総務省汚職事件に発展か。疑惑の菅首相長男に忖度するマスコミの及び腰

 

さて、文春が、お土産やタクシーチケットを渡されている瞬間の写真入りですっぱ抜いたのは、山田氏への接待ではない。名前が挙がった官僚は総務省のナンバー2、谷脇康彦総務審議官をはじめ、前情報流通行政局長の吉田眞人総務審議官▽秋本芳徳・情報流通行政局長▽湯本博信・情報流通行政局官房審議官の4人だ。

彼らに対する接待攻勢は昨年10月7日、12月4日、12月10日、12月14日と続いた。場所は1人4万円は下らない高級料亭、六本木の小料理屋など。正剛氏とともに官僚たちをもてなしたのは、東北新社の二宮清隆社長、子会社である株式会社ザ・シネマの三上義之社長、東北新社メディアサービスの木田由紀夫社長らだ
った。

国会審議で明らかになったのは、彼ら4人の官僚が複数回、接待に応じていたことだ。

「次の事務次官」の呼び声高い谷脇氏は昨年10月7日を含め19年から20年にかけて3回。NHK改革など放送分野で菅首相に重用されてきた吉田氏は昨年12月4日と同年1月24日の2回。秋本氏は16年7月20日、同11月28日、19年2月14日、20年12月10日の4回。湯本氏は19年2月14日、同11月27日、20年12月14日の3回である。

菅正剛氏らは、官僚1人ずつ日を分けて、丁寧な接待をしていたことがわかる。とりわけ接待が集中した昨年12月は、05年末に認定された「スターチャンネル」の、5年に1度の更新時期にあたっていた。

国家公務員倫理規程で、国家公務員は、許認可の相手方、補助金等の交付を受ける者など利害関係者から、金銭・物品の贈与や接待を受けたりすることを、禁止されている。

利害関係者にあたる菅正剛氏らはそれと知りつつ、自分たちの放送事業の許認可をする官庁の幹部を酒食の席に招待し、官僚たちはそれに応じていたのであり、国家公務員倫理法違反のみならず、贈収賄の疑いも免れない。

賄賂とは「自分の利益になるようとりはからってもらう目的で贈る金品」だが、受け取る公務員側にすれば「職務に関して受け取る不正な報酬」ということになる。「不正な報酬」には、金品、旅行、就職の世話、性的サービスなどのほか「接待」も含まれる。

2月15日の衆院予算委員会で川原隆司・法務省刑事局長は「一般論として、刑法の収賄罪における賄賂とは、公務員の職務に対する不法な報酬、利益で、利益は財産上にとどまらず、人の欲望を満足させるものであればよいとされ、接待饗応も賄賂になり得る」と答弁している。

それを承知しているはずの官僚たちがなぜ、危険な接待に応じたのだろうか。文春の記事には以下の記述がある。

「彼らが正剛氏の背後に父親の影を見るからですよ。総務副大臣、総務大臣を歴任した菅氏が、時の総務大臣以上に省の人事を掌握しているのは有名な話。東北新社の二宮社長以下経営陣は、それを分かった上で息子に違法接待を行わせているのだから、経営責任を問われても、正直仕方がないと思います」
(東北新社関係者)

相手が菅首相の息子でなければ、高級官僚たちは招待を受けなかっただろうというのだ。現に、2月15日の衆院予算委員会で、他の同業者とも会食をするのかと問われた秋本情報流通行政局長は「ございません」と答えている。もし正剛氏から父親に悪評でも吹きこまれたら、左遷人事で痛い目にあいかねない、とでも思うのだろうか。

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