実は高く売れていた。コロナ禍が不動産売却にプラスに働いたワケ

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あらゆる職種に大ダメージを与えた感が強い新型コロナウイルスですが、不動産業界の一部にはまた別の風が吹いていたようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、とある企業が実施した調査の結果を紹介。そこには、コロナ禍に自宅を売却した人々が「高い満足度」を得ているという、意外とも思われる声がありました。その理由はどこにあるのでしょうか。

コロナ禍でも自宅売却に動いた人にはよい結果が…

こんにちは!廣田信子です。

リクルート住まいカンパニーが、2020年「住まいの売却検討&実施者」調査の結果を発表しました。居住用不動産売却の実施・検討をしている人(首都圏)を対象に、意識と行動などを把握することを目的とした調査です。

調査対象は、過去1年以内に居住用不動産の売却を主体的に検討した人で、有効回答者数は621人です。

市場に出回る中古住宅の物件が少ないと言われていますが、コロナ禍がどのような影響を与えたのでしょうか。

売却検討者の出現率を2019年と2020年を四半期ごとに比較すると、いずれの時期においても2020年のほうが減少していて、コロナ禍で、売却検討者は減少傾向にあることがはっきり表れています。

コロナ感染拡大時の不動産売却検討で影響のなかった人は約27%にとどまり、7割超の人はコロナ感染拡大の影響があったことがわかります。

コロナ感染拡大が「情報収集しはじめるきっかけになった」人は36%。また、検討をすることを抑制した理由としては、

  • 外部との接触を避けたい
  • 希望価格で売れなそう
  • 不要不急

が多くなっています。

その一方で、売却実施者は、コロナ禍のこの時期を売却に有利な時期と感じており、売却における満足度も高くなっています。実際は、物件在庫が減少したことで成約価格が上昇し実は高く売れやすい時期だったわけです。

検討時期を有利と感じていた人は約38%、不利と感じていた人の割合(22.1%)を約16ポイント上回っています。

すでに売却を完了した人の半数以上(51.3%)がこの時期の売却は有利と感じていました。有利な時期と感じていた理由は、

  • 買いたい人が増えていそうだから
  • 競合物件が少なそう

が上位にきています。売却理由は

  • 売れるときに売るため
  • 住む場所を変えるため

が上位にきています。

コロナ禍では、自宅売却に動きにくい状況はあった訳で、それでも、だからこそ物件が品薄になるであろうと考え、行動に移した人は、その多くが満足いく価格で売却できた…ということでしょう。

しかし、売却に当たって、時期を重視する派が46%、価格を重視する派が37%。家族のライフサイクルとの兼ね合いもあり。居住している物件を売却するのは、いくら価格では有利でもできなかった人が多いのが分かります。

その一方で、コロナ禍以降に検討を開始した人の中では、時期を重視する派が41%、価格を重視する派が47%。この時期に、売却を積極的に考えた人は、今が高値の売り時と判断し行動したということがわかります。

家族のライフサイクルが大事だと思うと、やはり、売り時だからとドライには動けません。何だか、複雑な心理が見えます。居住している不動産ならではの特徴ですね。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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