中国はゲームにすら嫉妬する。台湾発『還願 Devotion』検閲、再販中止の裏で何が起こっているか

 

ある報道によれば、再版決定後のユーザーの反応は好意的なものがほとんどで、批判的なものは見られなかった。それなのに、GOG.com側は、「多くのゲーマーたちからメッセージを受け取った結果、このゲームをストアで販売しないことを決定した」とツイートしたそうです。

発禁ホラーゲーム『還願 DEVOTION』GOGで再発発表も直後に販売ページ消滅

つまり、表面には出てこないなんらかの圧力がかかって、再販中止となったとしか考えられません。それにしても、反応が早すぎると思いませんか。再版決定を発表してから数時間後には中止を決定させる圧力をかける。しかも、ユーザーからの声は好意的なものが多かったにもかかわらず、「ゲーマーたちからのメッセージ」によって中止すると言わせてしまう。

そもそも、開発に多大な時間を労力が費やされて出来上がったこのゲームがお蔵入りさせられたのは、たった少しの落書きが原因だというのもバカバカしい話です。ほんの少しの落書きにも徹底的に圧力をかけて世に出させない不寛容。中国は、政権批判は絶対にできず、発言の自由も民意もありません。批判は外に向けるだけ。このバカバカしさが、身体だけ大きくて肝の小さい中国の本質を物語っています。

民主主義の国では、トランプ大統領も安倍元首相も、さんざん批判され、「アホ」だの「死ね」だの言いたい放題言われました。しかし、さまざまな批判や悪罵をも容認するのが民主主義国の首領です。それは、自分を首領に選んだのもまた民意だからです。

しかし、独裁国家の首領は、絶対に自分への批判を容認できません。民意を得た首領ではないからです。民意によって選ばれたわけではないので、権力を維持するには言論統制や恐怖政治しかないというわけです。だからどんな小さな批判でも容認できないのです。中国では民意など弾圧の対象でしかないのです。

そのため、こそこそとスパイ活動に熱心にならざるをえない。これも中国の特徴です。「還願(Devotion)」の再版中止が決まったとのニュースと同時期に、以下のニュースも流れてきました。

中国のプロパガンダ疑惑の絵本 文化部、業者に説明要求へ/台湾

以下、報道内容を一部引用います。

台湾各地の公立図書館に所蔵されている児童向け絵本に、中国の政治的宣伝とみられる内容が盛り込まれていた問題で、文化部(文化省)は30日、同書が台湾で出版される際、必要な申請がなされていなかったことを明らかにした。同部は業者に説明を求める方針を示した。

 

問題の絵本は、「等回家」(仮訳:お父さんの帰りを待ちながら)。今年5月に簡体字から繁体字に変えて台湾で出版された。一緒に旧正月休みを過ごすと子どもに約束していた医師が、突然町を襲った新型コロナウイルスから人々を守るために奮闘する物語で、中国のコロナ対策を称賛しているほか、「中国加油」(中国頑張れ)、「武漢加油」(武漢頑張れ)などの表現も含まれている。

中国のプロパガンダ疑惑の絵本 文化部、業者に説明要求へ/台湾

中国共産党のプロパガンダ絵本を、こそこそと台湾に持ち込んで台湾各地に配布する一方で、気に入らないゲームは徹底的に潰すわけです。中国の本性がここにあります。

print
いま読まれてます

  • 中国はゲームにすら嫉妬する。台湾発『還願 Devotion』検閲、再販中止の裏で何が起こっているか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け