国内だけで通用するレベルで満足してしまう日本人の「悪いクセ」

 

私は自分自身の怠慢もあって日本の高等教育を受けることができませんでした。しかし、人一倍負けず嫌いですから、同年配の官僚や研究者に伍していけるよう、具体的なテーマについて手探りで調査研究活動を行ってきました。日本人の思い込みとは逆に、日米同盟が米国にとって死活的に重要だと証明できたのも、「仮説を立てて、ロジックを分解し、データで検証し、結論を導き出す」という手順を無意識のうちに踏んだ結果です。

当然、日本の定説や権威者の見解とは正反対の結論でしたが、日本の定説が実証性に欠ける「思い込み」の上にある限り、覆すのは難しいことではありませんでした。私の初期の作業である在日米軍についてのリサーチを目にした故・鴨武彦早稲田大学教授(のちに東京大学法学部教授)は、私がクリティカルシンキングを身につけたのは米国のハーバード大学やイエール大学においてではないかと、真顔で聞いてきたほどでした。

結論的に申し上げますと、様々な分野で日本がガラパゴス状態に陥りやすいのは、クリティカルシンキングに欠けている結果です。世界のどこに出しても通用するワールドクラスを目指すことなく、日本国内で通用するレベルで自己満足してしまう。そこから抜け出さなければ、自ら勝ち取った平和と安全のもと、繁栄を実現することなどできないことを肝に銘ずべきでしょう。(小川和久)

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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