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泣いて幼稚園へ行きたがらない子どもに親がかけるべき魔法の言葉

桜の開花も始まり、もうすぐ新入園のお子さんをお持ちの方も多いのではないでしょうか。新入園といえば「親子分離」が悩みの種。今回の無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』では、著者であるパピーいしがみさんが「お母さんがいい、と幼稚園で泣き続けてしまう」という育児のお悩みにじっくり答えています。

親子分離で泣いちゃう

こんにちは。パピーいしがみです。

今年度ももうそろそろ終わりで、新入園、新入学を控えているお子さんも多いと思います。そこで多くの方がお困りになるのが「お母さんと離れるのが辛い」と子供が泣いてしまうことなんですね。特に新入園など、今まで一緒にいたお母さんと離れて、新しい場所に1人…という状況は初めてのお子さんが多く、そこがどんなに楽しい場所でも、不安や寂しさになかなか慣れない、とういう事は少なくありません。

初めての場所に慣れずに連日泣き続けていたお子さんでも、夏前ぐらいまでに慣れるのですが、今回ご相談頂いたぶんちゃんさんのお子さんは、なんと年長の秋まで母子分離で泣いてしまうお子さんでした。私が今までご相談を受けた中でも、最長に“泣き続けた”お子さんです。

でもぶんちゃんさんは何も努力をしていなかったわけではなく、赤ちゃんの頃から児童館に通い、幼稚園に入る前から少人数の英語教室に通って、他のお子さんと慣れるようにもされたし、1周間に1回の幼稚園のプレスクールにも通われて幼稚園への準備はしっかりされていたんですね。

でも児童館では、お母さんがトイレにいく、ほんの短時間を先生に預けただけでも号泣。英語スクールも(本来は親と離れて勉強するのですが)離れていると参加できないので、しばらくは一緒の教室に参加。週1のプレ幼稚園の時は、お母さんと離れた後、1時間ぐらい泣き続け、参加できたのは最後の30分だけ、という状況でした。そして幼稚園に入園した後は、毎朝別れ際に大号泣。教室には自分からは絶対に入らず、いつも先生に手を引かれていていたようです。

保育参観、遠足、運動会、音楽会などのイベントの時も、いつもと違う雰囲気を察知すると泣き出したり、お母さんを見つけると泣き出して、傍にきたがる、という事でいつもこっそり見つからないように見ていたそうです。あまりに泣くのでぶんちゃんさんも先生も「何か嫌な事が有るの?」と聞いても、子供の返事は「ないよ、お母さんがいいだけ(TT)」と言っていたそうなんですね。

幼稚園に入って1年。年中さんになっても、毎朝別れ際に泣くのは続き、年中の先生は優しい方で娘さんもなついてくれて、お迎えの時は「楽しかった」と報告してくれるものの、毎朝泣かれることにぶんちゃんさんも辛くなって、行動分析の本を読んだり、いろいろやってみたそうです。例えば、娘さんが号泣しても、先生に預けてサッと帰るようにしたり「もし泣かずに行けた日はご褒美があるよ♪」と言ってみたり。

お母さんの努力もあって、娘さんにも変化が現れます。「明日は泣かずに行きたいな♪」という言葉が出たり「階段の下から一人で行ってみる!」のような自分からの決意で泣かずに親子分離ができたり。年少の時には夜泣きするほど嫌だった音楽会の練習も、楽しくできるようになってきたようです。

でも少しずつ泣かなくなってきたところに、このコロナで幼稚園が休園。元に戻らないように、朝は6時半に起きて、お父さんと公園に行き、体を動かし、時間を決めて、リズムを壊さず生活されました。6月から幼稚園が始まりましたが、初日から泣かずに登園できたものの、夏が過ぎ9月になると、運動会の練習や準備をしていて再び泣いてしまうようになり、又「幼稚園に行きたくない」「お母さんがいい」と四六時中口にするようになりました。

とうとうぶんちゃんさんはキレてしまって「本当に弱虫だよね!もう年長だよ!?みんな出来てること何で出来ないの?いつまでグズグズ言ってるの?」と強い口調で叱ってしまったそうです。娘さんは「私は弱虫でいいの!ずっと弱虫でいいの!」と泣きわめき、翌日から、以前のように幼稚園の別れ際に泣くようになってしまったのだそうです。それからは娘さんが安心できるよう(娘さんの要望で)別れ際に9回抱きしめてからお母さんは帰るようになさっている、との事でした。

幼稚園内では先生が「幼稚園ではもう泣かないようにしようね」と娘さんに話した後、泣かなくなったので「おうちでも、家を出たらもう泣かないようにしようね、と言ってみたらどうですか?」と言われたけれど、今まで「泣きたいときは、泣けばいい。泣くのを我慢したいと思ったら、我慢すればいい」というスタンスでいたので、幼稚園の先生のアドバイスのように伝える事が良いのかどうかも悩んでおられました。

そしてぶんちゃんさんは、

“どういうスタンスで今後娘と向き合っていいのかわからなくなっています。小学校も泣きながら行くことになるのではないかと思い心配です”

“私たち夫婦が、赤ちゃんの頃から泣き虫な娘に、「泣いてもいいよ」と受け入れ続けたことが、娘が今も泣き虫でいる原因なのでしょうか?”

と、どうしたらいいのかわからない…とご相談を下さいました。

このお話を聞いて、私はこんな風にお返事しました。

ぶんちゃんさん、こんにちは。パピーいしがみです。

メール、拝見しました。

娘さんがなかなかお母さんと離れにくかったみたいですね。

でも幼稚園のイベントなどでも、最初は泣いても、泣き止んでスッキリすると、みんなと同じようにできていた、という事ですから、私は大丈夫じゃないかな?と思っています。

ただお母さんと離れることは、子供にとってはとても怖いことでもあり、強い不安に駆られる、という事はあると思うのです。

又、乳幼児の頃からそうだったことを考えると、きっと娘さん自身にも繊細な部分もあると思うのですね。

「泣きたいときは泣けばいい」は悪い言葉ではなく、泣くことですっきりして切り替えるのはとても理にかなっていて、

「泣かない!」と我慢させるよりずっと良い対処だったと私は思います。

コロナの時期も、休みだと感じさせないように、毎日、朝のルーティーン、日課を続けたことは、とてもよい対処でした。

ただ…今、心配されているのは、ずいぶん良くなってきた別れ際の涙が復活してしまって、ぶんちゃんさんご自身がとても不安になってしまっている…という事だと思うのですが、

夏休みなど長い休みの後は、どうしても夏休み中の(一緒にいる)が当たり前になってしまい、元に戻りやすく、親子分離が難しくなってしまいます。

これは、小学生でもあります。

でもそこで「本当に弱虫だよね!もう年長だよ!?みんな出来てること何で出来ないの?いつまでグズグズ言ってるの?」と言ってしまったことは、やっぱり子供にとってショックではあったと思うのです。

そして幼少期は「泣いてもいいんだよ」と言い続け、それがだんだん「ご褒美があるよ」に変わってきているのですが、やはり年齢が高くなるにつれ、少しずつ変えていく必要があるとも思うのですね。

と言うのは、年少の時は、それこそ周りはお兄さん、お姉さんばかりで、一番弱い立場ですから、当然泣いてもよかったのでした。

でも年中・年長と年齢が上がってくることで、自分が泣いて助けを求めるのではなく、もう下の子たちを助けてあげなければならない年代でもあり、泣いてばかりはいられないはずなんですね。

ですから「年長さんになると、自分よりも小さい子がいるよね。きっとみんなお母さんと離れて寂しいのに、我慢しているんだよ。あなたは年少・年中の時には、泣いてきたけど、もう今度は小さい子たちを助けてあげたり、励ましてあげないとね」のような話をしてもいいと思うのですね。

「幼稚園ではもう泣かないようにしようね。」と娘に話したところ、それからは泣いていない…。

その為「おうちでも、家を出たらもう泣かないようにしようね、と言ってみたらどうですか?」と言われたようです。

でも、それは今まで「泣きたいときは、泣けばいい。泣くのを我慢したいと思ったら、我慢すればいい」と言ってきたことと違うから、正しいのかどうか迷う…との事でしたが、私は「泣かないようにしよう」ではなく「今は泣いていい時かな?それとも我慢するときかな?自分で考えてみよう」ぐらいでいいと思うのです。

「泣いていい」と言っていたものが突然「泣いちゃダメ」になれば子供はやはり迷います。

でも「泣いていい時か、我慢するときか、自分で決める」事になれば、「今は我慢するとき」と思えば、我慢できるのではないかな?と思うのですね。

先に「自分より年下の子がいて、自分は面倒を見てあげる立場なんだよ」とも言ってあれば、より我慢が必要な時と判断できると思うのです。

幸いにも、娘さんは「明るく、人見知りもなく、初めて合った子とも仲良く遊べる。やりたいことがたくさんあって好奇心旺盛」と書かれていました。

という事は、きっと集中すると、寂しいことも忘れられるでしょうし、自分で切り替えができれば、泣かない事もできると思うのです。

それと…もう1つ、私が感じたのは「お母さんが心配しすぎちゃってはいないかな?」でした。

確かに娘さんは親子分離が難しいお子さんなのですが、お母さんも「子供を傷付けないように」「できるだけ寂しく思わせないように…」と気を配られていますよね。

でもそれって、子供も分かれずらさを感じさせているんですね。

ですから、母子分離の時には(ちょっと冷たいと思っても)さっさと帰ってしまう事も大事なんです。

子供が「寂しい、お母さんと一緒にいたい」と言って不安そうな顔をしている時に、親も不安そうにしていると、子供はいつまでも親から離れられないんですね。

なので、別れるときには(9回のハグも続けて結構ですが)終わったらさっと分かれて、振り向きもせずにさっぱりきっぱりと別れてしまうことをお勧めしたいです。

子供が「泣いちゃった」という時でも「それって泣いていい時だった?それとも我慢する時だった?」と聞くと、

「どっちだったかな?」と自分を振り返って思い出してくれると思います。

是非、試してみてほしく思います。

このお返事をしたのが昨年の9月下旬でした。

ぶんちゃんさんも試して下さり、こんなお返事を下さいました。

パピーさんからのアドバイスを参考に、娘を膝にのせ、

「〇〇ちゃん、幼稚園には〇〇ちゃんより小さい年少さんや年中さんがいるよね?その子たちもきっとお母さんと離れて寂しい気持ちを頑張って我慢してると思うんだ。

〇〇ちゃんは今まで泣いてきたけど、〇〇ちゃんはもう幼稚園の中で一番大きな年長さんだよね?

だから、これからは年少さんや年中さんを励ましたり、助けたりしてあげて欲しいんだ」と伝えました。

娘は「もうしてるよ~」と答えたあと、「みんなも寂しいの?みんなもお母さんが一番いいの?」と聞いてきたので、「みんなお母さんが一番いいんだよ。寂しいときもあるけど、きっと頑張って我慢してるんじゃないかな?」と答えました。

そして「今日、〇〇ちゃん朝泣いちゃったけど、あれは泣いていい時だったかな?我慢した方がいい時だったかな?」と聞くと「我慢した方がいい時!」と答えました。

夏休み明けから、家を出る少し前あたりから、「お母さんがいい」と呪文のように言い続け、その言葉に引っ張られるように泣き出していたのですが、パピーさんのアドバイスを試した次の日の朝、自分から「お母さん、今はお母さんがいいって言っていい時か我慢する時か聞いて!」と言ってきたので、そうたずねると「我慢する時!」と答えて、なんとその日は泣かずに行ったのです。

その日から娘はしょっちゅう自分で「今はお母さんがいいって言っていい時か聞いて」とお願いしてきて、私がたずねると嬉しそうに「いい時!」「我慢する時!」と自分で考えて答えていました。

今までずっと別れの時には泣いていたお子さんなので、その日からガラッと…というわけにはいかなかったのですが、その後も「朝、別れるときは泣いちゃったけど、あのあとすぐ泣きやんだよ」とか、「泣いちゃったけど、私すごく頑張ってるんだよ」「夏休み明けに比べたら、泣かなくなったよね」と、泣くことを気にしたり、泣かないように意識している発言が増えたそうです。

でも「泣いていい時かな?我慢する時かな?」と聞いても「泣きたいの!」と泣くことが増えて、このままの質問を続けてもいいですか?とご質問を頂いたので、私はこんな風にお返事しました。

「泣いていい時かな?我慢した方がいい時かな?」がちょっと手ごたえがあったみたいで良かったです。

そしてこれからの事ですが、ちょっとアレンジをしてみて、何日か我慢できたら、それを認めて褒め、又、何日が頑張ってみる…そんな形にしてみたらどうでしょうね?

今まで「泣きたいだけ泣いていい」という形でしたから、ガラッとは変われないと思うのです。

でも何日か我慢できて「今日は泣きたい」というのでしたら、「じゃあ、今日は泣いていい日にしようか?明日からまた、頑張れる?」と聞いてみて、溜まった涙を流せる日を作ってもいいかな?と思います。

でも「朝、別れるときは泣いちゃったけど、あのあとすぐ泣きやんだよ」とか「泣いちゃったけど、私すごく頑張ってるんだよ」とか「夏休み明けに比べたら、泣かなくなったよね」と、泣いてしまったことを気にしてるようで自分で「泣かないようにしよう」と思い始めている、という事はとても良いと思います。

この「自分で」という事がとても大事で、その気持ちがあれば、だんだん泣かずに行けるようになるのでは?と思います。

とお返事しました。

そして約半年後。先日、頂いたメールにはこう書かれていました。

パピーさん、ご無沙汰しています。ぶんちゃんです。

娘の登園しぶりの時は大変お世話になりました。

10月の末に泣いたのを最後に、通常の登園では一度も泣いていません!

「泣いてもいいよ」っていう日を作ったのが、とても効果があったようです。

今日は泣いていい日だから、娘も思いっきり泣いてやろうとはりきっているのですが(私にはそう見えました笑)、結局泣かずに登園できたっていう日が増えて「わ~!今日も泣かずに行けたね~!」なんて喜んでいるうちに、それが当たり前になっていきました。

今では元気に登園し、園庭に入ってから、一人で教室まで行けるようになりました。

笑顔でお別れできることが、こんなに嬉しいこととは!本当にありがとうございました。

赤ちゃんの時から、ずっと親子分離で泣いてしまっていたぶんちゃんさんのお子さんですが、自分の立場を知る→我慢しなきゃと思う→泣きたいときは泣いていい日を作る→泣かなくて行ける日が増える→まったく泣かなくなった…。

とスモールステップで階段を上るように「泣いてしまう」ことからの脱却ができました。

ここでわかるのはいつだって変化は「自分の思い」から起きる、ってことですよね♪

どんなに周りが「泣かせないように」と努力しても、本人の「頑張ろう」がもっとも変化できる大きなモチベーションになります。

ぶんちゃんさん、ご報告、そしてメルマガ掲載へのご許可もありがとうございました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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