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部員の4人に1人が飲酒。山辺高校のサッカー選手権出場は是か非か

年末から年明けの風物詩「全国高校サッカー選手権」は、コロナの影響で準々決勝までは一般のファンは観戦できないものの、ほぼ例年通りの開催が予定されています。甲子園やインターハイが中止になった夏を思えば開催されるだけで喜びですが、そんな大会に影を落とす話題があります。メルマガ『J3+ (メルマ)』では著者のじじさんが、部員の飲酒問題、指導者のパワハラ問題で物議を醸す奈良県代表山辺高等学校について、明らかになっている事実を整理し、出場の是非を論じています。

【高校サッカー】奈良県代表の山辺高の飲酒問題について

新型コロナの新規感染者数はここ2週間ほどは高いレベルで安定している。過去最多を記録する県や市はたくさん出ており、明確に減っているわけではないが「感染爆発」というほどではない。指数関数的な増加では全くないことを考えるとコロナのニュースがたくさん報道されるようになって不要な外出などを控える人が多くなった結果、感染拡大はある程度のレベルで抑えることが出来ていると言える。重症者数や死亡者数がとんでもなく増えているわけではないことを考えると「今のところは想定の範囲内」である。

過去の例から「年末年始で学校や職場が休みになって人の移動が少なくなったら感染者は減るだろう」と思われる。帰省をする人も今年は少なくなると思われる。ワクチンの開発が進んでいるので早く国内に日常が戻ることを期待したいが冬の高校選手権は12月31日(木)に開幕する。99回大会になるが全ての出場校が集まっての開会式は行われず。新しい時代に即した簡略化された大会になると思うが無観客試合にはならない模様。2021年1月11日(月)に埼玉スタジアム2002で決勝戦が行われる予定になっている。

今年は名門校の多くが順当に予選を勝ち上がったので1回戦や2回戦から好カードが目白押しである。青森山田高と昌平高あたりが優勝候補に挙げられると思うが東福岡高や前橋育英高や神村学園高なども上位候補に挙げられるだろう。ただし、今年は多くの大会が中止になったので各校の戦力を分析するのは難しい。4人もの高校3年生が横浜FMに入団することになった大阪府の興国高は選手権の出場を逃したがJリーグ入りが決まっている選手は少なくない。青森山田高の2年生のMF松木が今年も注目を集めるだろう。

8月にクラスターが発生した島根県の立正大学淞南高は県予選で敗れたので選手権の出場はならなかった。立正大学淞南高が出場していたら注目を集めたと思うが、今、最も注目を集めているのは奈良代表の山辺高になる。奈良県の予選を突破して初出場を果たしたが「今年の9月に2年生の部員・10人が寮内で飲酒をしていたこと」が発覚して炎上している。11月下旬に学校などに情報提供があって調査を行った結果、事実であることが判明したという。「奈良大会に出場した選手も含まれている」と報じられている。

注目を集めるのは2度目

山辺高が注目を集めるのは2度目となる。1度目はサッカー解説者として活動していた元Jリーガーの興津大三氏のパワハラ問題だった。裁判中なので事実かどうかははっきりしないが「監督から暴行を受けて退寮・退部に追い込まれたなどとして、監督と高校と提携して部や寮を管理するボスコヴィラサッカーアカデミーの運営会社「天平フーズ」に1100万円の損害賠償を求めて地裁に提訴した」という。興津氏はDAZNの清水戦や磐田戦の解説を務めていたがここ最近は全く見ないので「騒動の影響で外された」と思われる。

「元Jリーガーを監督に招聘してサッカーで名前を売っていく」というのが学校の方針だったと思うがパワハラ問題でケチが付いて今回の飲酒問題でさらにイメージは悪化した。生徒数を調べてみると「2020年6月現在:男子137名 女子47名」と書かれていた。普通科と生物科学科の2つがある。もともとは「奈良県立山辺農業高」という名前だったので「農業系の高校」と思われる。奈良市内にあるが地図を見ると「奈良市の中心地からは相当に遠い場所」にある。2005年の平成の大合併のときに都祁村から奈良市になっている。

部員数は約40名という。関与したのは約25%。割合的にはかなり高い。男子は計137名なので「男子生徒の29.2%がサッカー部員で、そのうちの約25%が飲酒をした」ということになる。「寮では2~3人ずつ部屋で生活している」と報道されているが飲酒をしなかった30名ほどの部員が「10名が飲酒をしていたことを知らなかった」とは考えにくい。「大会に出場するのか?否か?」が注目されているが現時点では校長先生が「出場を辞退しないという判断に至った」とコメントしており、大会を辞退するつもりはないようだ。

連帯責任というのはバカバカしいルール

山辺高の校長先生は騒動に関して「今回の事案は私の認識の甘さによるもの。このことで子どもたちの出場機会を失ってはいけないと思います」とコメントしているが、正直なところ、意味不明である。生徒やサッカー部に対する指導力不足は指摘されても仕方がないが一緒になって寮で飲酒をしていたわけではないので悪いのは全面的に生徒である。「私の認識の甘さが何を指しているのは?」は分からないが主の原因が校長先生を含めた先生方にあるわけではないことを考えると的外れなコメントである。

難しいのは「どこまで連帯責任を負わせるべきなのか?」である。10年ほど前あたりの時期の高校野球では結構な確率で甲子園出場校の不祥事が発覚して出場辞退に追い込まれた。飲酒や喫煙や暴力事件など辞退の理由はいくつかあるが最近は少ない。「連帯責任はおかしくないか?」という声が大きくなったことが大きいと思うが「不祥事のリーク合戦になった時期」もあった。当然、甲子園出場を辞退するというのはあまりにも厳しい罰なので「不祥事を積極的に隠そうとする動き」も強まるなどおかしな動きは増えた。

今回の山辺高の件は判断が難しい。先のとおり、「全部員の約25%」というのは割合的には相当に高い。部員数名の不祥事とは言い難い。初の選手権出場であり、サッカーで名前を売りたいと考えていた人は「何としてでも辞退は避けたい」という考えだと思うが批判の声はおさまらないだろう。基本的には連帯責任というのはバカバカしいルールだと思うが今回は関わっている部員の割合は非常に高い。「絶対に選手権を辞退すべき」とは言えないが「辞退したほうがいい案件なのかもしれない」と個人的には考える。

image by: Shutterstock.com

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