新型コロナは「暴走機関車」。日本が五輪を諦めてでもすべきこと

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新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されて1年あまり。これまでの感染者数の推移グラフを暴走機関車の進路図のようと表現し、先回りしてこの進路を塞ごうとせず、医療崩壊に近い状態を招いた政府の失策を嘆くのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんはゲームチェンジャーとなりうるワクチン接種が始まるときに、これまでのような後手後手があってはならないと主張。効果が最大となるようなワクチン接種を遂行するために必要なことが何かを述べています。

行く先のこと

映画と「暴走機関車」は実に相性がいい。交通局の電光掲示板上に何らかの事情で暴走する破目になった列車がライトの点滅等で表示され、その行く先には破滅的な終着点(化学工場など)がある。主人公たちはそれを止めるべく粉骨砕身する訳だが、列車の方はこれまた何かの事情で加速したりしてこちらの仕掛けを僅かの差でするりとかわし、そうしてさらにまた加速して行く。よくある話だ。今、指折り数えてみてもハリウッド映画だけで5、6本は軽く挙げられる。

この種の映画が面白いのは列車がレール上を走る物だからである。線条的な軌道上を凄まじい力で突き進む巨大な運命に、非力な存在である人間が抗うからこそドラマたりえるという訳である。

こんなことを考えたのは、2020年2月から右へと延びて現在に至る新型コロナウイルス感染者数のグラフに、甚大な被害を出しながら暴走する機関車の進路図を重ねて見たからである。我々の政府はただの一度もこの暴走機関車に対して先手を打つことをしなかった。その間、科学者の警告は低く見積もられ、財界の提案は高く勘定された。その結果が今のありさまである。映画の主人公のように先回りをすることをせず、事態の悪化を後追い的に見て来たに過ぎない。

今、振り返ってみてもそんなことばかりである。
2月、感染上陸。
春、第1波が来る。
夏、第2波が来る。
秋、第3波が来る。
冬、第3波超波が来る。
コロナウイルスは真っ直ぐ進んで行く。

第1波が来たのは、年度末と年度初め(いわゆる春休み)の人間の移動を放っておいたからである。第2波は夏休み、第3波は「Go To」、第3波超波は年末年始、全て人間の移動が原因である。人が移動すれば、そこには出会い(あるいは再開)や別れの場が生まれる。飲食の機会も当然増えることとなる。これが全国規模になると、感染の波は忽ち大波となるのである。

こう思えば、第2波も第3波も第3波超波も先回りができなかったという一点において全て政府の失策と言える。欧米よりは遙かに好条件で戦えた筈なのにあらゆる局面において後手後手に回ってしまったがために医療は既に崩壊状態である。

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