては、中日球団代表による所属選手に対する査定方法の事前説明が二転三転したり、不十分な点がありました。また所属選手との契約更改交渉後に、同代表が、メディアに対して、一方的に所属選手が年俸金額でもめているかの印象を与える発言をするなど、選手と球団の信頼関係を維持できない状況が発生しています」

と訴えているが日本プロ野球選手会が球団に対して抗議を行ったことでさらに中日の契約更改に注目が集まっている。加藤代表に対する批判の声は大きくなっているがどう考えても球団の経営は苦しいので「同情の余地はある」と言える。「選手に対する言い方がよくない」、「マイルドな言い方があるだろう」というのはもっともな意見だと思うが新型コロナの影響で観客動員数は激減しており、そもそもの試合数も143試合制から120試合制に変更になった。中日に限らず、すべての球団は大きな赤字と考えられる。

「社長を含めた球団 vs 選手」となった場合、ほとんどの人は選手側を応援するだろう。日本プロ野球選手会の抗議についても「よくやった」という声は多いが新型コロナの影響は観客動員数が多かったチームの方が大きい。Jリーグも浦和やG大阪や横浜FMやFC東京など人気クラブの方がマイナスの額は大きくて神戸など人件費の高いクラブが総じて困った事態に陥っているがJリーグと比較してもプロ野球の各球団の規模はさらに一回りは大きい。Jリーグのクラブ以上に困った事態になっている球団ばかりだと推測できる。

他には「楽天も球団の経営が新型コロナの影響で苦しくなっている」と報じられた。プロ野球はもともと基礎体力の大きい会社がバックにいるので何とかなるとは思うがJリーグもすでに名前が挙がっている鳥栖や仙台以外にも厳しい状況になっているクラブは少なくないと想像できる。各クラブの財政が厳しくなったことがオフのストーブリーグにどんな影響をもたらすのか?も気になるところである。全クラブが厳しい状況になるのか?一部のクラブのみなのか?Jリーグの経営に関するネガティブなニュースは増えていくだろう。

image by:ngorkapong / Shutterstock.com

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