クライブ・ハミルトン氏の『サイレント・インベージョン』に続く著書『hidden hand』によると、アイオワ州のマスカティーンが「習近平タウン(中国支持)と化しているそうです。これはアメリカ通信の放送でも取り上げました。
この町は、ミシシッピ川のほとりの苦境にあえぐ大豆栽培の町であり、人口はたった2万4,000人です。
1985年に若き日の習近平が河北省の職員として貿易使節団を率いてマスカティンを含むアイオワ州の農場や町を訪問したことが事の始まりです。
そして、今ではアイオワ州は中国河北省の姉妹州の関係を結び、「古い友人」としてさらに広範なビジネスネットワークを築き、中国では「アイオワ・マフィア」と呼ばれているほどです。
2018年には、同州の元知事であるテリー・ブランスタッドが新たな駐中アメリカ大使として任命されました。ブランスタッドは習近平がアイオワ州を訪問した際に知事を務めており、自身を習近平の「友人」であると考えていて、アイオワ州への中国の投資を増やす方法として、習近平の「一帯一路構想」を支持しています。
アイオワ州2016は年の大統領選挙で、民主党からトランプに鞍替えした中西部の農業州の一つですが、2018年にトランプ政権が中国に仕掛けた「関税戦争」への報復措置の際にも、中国側は、アメリカ産の大豆の輸入を制限すればアイオワ州にも影響が出ること知っていました。
この貿易紛争が勃発した当初、中国が地元のデモイン・レジスター紙に金を払ってチャイナ・デイリー紙の折り込み広告を掲載した理由はまさにここにあるわけです。
地方紙の広告を買って地方世論をコントロールし、都合のよい政治家を選挙で選ぶように誘導することを試みたのです。
国際親善の美名のもと、その実、裏でカネをちらつかせば、いとも簡単に籠絡されて、政治家や官僚がなびくのは、どこの国や地方でも同じです。
それを知っているからこそ、中国は、世界各地の地方自治体にその「隠された魔の手」を伸ばしているのです。
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和田憲治
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