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子どもが経験する初めての挫折。プロが教える「親がやってはいけない事」

人生の中で誰でも一度は経験するであろう「挫折」。もし子どもが挫折を経験してしまったとき、親はどう接してあげればいいのでしょうか。今回の無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』では、著者であるパピーいしがみさんが、自信をなくし「挫折」してしまったお子さんをお持ちの方からの相談に、親身になって答えています。

初めての挫折

こんばんは。パピーいしがみです。

新しい年度が始まりましたね。

いつもは満開の桜の下を新一年生が歩いていく…そんな可愛い姿を見るのですが、今年は桜の開花が早かったみたいで、すでに花びらが散り始め、入学式の頃はちょっと寂しいかな?と感じます。

でも新年度が始まると「さあ、やるぞ!」っていう気持ちになりますね♪

さてそんな中、今日は「挫折」のお話をしたいと思いましす。

挫折って、いろいろありますが、誰もが必ず通る道で、当事者の子供も辛いですが、親もどうしたらいいのか悩みます。

みんなそれぞれ違う経験をすると思いますが、今日はソーダさんからのご相談をお話しさせて頂こうと思います。

ソーダさんのお子さんは4年生。幼稚園の頃からサッカーが大好きで、チームの中心人物。練習も一生懸命にやるし「夢はJリーガー」と言う子でした。

ところが、学年が一つ下の子が転校でやってきたら一変したのです。

ソーダさんからはこんなご相談を頂きました。

パピーさん、お世話になっています。

子供が幼稚園の頃から勉強させて頂き、息子はとても元気で明るく育ってくれました。

特に幼稚園で始めたサッカーは、夫も私も経験が無くて、どうしよう?と悩んでいたところ、パピーさんから「親も一緒になって取り組むんです」と言われ、夫もサッカーのルールを勉強したり、練習に付き合ったり、子供と一緒にテレビを見たりして、子供はどんどん楽しさにはまってくれました。

おかげで4年生の中で(自称)1番うまい!と自信をつけて「オレ、将来はJリーガーになる!」との目標を持ち、そのモチベーションが勉強や日常生活にも表れて、本当にうまく行っていたのです。

ところが…今、「サッカーやめようかな?」と言っており、前は「早く行こう」と親をせかすほどだったのが、この頃は「行きたくないな~」と言うほど、やる気を失っています。

というのも学年が一つ下のK君が同じスポ少に入ってきて(その子は親の都合で母親の実家があるこの町に転校してきました)、K君がとても上手で、息子の自信がもろくも崩れ去り「自分が一番」ではなくなってしまったのです。

最初は同じポジションを取り合って、切磋琢磨しながらお互いに上手になれば…と思っていたのですが、K君は足は速いし、ドリブルはうまいし、パスも正確。シュートの強さだけは息子の方があったみたいですが、力任せに蹴るので外すことが多くなりました。

そして練習試合でK君が出場し、シュートを決めてから、K君がチームの主軸になってしまい、息子はフォワードからバックスにポジション変更がされました。

息子にとって初めての挫折なのだと思います。

今まで自分が目立つ場所にいて、みんなから注目を浴びていたのに、そのポジションから陥落して「かっこ悪い」という気持ちが大きいみたいです。それが同級生や上級生に抜かれたのならまだしも、下級生に抜かれた事で、相当プライドが傷ついたようです。

やる気のなさは練習やプレーにも表れて、監督さんやコーチにも怒られて、意気消沈している息子になんと声を掛けてあげればいいかとても悩んでいます。

私としては、せっかく続けていたサッカーをこんなことで辞めてほしくはないし、簡単に逃げる事をしてほしくない。でも子供が嫌がっているのに無理やりに続けさせるのもどうかとも思います。

近頃は自主練もしなくなり、家にこもってゲームばかり。これじゃあ上手くなるはずもなく、このままフェードアウトするとしたらなんとも残念です。

もしパピーさんでしたらどうなさるでしょう?子供がやる気になるような言葉がありましたらお聞きしたいです。

挫折って必ずありますよね。でもその挫折をどう乗り越えるかが、今後とても大きく響いてきます。というのは挫折って、これからも必ずありますからね。

でも乗り越えるのは子供自身であって、親がどう助けてあげるのか、それがなかなか難しくもあります。

なので、私はこんな風にお返事しました。

ソーダさん、こんにちは。メール拝見しました。

息子さん、初めての挫折で、今落ち込んでしまっているのかな?

でも、もしかしたらフォワードから外されてしまったこと。ソーダさんの方がショックが大きかったりしませんか?というのはポジション変更って、チームプレーでは当たり前のことで、それはサッカーでも、野球でも、バレーボールでも普通にある事だからです。特にチームプレーって、チームで点を取りに行ったり、戦略を立てたりしますから、適材適所でよりよい編成にする為にポジション変更は必須なんですね。

小学校4年生とすると、もしかしたらバックよりフォワードの方が優秀!って思っているかもしれませんが、フォワードがどんなにいい選手でも、パスをもらえなかったらシュートは打てないんです。

バックス・ミッドフィルダー・フォワード、それぞれの役目をそれぞれが全うして初めてチームとして完成します。ですからデイフェンスとしてのバックスも大事なポジションで決して「かっこ悪い」なんてないんです。

ちなみにソーダさんは内田篤人選手はご存じですか(確かな実力と甘いマスクで、引退した今も大人気です)?内田選手は高校卒業から鹿島アントラーズで活躍して、海外でも大活躍し、もちろん日本代表でもレギュラーでした。

その内田選手、中学時代はウイングと言って、フォワードの一人だったんです。でも中学時代は全くの無名で、高校に入ってから部活の先生にサイドバックにポジション変更を言い渡されて、それからメキメキと注目を集め、アンダー17に選出されたり、高校卒業時代はJリーグの数チームからスカウトが来たんですね。

そうやって考えてみるとポジション変更は全然「挫折」ではないし、どちらかと言うと、私はチャンスだとも思うのです。なぜなら新しいポジションができるようになれば、それだけ技術が上がるし、チームにとっても「どこでもできる選手」になるからです。

確かに「下級生にポジションを奪われた」と考えると、それは「挫折」と言えるかもしれません。でも、もし子供が落ち込んでいる時に、親も一緒になってがっくりしていると、子供は「自分が失望させたんだよな」のような責任を感じたり、親の姿を見てさらに落ち込むこともあります。

又、この挫折を乗り越えられないと、これから起きる小さな躓きも「もうだめだ」とすぐに諦めてしまうようになったり、立ち直れず、常に逃げるしか選択肢を持たないようになってしまうこともあります。なので、私はこのような「初めての挫折」を子供が感じている時には(子供は落胆しているかもしれませんが)親はそんなに深刻になってほしくないと思うのです。

もし私だったらこう言います。「バックスをやらせてもらうの?すごいチャンスじゃん」って。子供は「どうして、僕は負けたんだよ。下手だから外されたんだよ」と言うかもしれません。

ですがもしそんな風に言うようなら…。

「そうか(^^)フォワードが好きだったんだね。フォワードは花形だからカッコイイもんね」

「でもね。サッカーみたいなチームスポーツは、上手いからフォワード、下手だからバックスなのではなく、それぞれのポジションに合う人をポジションに置くんだよ」

「例えば、日本代表だった長友佑都って知ってるでしょ?日本代表の時も、海外のクラブチームでもずっと左サイドバック。なぜかわかる?」

「それは外国人も含めて“誰よりも左サイドバックがうまい”からなんだよ」

「それに、もしフォワードができる人が、サイドバックもできる、ってなったら、チームにとっても無くてはならない人になれるよ」

「だとしたら、これってすごいチャンスじゃない?」

のように言うかと思います。

先ほど、私は「ポジション変更はチームプレーでは当たり前、野球でも、ラグビーでも、バレーボールでも自然にある事」と言いましたが、それが事実ではありますし、それも含めてのチームプレーです。ですからポジション変更で落胆していたら、チームスポーツはできません。

でも、それを言ってしまっては「挫折」だと感じている本人の落胆をさらに傷つけてしまうかもしれないので、あえてそこには触れず「えッ?かっこ悪いなんて全然思わないよ。それよりこれってラッキーなんだよ」と教えてあげてほしいと思うのですね。

冒頭で「ソーダさんの方がショックが大きいのではないですか?」とお聞きしたのはその為で、もしそうだとしたら「親の見せる姿勢はとても大切ですよ」とお話ししたかったのです。

そしてもう一つ。

「挫折」って、本人が「挫折」だと思っていれば、思い通りにならない事の全てが挫折になってしまいます。なぜなら、そのものさしは自分の気持ちが基準になっているから。

そこで周りにいる(私たち親が)一緒になって落ち込んでしまうのと、「それは挫折じゃないよ♪チャンスだよ♪」と教えてあげるのとでは、本人の感じ方も大きく違うのですね。

ただ、今は「サッカーやめたい」ぐらいの気持ちになっているみたいなので、突然「全然大丈夫♪」なんて言えないと思いますが、ネットにこんな記事がありました。

サッカーの様々なポジションでプレーする重要性」

本田圭祐「失敗・挫折した数は唯一の自慢・挑戦した数=自信」(YouTube)

こんな風に、前向きにとらえている記事や動画を子供に紹介するのも良いと思います。

やめる、やめないは、まだずっと先の事。まずは子供のマイナスイメージを払拭してあげてほしいです。子供の持っている「挫折」の概念を変えてあげてほしいな~(^^)

今、親が頑張る時。是非、これも子育ての中での一つのチャンスだと思ってチャレンジしてほしいです。

このようにお返事したところ、ソーダさんからメールを頂きました。

やっぱりソーダさんご自身がかなり落胆していたみたいです

パピーさん、アドバイスありがとうございました。

パピーさんがおっしゃる通り、私はポジションを奪われてしまった息子がかわいそうで、子供よりも私が落ち込んでいました。子供の挫折と言いながら、絶好調だった息子が変わっていく様子におろおろしてしまい、なんとか復活させたいと悩んでいました。

言われてみると、子供の落胆は、私がそうさせていたと思います。もっと早くに相談していたら、と思うと悔やまれます。

私は、K君が来なければよかったのに…とか、監督さんにお願いして戻してもらうことはできないか?とか、やめないように叱るべきなのか、それともやめると言ったらその意思を尊重してあげた方がいいのか?と、そんな事ばかり考えていました。

いえ、考えていたというより、何とか元の息子に戻ってほしくて「バックスでもベンチよりずっとましでしょ!」と言ったり、「試合に出れない子もいるんだから出れるだけありがたいと思いなさい」と叱っていました。子供の気持ちを考えていないですよね。反省です。

結局「どうせ俺なんて」とすねたり「俺が辞めれば控えの子が選手になれる」と言ったりして、言えば言うほど逆効果でした。

ですからパピーさんの「それってチャンス」の言葉は目から鱗で、「こういう言い方があるのか?!」と驚くとともに、「もし自分だったら、こんな風に言ってもらえたら全然違う気持ちになるな~」と、心から納得でした。

お返事を頂いてすぐに「サッカーの詳しい人に聞いたら、いろんなポジションをやるのはラッキーな事らしいよ」と話をし、「どんなポジションでもチームの大切な一員。お母さんは鼻が高いし、頑張るあなたが好き♪」と言っておきました。

内田選手や長友選手の事を調べたり、ご紹介いただいたネットの記事も、動画も子供に見せました。特に動画は、何度も見直し、同じように挫折を味わったサッカー選手の動画を自分でも調べて見ていました。

もう遅いかもしれないと思っていましたが「どんな人でも挫折をしている」という事実は、子供の気持ちの持ち方を変えてくれたみたいです。

後は、私が先入観を捨て、頑張る姿を認め、応援するようにすることですね。

「子育ての中での一つのチャンス」「親が頑張る時」ともあったので、私も気持ちを引き締めて、できる事をしようと思います。頑張ります!

ソーダさんからメールを頂いたのは年末だったのですが、学年が変わる時期に更新の手続きがあり、「どうするの?」と子供に聞いてみたら「続ける」との返事があったそうです。

そしてバックスにポジション変更があってからコーチに「バックスからの縦パスでカウンターが決まったらカッコいいぞ!」と言われたらしく、相手からの攻撃を止め、大きく蹴り返すことを練習しているそうです。今は「バックスはバックスの面白さがある」と言っていて、一時の落ち込みからは脱しました♪とのご報告がありました。

息子さん、どうやら挫折を乗り越え、新しいポジションでも頑張ってくれているようです。

でもこの「止めないで続ける」や「一旦は落胆しても乗り越える」ってとても大事なことで、本文でもお話ししましたが、こういう経験が今後の失敗や落胆を感じた時、乗り越えていく大きな力になるんですね。

ソーダさんには「今、親が頑張る時。是非、これも子育ての中での一つのチャンスだと思ってチャレンジしてほしい」とお願いをしておきましたが、ソーダさんの努力がお子さんに大きな価値のある経験をさせてあげられたと思います。本当によく頑張りました(^^)

ソーダさん、貴重なご報告をありがとうございました♪

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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